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【市況】【杉村富生の短期相場観測】

「期待できるぞッ サマーラリー!」


●出遅れ修正の動きが継続!

 改めて述べるまでもないが、日本株が出遅れるには出遅れるだけの理由があった、と思う。

 すなわち、3年にわたる旧民主党政権の迷走、東日本大震災(福島原発事故)、中国での反日暴動、タイの洪水、超円高・デフレを容認してきた前任の白川前日銀総裁の存在──などである。

 しかし、現在ではその“悪材料”の多くが消え、ないしは封じ込められつつある。当然、日本株は出遅れ修正の動きを強める(サマーラリーが演じられる)だろう。

 ちなみに、日本株の出遅れについては株価指標、時価総額の両面にみることができる。

 まず株価指標だが、金融危機前の高値~直近高値までの騰落率をみると、日経平均株価がプラス12.6%にとどまっているのに対し、NYダウは29.3%、独DAX指数は52.0%上昇している。

●TOPIXは金融危機前の高値に届かず!

 今回の金融危機とはサブプライムローン・ショック、リーマン・ショック、南欧諸国のソブリン・リスク(ユーロ不安)である。

 それなのに、日本株の戻りが極端に鈍い。これはどうしたことか。

 TOPIXは金融危機前の高値(2007年2月26日の1816ポイント)に届いていないどころか、直近高値はマイナス7.6%の水準に放置されている。

 だが、出遅れ感の存在のほか、内外の投資環境は(1)政策対応の効果、(2)投資価値の向上、(3)需給の改善──など好転が著しい。

 まさに、アベノミクスの推進、異次元の金融緩和の断行、GPIFなど公的年金の運用体制見直しの結果だろう。

 企業の意識も変わった。これはスチュワードシップ・コード、コーポレートガバナンス・コード導入を受けてのもの。

 すなわち、増配、自社株買い、M&Aが急増、設備投資の活発化が伝えられている。

●ROEは着実に上昇している!

 要するに、200兆円もの内部留保の有効活用である。企業は成長軌道に向けて、大きくカジを切った。これを映し、ROEは急上昇を示している。

 2015年3月期では3社に1社のROEが10%を超えたという。

 2016~2017年には生保などが求める「11.4%」に届くのではないか。

 そうなった場合、ROEと「正の相関」にあるPBRは1.8倍程度(現在、日経平均株価ベースでは1.39倍)まで上昇する。

 その局面では双日 <2768> 、みずほFG <8411> 、三菱商 <8058> などPBR1倍割れの主軸株は割安感が一段とクローズアップされることになろう。

●物色面のメーンテーマは?

 出遅れを時価総額について考えると、東証1部の時価総額はやっと、1989年12月末の590兆円を上回ったばかりである。

 これに対し、NY市場の時価総額はこの25年間に7倍となり、3000兆円に迫っている。1倍と7倍、情けない話じゃないか。

 東証1部の時価総額(現在はNY市場の5分の1)は中・長期的に、NY市場の3分の1の水準(1000兆円)を目指す、と考えている。

 一方、物色テーマとしては引き続いて情報セキュリティ、インバウンド、ウイルス性疾患などがメーンとなろう。

 具体的にはFFRI <3692> [東証M]、ラック <3857> [JQ]、アクリティブ <8423> 、NVC <3394> [東証M]、EAJ <6063> [JQ]、ラオックス <8202> [東証2]などに注目できる。

2015年6月17日 記

(「チャートブック日足集」No.1573より転載)

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