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【特集】【TPP相場観】アベノミクスへの追い風に /嶌峰義清氏

第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト 嶌峰義清氏

 環太平洋経済連携協定(TPP)が締結された場合、日本経済には農業など一次産業に比較的早く影響が出る可能はありそうだ。一次産業の比率が高い北海道などは一時的にマイナスの影響を受けるかもしれない。

 しかし、食料品価格の下落は景気を支える追い風に働く。円安主導で物価と賃金を上げデフレ脱却を目指す「アベノミクス」にはプラス要因となるだろう。製造業などにも広範に様々な影響が出てきそうだが、TPPをうまく活用すれば、総じて日本経済には好影響が期待できるとみている。GDP(国内総生産)の押し上げなども見込め、TPPは株式市場にとって上昇要因となると思う。

 今後は、米議会での審議の状況などに左右される面があるが、うまくいけば今年夏、あるいは秋にかけて大筋合意が見込めるかもしれない。たとえ、TPPが漂流してしまうようなことがあったとしても、マーケットは、まだTPPを真剣に織り込んではいないだけに、市場のネガティブな反応は限定的だと思う。

 TPPが妥結した場合、自動車産業などを中心とした日本の製造業へのプラス効果は市場が期待するほどは大きくないかもしれない。むしろ、輸入食材が安くなることによる食品や飲食関係などに与えるメリットが大きいとみている。株式市場でも内需系の関連業種の方が物色されやすいだろう。

 また、農業関係には今後の生産性の改善などを含めて発展の余地はあると思う。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)     【TPP相場観】特集 より

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