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【特集】【TPP相場観】日本の改革姿勢を図る試金石に /窪田朋一郎氏

松井証券 シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎氏

 ゴールデンウイークに訪米し、米議会上下両院合同会議で演説した安倍首相は「環太平洋経済連携協定(TPP)の締結を通じて日米関係強化を」と強く訴えていた。安倍政権がTPPに力を入れていることは明らかだが、ここにきて米国議会でも大統領貿易促進権限(TPA)法案の審議に動きがあり、株式市場でも再びTPPの注目が高まりそうだ。

 TPP協定交渉では21分野が扱われており、影響は幅広い銘柄に及ぶと予想されているが、関連銘柄としてまず挙げられるのは、農産物の関税引き下げにより恩恵を受ける企業群であろう。銘柄としては、日本ハム<2282>、伊藤ハム<2284>、森永乳業<2264>や明治ホールディングス<2269>。また、吉野家ホールディングス<9861>や日本マクドナルドホールディングス<2702>などがある。 

 日本政府は関税引き下げ対応をするため、農林水産業の競争力強化に動いており、関連する投資が増えることも予想される。クボタ<6326>や井関農機<6310>などの農機メーカー、日本農薬<4997>や日産化学工業<4021>などの農薬・肥料関連企業が動意づきそうだ。その他、輸出関連企業は域内の関税率引き下げによる直接的なメリットが期待できる。特に自動車については、大市場である米国の関税率2.5%が撤廃されれば競争力強化が期待でき、トヨタ自動車<7203>やマツダ<7261>といった完成車メーカーのほか、デンソー<6902>やアイシン精機<7259>などの部品メーカーが追い風を受けるであろう。

 米国の関税率が25%と非常に高いトラック業界は、さらに大きな恩恵を受ける可能性があり、いすゞ自動車<7202>や日野自動車<7205>などは注目だ。

 TPPは外国人投資家から、日本の改革姿勢を図る試金石として見られている。現在の日本市場は、日銀による大規模な金融緩和が着目されているが、TPPが新たな買い材料の柱となることを期待したい。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)     【TPP相場観】特集 より

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