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【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】


「東京市場への資金流入は続く」

●資金吸収の主役が交代

 東京市場はまだGWのショック安を脱し切れていないのが実際だ。

 GWそのものはもちろんすでに過ぎ去った過去だ。だが、市場には休日前後に日経平均株価が766円も下げた後遺症がまだ厳然として残っているのだ。

 そのため、ソニー<6758>や三菱商<8058>など一部の銘柄を除き、トヨタ<7203>やソフトバンク<9984>、キヤノン<7751>、武田<4502>などの人気主力株が浮上できないままとなっている。

 それだけGW前後に起きたショック安の影響は大きかったということになり、これからそこからの回復を目指すことになるのだが、それはいつになるのか。

 残念ながら正しい時期の予測は困難ながら、手掛かりとなるシグナルは今後誰でも確認できる。

 それはなにか。日経平均が同25日移動平均線の上で推移するようになること。これになる。

 現在、日経平均は4月30日に同移動平均線を割り込んだあと、その下で推移し続けている。5月13日に一瞬タッチするところまで戻ったが、すぐに押し戻されてしまった。

 この原稿を書いている時点ではまたまた接近すれすれのところまで上昇していて、週明けには突破もあり得る状況だ。いまはそれを楽しみにしたいところながら、正直なところ必ず乗るといえるほどの確信は持てない。GW前後から投資家の投資マインドが急速に低下し、まだ個人投資家の多くは様子見に徹しているのが実際だからだ。

 それでも東証1部の出来高が日々20億株台後半となっているのは、外国人投資家や投資信託、ラップ口座への資金流入が続き、それらがどんどん市場へ投じられているからと見てよい。

 しかも、これらの資金は、当面増えることはあっても減ることは考えられない。まさにどんどん流入し、日本株買いに回されることになる。

 それらを吸収する役割をする銘柄も、3月までとはかなり変わりつつある。OLC <4661> や日本空港ビル <9706> などに代わってソニー <6758> や任天堂 <7974> などになっている。

 特にソニーの値動きは素晴らしく、戻り高値の更新を続けている。同社株については、以前も書いたことながら、市場とマスコミは昨年から今年初めにかけて散々酷評を繰り返してきた。そのため、株価は上がるに上がれない状況が続いたものの、このところ、実に様変わりの上昇ぶりとなっている。

 これはやはりこれまでことあるごとに酷評されてきた反動がきているもので、株式市場らしいやや天の邪鬼な反応とみてよい。

 もちろん、背景には今期業績の黒字化予想がある。それに対しても市場では、不十分であるとか、信頼できないなどの評価がある。特に多いのが、「肝心なAV事業が立ち直っていないではないか」という批判だ。しかし、それにも関わらず、株価は浮上を続けているのだ。

●マイナンバー関連などに注目

 これは先見力のある投資家達が「ソニーは最悪期を脱しつつある」と判断しているからということになる。株価は、企業がどんなに厳しい状況にあろうとも、「最悪期を脱した」と見られるなら、浮上を開始し、しばらくすると驚くほど上がるものなのだ。

 このような観点からシャープ <6753> を見るとどうだろう。同社は経営再建計画を発表したが、「最悪期を脱しつつある」といえるだろうか。シャープの経営陣には悪いが、そうは言い切れない。だから、いまのところ同社株には手を出せない。

 いずれ意外な企業が救済の手を差し伸べたりすれば買えるだろうが……。

 シャープのことはともかく、大事なのはつい数ヵ月前まで散々批判の対象になっていたソニーに積極的な買いが集まっている事実だ。

 市場はこのように、ある日突然評価を180度変えてしまう。いまはそれがソニーに起きているのだが、他にもTOTO <5332> 、三菱重 <7011> 、デンソー <6902> などがそうだ。

 これらは評価のプラス転換であり、好ましいのだが、逆にマイナス転換もあり、これは困ったことになる。JR東海 <9022> や小田急 <9007> 、京成 <9009> などの私鉄株、武田 <4502> 、アステラス <4503> 、エーザイ <4523> などの医薬品株、ヤクルト <2267> 、明治HD <2269> 、カルビー <2229> などの食品株だ。

 これらに問題が生じたのか。そうではない。順調に上がり続けたため、利益確定売りの対象となり、少しずつ売られているうちにそれが止まらなくなってしまったのだ。

 以上のような状況の中、注目したいのは以下のような銘柄になる。

 10月からマイナンバーが配布されることから、関連株のNTTデータ <9613> 、野村総研 <4307> 、CTC <4739> にまず注目だ。

 他分野では、原油価格が緩やかに浮上に転じていることから三菱商 <8058> や住友商 <8053> の押し目狙いを。そして、徹底的に売り込まれてしまっている銘柄の中からはセブン銀 <8410> が魅力的だ。

 最後にまたまたソニー <6758> だ。

2015年5月15日 記

「チャートブック日足集」No.1570より転載

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