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【特集】AOI Pro.<9607>同業比較での株価の割安感が強い


ラジオNIKKEI マーケットプレスの『フィスコ presents 注目企業分析』4月30日放送において、AOI Pro.<9607>を取り上げている。主な内容は以下の通り。



■注目ポイント
同業比較での株価の割安感が強いことが挙げられる。PERは8.1倍、配当利回りは2.80%、これは、東北新社の11.1倍、1.70%、TYOの14.0倍、1.97%との比較で割安感が強く感じられる。一方、ここ5年間の利益成長率は2.4倍、2社の1.8倍、2.0倍との比較で成長力も同社が高くなっている。今期も2ケタ増益見通しだが、増配を発表していることから通期見通しに対する安心感も強く、また、自社株買いも実施中で需給面のサポートも期待される。

■事業内容
AOI Pro.<9607>は、大手CM 制作会社の一角として、TVCM の企画・制作を主力としているほか、Web などのデジタルコンテンツや海外展開にも積極的に取り組む。また、新規事業として、初めてのBtoC 事業である「写真スタジオ事業」などを手掛けている。広告制作事業が売上高の90%超 を占め、収益源ともなっている。

■広告制作事業
TVCM 作品やWeb 作品の制作及びイベントの運営等、広告に関わる制作を行う。主力となる国内TVCM 制作は主に同社が手掛け、デジタルコンテンツや海外事業等は主に連結子会社が展開している。海外事業は、主に日系企業向けにアジアを中心とした海外でのTVCM制作を行っている。また、CM 作品以外の映像・Web 制作として、TV 番組や映画、Web ムービー、ミュージックビデオにも実績がある。

広告主の業種別売上高構成比率(単体) は多岐にわたっているが、「サービス・電力」「輸送・精密」「食品」「化学」の4 業種の比率が例年上位を占めている。また、販売チャネル別の売上高構成比率(連結) は、博報堂DY ホールディングス<2433> と電通<4324> で過半を占める。主力のCM 制作の伸びとともに、博報堂DY ホールディングスと電通向けの売上高も増えている。

■企業特徴
同社の競争力の源泉は、プランナーや演出家を多数抱えることで、クリエイティブな提案を可能にしていることである。特に、半世紀にわたってクオリティが高く、話題性に溢れた映像作品を多数生み出してきた映像制作のノウハウと創造力は同社の最大の武器であり、広告主や広告会社からの高い評価につながっている。なお、同社作品のクオリティの高さ
は、数々の受賞実績で実証されている。2013 年9 月には、日本最大の広告賞「ACC CMFESTIVAL」のテレビCM 部門とマーケティング・エフェクティブネス部門において、同社制作作品が総務大臣賞・グランプリを受賞した。

また、国内最大規模の撮影スタジオ(横浜市都筑区) や編集スタジオを自社保有していることも強みである。自社でスタジオを保有することにより、原価を下げる効果があることに加え、柔軟な対応を可能としている。

■業界構造
業界構造については、業界老舗の東北新社<2329> を筆頭に、同社、ティー・ワイ・オー<4358> の大手3 社によって市場全体の約30% を占めていると推定される。映像広告制作会社の連盟JAC (一般社団法人日本アド・コンテンツ制作社連盟) 正会員数の推移を見ると、1992 年の143 社をピークとして2014 年4 月末には93 社に減少する傾向が見られる一方、大手3 社の市場シェアが拡大していることから、業界の寡占化が進展しているものと考えられる。その背景には、広告主側の情報管理を含めたコンプライアンス意識の高まりや、スケールメリットが働く事業構造であることから、小規模の事業者が案件を受け難くなってきたことが挙げられよう。

■業績動向
2015年3月期第3四半期(14年4-12月)決算を発表。売上高が前年同期比6.5%増の203.96億円、営業利益が同16.0%増の11.45億円、経常利益が同21.8%増の11.20億円、四半期純利益が同92.4%増の5.55億円と、増収・大幅増益で着地した。

広告需要が緩やかな改善傾向となるなか、事業領域の拡大や営業力・制作企画力の向上等に取り組んだ結果、広告制作事業の売上高は前年同期比9.8%増の198.30億円となった。また、第3四半期連結会計期間末受注残高は前年同期末比3.32億円増の35.22億円と好調に推移している。写真スタジオ事業の売上高は第3号店の新規出店効果などから前期比50.4%増。メディア関連事業は昨年10月1日に事業譲渡済みで、同53.6%減だった。

15年3月期通期については、売上高が前期比3.7%増の290.00億円、営業利益が同17.8%増の21.00億円、経常利益が同17.4%増の20.00億円、純利益が同101.5%増の13.00億円と、11月4日に修正発表した計画を据え置いている。

■株主還元策
3月2日、自己株式の取得と、2015年3月期末配当の増額修正を発表している。自己株式の取得は、発行済株式総数(自己株式を除く)の0.8%にあたる100,000株を、取得価額の総額は100百万円を上限とする。取得期間は3月3日から9月30日まで。配当予想の増額修正は、15年3月期の配当予想を、前回予想の1株あたり16円00銭から17円00銭に、1円引き上げる。中間配当と合わせると、年間配当は24円00銭となる見通し。

■中期計画
同時に発表した新中期経営計画については、前回の中期経営計画が、売上高及びROEについて、2年前倒しでほぼ達成する見通しであることから、新たに策定されたもの。新中期経営計画では、動画コンテンツマーケティング事業の強化などにより、2020年3月期に、売上高500億円(15年3期予想は290億円)、営業利益率10.0%(同予想7.2%)、ROE12.0%(同予想12.2%)以上の達成を目指す。配当政策は、配当性向30%以上、1株当たり年10円以上。

なお、同社は今回策定した新たな中期経営計画の達成に向け、動画コンテンツマーケティング事業を強化する。このため、「テレビCMを中心とする広告映像制作のさらなる拡大」、「『データベーシック&ビューマンドリブン』なクリエイティブソリューション力をグループで強化」、「地域・メディア・コンテンツのさらなる“NO BORDERS”推進」、「人材育成・業務効率化(IT関連)への積極的な投資」の、4つの基本コンセプトを掲げている。

ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30~14:45放送

《TM》

 提供:フィスコ

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