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【市況】国内株式市場見通し:9月米利上げへの確度高まる、波乱もここからは自律反発を意識したスタンス


■日経平均は薄商いの中で直近安値割り込む

先週の日経平均は下落。週末には前週につけた安値を割り込み、週間の下落率は7%を超えた。週初は前週半ばからのリバウンドに対する利益確定が優勢となった。その後も抗日戦勝記念日を控えていた中国・上海市場の不安定な値動きが続く中、9月1日の日経平均は3.8%安と大きく下落した。また、米国では週末の雇用統計を控えるなか、ISM製造業やADP雇用報告などの指標を受けて、9月利上げ観測が高まる格好となり、方向感の掴みづらい相場展開となった。

週末には欧米市場の上昇、中国市場の休場、米雇用統計を控えての商い手控え、日経平均の18000円処での押し目買い意欲の強さ、などを背景に底堅い相場展開を想定していた中で、一時17600円前半までの下落となり、ハシゴを外された格好に。

■9月利上げ予想でアク抜けから自律反発を意識

今週は4日の雇用統計の結果を受けての相場展開になる。8月の雇用統計については、雇用者数が17万3000人増加した。市場予想を下回る伸びとなったが、労働力人口の縮小により失業率は前月の5.3%から5.1%へと予想以上に低下している。8月については過去10年間、ほぼ毎回速報値から上方改定されているようである。連邦準備制度(FRB)は9月に利上げを開始するかどうかの判断で8月統計を重視しているが、就業者数の伸びは予想を下回ったが、失業率の低下が重要視される。そのため、今回の雇用統計は、16、17日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利上げ局面に入ることを予想させる。

足元では9月利上げを想定したポジション圧縮が優勢となっていたと考えられ、これが先週末の東京市場で日経平均が2%超の下落となった要因であろう。もっとも、イエレンFRB議長による”米国は割高”との見解を示した5月以降、日経平均はチャイナショックを除けば8月までは20000円から20800円処でのもち合い、そして8月に入り調整色が強まり、先週末までで15%を超える下げとなっている。これまでの下落過程で利上げ再開を織り込んでいる可能性も高く、9月利上げへの確度が高まる局面においては、次第にアク抜けを意識した展開に期待したいところである。

米国市場では週初はレイバーデーの祝日となり、ようやく海外投資家の夏季休暇も終わり、商いが膨らみやすくなる。9月のFOMCまでは強弱感が対立しやすいと考えられるが、まずは雇用統計通過で方向感が掴めてくるだろう。日経平均は週末の大幅な下げでトレンドは悪化し、年初来安値が意識されやすい。底入れの見極めは難しいところではあるが、金融政策変更後は概ね相場の転換点になることが多く、ここからは押し目拾いから自律反発を意識したスタンスになるだろう。

■中小型株や低位材料株はいち早くリバウンド

需給面では投資主体別売買動向で海外勢の大幅な売り越しが話題となっていたが、売り越し基調に変化が見られるかを見極めたい。また、11月の郵政グループ上場を控え、機関投資家による取得のために既存のポジションを圧縮する流れも意識されやすい。慎重姿勢が続きやすい中で、連鎖的に売り込まれていた中小型株や低位材料株といった個人主体の銘柄については、買いが見送られるなかでイレギュラー的に下げており、いち早くリバウンドが期待されるところである。

■米アップルイベント、メリルジャパンコンファレンス

その他、経済指標では8日に4-6月期GDP(改定値)、7月の国際収支、8月の中国貿易収支、ユーロ圏4-6月GDP(域内総生産、改定値)が発表される。9日には8月の消費動向調査、8月の工作機械受注が予定されており、10日には7月機械受注、8月の中国消費者物価・生産者物価指数。11日には8月の米生産者物価指数(PPI)、13日には8月の中国小売売上高・工業生産・固定資産投資が発表される。その他、イベントとしては、9日から11日まで世界経済フォーラム夏季ダボス会議(APEC)財務相会合が開催されるほか、9日には米アップルがサンフランシスコでイベントを開催する。

なお、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが7-11日に都内のホテルで投資家向け会議「ジャパン・コンファレンス2015」を開催する。今年は海外からの参加申し込み人数が前年比6割増と、過去最高だった2013年に迫る勢いとなっているようである。海外投資家からの人気が最も高いテーマは不動産。コーポレートガバナンスや半導体、年金、サイバーセキュリティー、インバウンドなども人気があると伝えている。

《FA》

 提供:フィスコ

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