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【市況】【北浜流一郎の新興市場展望】


「企業の本質的な強さを見直す」

●個人の資金が向かう新興市場

 6月相場は強い。これがこれまでのデータであり、今月も日経平均株価の月足チャートは陽線を描く。こう見ていたのだが、残念ながらいまのところ実現の確率が低くなっている。ギリシャの債務返済問題が月末ギリギリまで解決しない恐れがあるからだ。

 しかし、ここに興味ある現象が生じている。意外と言ってもよいだろう。日経平均やTOPIXなどの低迷を尻目に、上昇を続けている指数があるのだ。

 マザーズ指数だ。昨年12月初め頃から3月半ば頃まで3ヵ月以上低迷を続けたそれは、3月11日に846ポイントの安値をつけて切り返したあと、6月16日には1000ポイントをつけ、いまもそれに近い水準で推移している。

 前述したようなギリシャの債務返済問題だけでなく、米国の金利引き上げ観測、国内では黒田日銀総裁の円安阻止とも思えるような「円はこれ以上は下がらないと思う」発言など、気掛かり材料がある中で、マザーズ市場が意外な上昇ぶりをみせているのはなぜか。

 東証1部市場が大型株物色に偏りつつあるため、それについていけない個人投資家が物色の圏外に置き去りにされていた格好の新興市場銘柄に目を向け始めた。こう見てよい。

 それは実はジャスダック市場にも及び、同指数も高値をキープし続けている。気掛かり材料、悪材料を無視するところまではいかないものの、日経平均よりも安定感のある動きになっている。

 もちろん、個別に強い銘柄が増加中だからになる。たとえばオーデリック <6889> [JQ]だ。住宅用照明器具の大手だが、LED照明機器でブランド力が高く、需要は順調に伸び続けている。背景にあるのは住宅の新築、改築の増加であり、株価はそれをしっかり踏まえた買いが入り続けていると見てよい。

 市場はいまはこのように企業の本質的な強さに改めて着目中といったところであり、今後このような観点からの新興市場銘柄買いが続くと見てよい。投資家は、慌ただしく売買を繰り返すのではなく、腰を据えて保有できる銘柄を探しているからだ。

●中長期投資に必須の条件とは?

 その一方で、中長期持続には強い反対意見もある。目先の予想も困難なのに、半年や1年先のことはなおさら分からない。中長期の持続、それも特に新興市場銘柄ではとても危なくてできない……と。

 しかし、中長期投資で驚くほどの成果を上げている個人投資家がいることも確かである。私の知人の中にもいて、平均2、3年の持続で成果を上げ続けている。

 ただ、中長期投資の場合、一つ条件がある。株価が急騰したら、取りあえずそこで売る。この実行は欠かせない。緩やかに上昇する銘柄は持続し続けても構わないものの、急騰した場合、下落に転じると急落になりがちで、評価益がたちまち縮小、マイナスなってしまうことも多い。

 では、実際に堅調に上がり続けている新興市場銘柄はあるのか。ないように見えて、実はある。

 たとえばフレンテ <2226> [JQ]。中堅菓子メーカーで、傘下にスナック菓子の湖池屋がある。同社のカラムーチョは食べたことがおありなのではないだろうか。

 やや予断だが、自分が食べておいしい(使ってみてよい)と思い、他の人も同様の感想を口にしていたら、その菓子(製品)のメーカーはどこか調べてみるようにしたい。案外儲かる会社に出会える。

 ピープル <7865> [JQ]も同様の見方でよい。この会社は幼児向け知育玩具の開発会社。株価は13年8月の467円を底に上がり続けていて、16日には1900円をつけている。

 さて、残り少なくなってしまったので注目銘柄を。まずは東証2部のベネ・ワン <2412> [東証2]だ。官公庁や企業向け福利厚生代行サービスの需要好調が続き、株価もなお続伸余地ありと見てよい。

 ジャスダック銘柄ではシイエムシイ <2185> [JQ]だ。技術マニュアルに強い会社で、トヨタや日産などのマニュアルを製造していて、他社の追随を許さない強みは投資対象として高評価できる。

 マザーズ銘柄ではブイキューブ <3681> [東証M]に注目だ。ウェブ会議に強く、感染病などが発生した場合、ウェブによる会議が可能になるため利用が増えると考えられ、株も有望度が高い。

2015年6月19日 記

(月刊「チャートブック新興+2部」No.238より転載 )

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