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【市況】【北浜流一郎のズバリ株先見!】


「年末相場スタートを忍の一字で待つ」

●懸念材料の一つは消える

 大幅急反落した市場が急激に戻った場合、「下値確認の下げ」があるのが普通だ。そして実際、現在の東京市場はその最中だ。

 確認すべき下値は、8月26日につけた日経平均の1万7714円になる。同価格は中国人民銀行による不意打ち的な人民元引き下げショックによるもの。

 東京市場はそこからいわゆるV字型の回復となったものの、それがそのまま続くと見る人はまずいなかったはずだ。当然、戻り売りが出て、結果的に下値確認中になる。一体、これはいつまで続くのか。チャートで見る限りは確認作業は順調に進んでいると見てよい。

 前述したように直近の最安値は1万7714円で、その後一旦上昇して下げた水準はすでに1万7714円すれすれだ。為替市場での円高を警戒しての下げであり、勢いがあるため週明けも売り優勢から1万7714円を割り込んでしまう恐れもある。

 問題はその度合い。チャイナリスクで下げた時とは異なり、米国の早期利上げ観測後退によるものなので、深刻なものになる可能性は低いと見てよい。

 幸い、週明けは米8月雇用統計の発表も終わる。この数字は増えても減っても、発表後は市場にさほど影響しない。発表前のさまざまな視点からの観測が市場を混乱させるのだ。この点では懸念材料の一つが消える。こうなるため、収益向上好転が見込まれながら売られてしまった銘柄の株価位置の確認に努めたい。

●淡々と仕込み準備を継続

 ただ、米国の利上げがいつになるかを巡っての観測合戦錯綜は続く。9月実施説はかなり薄らいできているものの、かといっていつになるか確とした予測根拠があるわけではないため(ちなみに私は10月を予想しているのだが)、利上げ実施まではなお「9月もあり得る」「いや、年内だろう」「いや、いや、年内も無理だろう」となる。

 しかし、この種の議論は機関投資家たちに任せるしかない。決めるのはイエレン議長であり、われわれは決定を待つ他ないからだ。

 そこで提案したいのは、淡々と個別銘柄の仕込み準備を続ける。これになる。というのは、9月は波乱があっても後日振り返ると毎年、年末相場のスタート月となっているからだ。

 目先は下押し圧力が強く、確かに対応しにくいものの、今年も9月が「年末相場スタート月」となる可能性が高い。ここはそれが始まるのをしばらく忍の一字で待ちたい。

 で、注目は竹内製作所 <6432> 、TOW <4767> 、アウトソシン <2427> 、サンセイラン <3277> 、トラスコ中山 <9830> 、そして新興銘柄では東証マザーズのWSCOPE <6619> [東証M]の押し目狙いを。

2015年9月4日 記

●北浜 流一郎(株式アドバイザー)
慶応大学商学部中退後、コピーライター、週刊誌記者、作家業を経て株式アドバイザーへ。マネー誌、証券紙などの株式欄を担当し、ラジオ番組でも活躍。

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