市場ニュース

戻る
 

【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】


「株式投資で大事なのは『未来』」

●2万円は通過点に過ぎぬ

 月の初めは波乱か調整。こうなるのが普通なので、今月もそうなるのを覚悟していたのだが、大きく下げたのは1日くらいのもの。他は下げても小幅に済み、上昇また上昇の日々だ。

 日経平均は本稿執筆時の10日前場にはついに2万円の大台を回復した。もちろん、この水準は目標値ではなく、単なる通過点に過ぎない。

 しかし、2万円というキリの良い数字に戻れたことはやはり感慨深い。この水準は実に15年前の高値だからだ。

 東京市場の回復力の遅さを改めて感じざるを得ないが、幸い2万円には戻れたのだから、今後に期待だ。

 2万円を目標値として考えてきた人にとっては、先高はもうないということになろう。しかし、前述したように2万円は通過点だ。

 こう言えるのは、日本経済がまだ回復途上にあるからだ。経済が大繁栄し、国民の多くがそれを享受するようになると、株式市場はその先を見て下降に転じる。

 しかし、いまのところ繁栄にほど遠いどころか、まだまだ収益が好転しない企業や給料の上がらない業種も多い。このような状態にある場合、株式市場だけ先に下げてしまうなどということはまず考えられない。

 といっても、現在の勢いがそのままキープされて上がり続けるということではない。目先は確かに高値圏のため、利益確定売りに押されて下げてしまうことはあり得る。

 しかし、それは一時的な反落に過ぎない。調整が終わるとまた買い直され、2万1000円、2万2000円、2万3000円と水準を高めていく。いまはそれを楽しみに投資したいところだ。

●収益回復を先取りするソニー

 その可能性を示唆する動きを見せているのがソニー <6758> だ。

 収益の悪化が長年続き、前期は赤字転落、さらに無配となった。肝心のパソコン、テレビ事業に加え、スマホも苦戦に陥ったことで「ソニーは凋落の一途。蘇生はまず困難」、こんな見方がほとんどになっていた。

 しかも、サイバー攻撃を受け、映画や経営陣に関する重要データが流出したりするという信じられない事件にも巻き込まれた。

 ところが、株価はサイバー攻撃の直撃を受けている最中は少し下げたものの、それ以外はいわゆる右肩上がりの上昇となり、この原稿を書いている時点では戻り高値を更新したところだ。

 なぜ、こんなことになっているのか?

 株式市場はすでに16年3月を見て動いているから。こうなる。15年3月期はこの会社にとっては受難ともいえるほど厳しい決算になった。前述したように赤字ばかりか、無配に転落したのだ。

 企業とってこれは落第に等しい。かつてほどの高いブランド力はないものの、それでも「ソニー」である。それが無配に陥るなんて、優等生が落第するようなものだったといえる。

 しかし、市場はいまや15年3月のことを忘れつつある。まだ3月が終わって1ヵ月も経っていないじゃないか。こういうことになろうが、市場にとってはたとえ1日であろうと、過ぎたことは過去。すぐに忘れて次を見る。

 この点でソニーに対しては、今期の収益回復を見込み、それを先取りし始めていることになる。

 このような市場の動きが分からないと、ソニーの厳しい数字を見て、「なんでこんな会社の株が上がるのだ?」ということになってしまい、投資できない。

 実際、このタイプの投資家は意外に多い。現状だけを見て投資してしまい、買うべきではない株を買ったり、最悪の場合、空売りしてしまうのだ。

 これでは儲かりにくい。株式投資でいつも大事なのは、いまではない。未来だ。それも数年後先のことではなく、数ヵ月~1年先になる。

 そんな先のことがどうして分かるのだ?

 生真面目な方からはこんなご質問を受けることがある。確かにその気持ちは分かる。明日のことも分からないのに、半年~1年後のことなど分かるはずがないからだ。しかし、推測や観測でよいのだ。そして、それは次第に修正すればよい。

 こんな観点から市場を見回すと、今後も収益を伸ばしそうな銘柄が見つかりやすい。

 さて、注目はペット保険最大手のアニコムHD <8715> 、製氷機世界一のホシザキ <6465> 、真珠で国内首位のTASAKI <7968> 、そして東京株式市場の中核企業である日本取引所 <8697> などがある。

 そのほか、目先は高くて押し目を待つという条件付きでソニー <6758> が引き続き魅力的だ。

2015年4月10日 記

「チャートブック日足集」No.1566より転載

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均