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【特集】【TPP相場観】自動車や電子部品関連に活躍余地広がる /植木靖男氏

株式評論家 植木靖男氏

 TPP締結は日本経済にとってはプラスになるとみており、株式市場でも前向きに評価されそうだ。政府はTPPの締結により5兆2000億円のGDP押し上げ効果があるとしている。一方で、農水生産物の市場規模は3兆円減少することが試算され、それに関連する産業の市場が7兆円程度萎み、100万人分の雇用が減るとの指摘もあるが、実際は有形・無形の恩恵が期待され、ネガティブにとらわれることはない。さくらんぼは関税撤廃にもかかわらず、高品質でおいしい日本の商品が買われている現実がある。オレンジもしかりだ。農業全体でみてもIT化や法人化が進捗すれば競争力は十分に保てるとみている。その進化の過程でビジネスチャンスをものにする企業も多いはずだ。

 また、TPPは工業国の日本にとって、自動車産業や電子部品産業に追い風となることは間違いない。加えて、TPPは円安を背景に進行する国内の生産回帰を一段と喚起する可能性が高く、国内雇用環境の改善にも反映されそうだ。株式投資の観点では高付加値の工業製品で輸出比率の高いところは要注目だ。特に電子部品メーカーは世界で圧倒的シェアを有し、スマートフォン向けなどでその優位性を存分に発揮した。中国をはじめとした新興国にはまねできない強みがあり、株価の見直し余地につながる。

 自動車や、電子部品セクターには日経平均寄与度の大きい値がさ株が多く、これらの銘柄が上昇すれば、テクニカル的にも全体指数の押し上げ効果をもたらす。銘柄としては輸出主力株の象徴であるトヨタ自動車<7203>や、富士重工業<7270>、電子部品では米アップル向けトップサプライヤーである村田製作所<6981>、また、日東電工<6988>なども注目している。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)     【TPP相場観】特集 より

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