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【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】


「“ギリシャ後”を睨んだ投資」

●ギリシャ問題の落としどころ

 ギリシャ、ギリシャの6月相場が間もなく終わる。6月相場は過去の市場の歴史を振り返ると株価が上がることが多い。今年も期待できる。こんな予想でここまできたが、いまのところは今月の日経平均株価の月足チャートは陽線で終わってくれそうだ。

 しかも、6月24日には2万0952円の高値をつけて2000年4月のITバブル期の高値2万0833円を上回ってくれた。絶好。こう言ってもよいほどの展開になってくれたことになる。

 しかし残念ながら、ギリシャの債務返済問題。この行方がこの原稿を書いている時点ではまだ定まらないのだ。

 日経平均が2万0952円の高値をつけた時点では、ギリシャ債務返済問題は、ギリシャの提出した財務改善案がEU債権国とIMFの協議により容認される見通しとなった、とのことだった。

 しかし、実際はそうではなかったのだ。債権国は、ギリシャの財務改善案がなお不十分という判断を下したのだ。それは当然といえるだろう。ギリシャの改善案は、企業への課税を強化するというもので、肝心の年金の減額、あるいは付加価値税の増税などをする姿勢は示していなかった。

 これらを実施するとなると、選挙公約に違反するということになるからだろうが、それにしてもチプラス首相はタフだ。肝心なところはしっかりガードしておきながら、債務の方は踏み倒し、さらに支援を受けようというのだから見上げたものだ。

 実際、ギリシャはこの5年間で、実に33兆円ほどの支援を受けている。それなのに経済状態は改善しないのだ。原因は沢山あり過ぎてどれが特に問題とはいえなくなっているのだが、歳入の8割を公務員の給料と年金の支払いに使っているのはどう見てもとんでもないことと言わざるを得ない。

 そして、それを改善するつもりはあるのだろうが、実際はそれを行わない。いや、行えなくなっている。こういうことになっているのが実際で、EU諸国やIMFもどうしてよいか分からない。ホンネはこう見てよい。

 このような状況が困るのは、もちろん株安要因になるから。投資する立場からはこう言わざるを得ないのだが、ではギリシャは助からないのか。

 そんなことはないと見てよい。結局はEU諸国もIMFも同国を援助せざるを得ないからだ。ギリシャが破綻したら、周辺国だけでなく、世界経済がおかしくなってしまう恐れがあるからだ。南米のある国がデフォルトに陥っても、世界は特に驚いたりはしない。金融市場もさほど影響を受けない。しかし、EUに所属している国が破綻したら、そうはいかない。

●NTTが示唆する流れの変化

 この点を考えると、EU諸国、IMFともにギリシャにいろいろ注文をつけて「支援=救済」を続ける。こうなると見てよい。そのため、ここにきての東京市場の調整はあくまでも調整と見てよく、主力銘柄を中心にまた買い直される可能性が高い。

 それゆえ、ここではギリシャ問題以後を考えた投資が望ましい。

 それは好ましいことに、機関投資家や外国人投資家たちによる日本のど真ん中企業銘柄買いと個人投資家主導の中小型企業株買いになる。動きを読みやすいのが機関投資家たちによる日本のど真ん中企業銘柄買いであり、その好例としてNTT <9432> の上昇がある。

 同社株の上昇は実に珍しいのだが、このところ堅調そのものの動きで、戻り高値を更新したばかりだ。6月に株式を2分割することが買い手がかり材料になっているものの、この大型株が買われること自体、市場の流れに変化が生じつつある証拠といえる。

 他にもソニー <6758> や三菱ケミHD <4188> 、セブン&アイ <3382> など大型株が次第に水準を高めつつある事実もしっかり把握しておきたい。

 このようにギリシャ問題という不透明要因がある中で、大型株が買われ続けているのは機関投資たちが同問題をさほど懸念していない証拠とも見ることができ、われわれも警戒は必要ながら、あまり神経質にならないようにしたい。

 では、ここでの注目銘柄。まずはソニー <6758> だ。混乱が予見されていた同社の株主総会も、波乱なく終わった。これから市場は落ち着いて業績の回復に期待、改めて買いを増やすと見てよい。社長交代を理由に一時株が売り込まれたカシオ <6952> も、次第に新社長を受け入れて評価する方向にある。

 中堅企業ではM&Aの案件が豊富な日本M&A <2127> が魅力的だ。そして、一時の調整が終わり、また浮上開始中のカルビー <2229> も仕込みどころといえる。

2015年6月26日 記

「チャートブック日足集」No.1576より転載

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