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【特集】新3本の矢「子育て支援関連」 【株経トップ特集】


―アベノミクス第2ステージの柱に!―

 安倍晋三首相は、アベノミクス第2ステージの目標として「1億総活躍社会」を示し、少子高齢化に歯止めをかけ、GDP(国内総生産)600兆円の達成を掲げた。これに向け、新しい3本の矢として、「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」を挙げ、経済最優先の政権運営を表明した。なかでも、人口減少緩和や、女性の良好な就労環境整備に直結する“子育て支援”については、株式市場でも関連ビジネスに改めて関心が集まりそうだ。

●希望出生率を1.8人に引き上げ

 子育て支援の具体策としては、出産を望む女性のみを対象に算出する希望出生率を、現在の1.4人から1.8人まで引き上げる目標などを打ち出している。これを達成するために、子育てにかかる経済的負担を軽くするための幼児教育の無償化をはじめ、結婚支援や不妊治療の支援にも取り組む方針だ。

 日本政策投資銀行の試算によると、保育施策などの整備が今後順調に進んだ場合、2020年に全国で92.3%の保育施設などの充足率と、73%の女性就業率が達成されれば、保育施設などの市場規模の拡大(2010年の3兆円から2020年には4.9兆円へ)と、約87万人分の女性労働力の増加や、周辺ビジネスへの波及効果が見込まれると試算している。

●待機児童削減に注力

 ただ、厚生労働省が9月29日発表した、認可保育所などに申し込みながら満員で入所できない「待機児童」は、4月1日時点で2万3167人と、前年より1796人多く、5年ぶりに増加した。

 15年度から子ども・子育て支援新制度が始まったことで、受け皿となる保育施設の対象が拡大し、定員は増えたものの、子育て世帯のニーズに追いついていないのが実情だ。厚生労働省は昨年9月、「待機児童解消加速化プラン」をまとめ、17年度末までに、約40万人分の「保育の受け皿」を確保するという。

●JPHD、積極的中計を発表

 JPHD <2749> は、今年6月末時点で、保育園を160園、学童クラブ55施設、児童館10施設を展開する最大手。来期以降も毎年15園以上の保育園開園を目指しており、着実な事業成長が期待できる。保育士の新卒採用を積極化すると同時に、今期から、保育士資格のない新卒者を20人程度採用し研修後、国家試験を受験させる制度もスタートしている。

 中期経営計画によると、18年3月期の連結業績を売上高246億円(15年3月期実績178億6800万円)、経常利益21億円(同16億3600万円)を想定している。

 12年8月に上場したサクセスHD <6065> も、保育園の開園強化の方針を打ち出している。病院など事業所内の保育所受託と公的保育施設運営が2本柱で、業界2位の地位を占める。今年6月末現在で、病院など事業所内の145ヵ所をはじめ、認可・認証保育園56ヵ所など合計276ヵ所の体制に拡大している。

●ピジョン、西松屋チェなども注目

 育児用品のトップメーカーで、マタニティ・介護用品にも展開し、託児所運営でも実績を持つピジョン <7956> は、中期的には、アジア地域の成長と欧米でのシェアアップによって利益成長の可能性が高まっており、世界的育児用品メーカーとしてのポジションを確立する期待が寄せられている。

 また、ベビー・子供衣料と生活雑貨のロードサイド大型店を全国展開し、PB商品中心の低価格戦略で成長を続ける西松屋チェ <7545> の9月度(8月21日~9月20日)の月次売上高速報は、全店で前年同月比8.9%増、既存店で同6.4%増と好調。アウトウェア部門で早めの秋物品ぞろえと気温の推移が適合し長袖Tシャツ、ストレッチパンツなどが好調に推移した。

 さらに、全国の保育園向けに自社開発の教育プログラムでの指導を展開する幼児活動研 <2152> [JQ]、本業は建築現場施工管理ながら、保育園、医療介護支援事業にも進出を果たしている夢真HD <2362> [JQ]、児童向けに教育・スポーツ事業を行うクリップ <4705> [JQ]、乳幼児向け知育玩具の企画開発を手掛けるピープル <7865> [JQ]などにも注目したい。

情報提供:日刊株式経済新聞


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