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【特集】カドカワ・ドワ Research Memo(1):ネットとリアルイベントの融合など独自サービス創出力を有する


KADOKAWA・DWANGO<9468>は、大手出版社である(株)KADOKAWAと日本最大級の動画コミュニティサービス「niconico」を運営する(株)ドワンゴが経営統合して2014年10月に誕生したメガコンテンツ・パブリシャーであると同時にデジタルコンテンツ・プラットフォーマーでもある。書籍・電子書籍、雑誌・広告、映像の企画・製作・配信、動画コミュニティサービス、モバイルコンテンツ配信、ゲームソフトウェアの企画・開発・販売、専門学校の運営など幅広く事業を展開する。出版、映像分野で培った編集力、ユニークコンテンツをマルチメディア展開し収益を最大化させるノウハウ、高度なネットワーク技術から独自のネットワークサービスを生み出しリアルイベントと融合させるなど、ユニークなサービスの創出力などを有するのが強み。

2016年3月期第1四半期(2015年4月?6月期)業績は、売上高46,906百万円、営業利益1,145百万円、経常利益1,648百万円、前期に計上した事業構造改革費用の支払等に伴い繰延税金資産を取り崩した結果、法人税等が増加したこと等により、親会社株主に帰属する四半期純損失220百万円となった。紙媒体の書籍、雑誌販売はデジタル化シフトにより苦戦を強いられる格好となっているが、電子書籍、ポータル事業が順調に推移していることや、前期に実施した構造改革の効果も健在化していることなどから、2016年3月期会社計画(売上高200,500百万円、営業利益7,000百万円)の達成に向けて順調なスタートを切ったと弊社では見ている。

2015年5月に中期経営計画(2016年3月期?2018年3月期)を発表。2018年3月期に売上高230,000百万円、営業利益18,000百万円~20,000百万円を達成する目標を打ち出した。1)書籍IP事業の成長、2)ゲーム情報ポータル事業の成長、3)ポータル事業の成長、4)教育事業への参入、の4つの事業拡大が基本戦略。いずれの事業も成長のドライバーとしてグループリソースをフル活用してリアルとネットを融合した新しいサービスを創出し、提供することになっている。

弊社では、中期経営計画の目標達成可否を占うに当たって、2015年6月に社長に就任した川上量生(かわかみのぶお)氏がカギを握っていると考える。同氏は着メロ、ニコニコ動画の新規事業を立上げドワンゴを日本最大級の動画コミュニティサービス「niconico」の運営会社に育て上げた実績があるだけに、ゲーム情報ポータル事業などの4つの事業において、今後創出されるさまざまな新規サービスの内容とその後の展開を見極めることがポイントと考える。

■Check Point
・大手出版社と動画コミュニティサービス運営会社が経営統合
・電子書籍はdマガジンの伸長もあり好調が続く
・今期は新規事業・サービスへの積極投資期間と位置付ける

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)

《HN》

 提供:フィスコ

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