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【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】


「2万円奪回はあくまで『通過点』」

●25日線で測る投資タイミング

 東京市場は日経平均株価の2万円奪還を目前にして足がもたついている。直近の最高値は3月23日につけた1万9778円。この原稿を書いている時点では1万9300円台後半なので400円ほども後退してしまったことになる。

 年初から買い越しを続けていた外国人投資家たちが売り越しに転じたりしていることが響いている。こう見てよい。

 今年は1月半ばに底を打って以降、時々浅い調整を入れながら絶好ともいえるほどの上昇トレンドが続いただけに、少し下げると実際以上に状況が悪化したように見えてしまうかもしれない。

 そのため、なかなか個人投資家の積極的な買いは見られないのだが、これは現在の市場対応策としては悪くない。3月11日から23日にかけて見られた上昇気流に乗ったような連騰相場に参加してしまった場合、残念ながら成功の確率が低くなってしまうからだ。

 ところが、現在のように一押しして、そこから戻りかけた水準での投資なら、成功確率が高くなる。幸い、日経平均の日足は25日移動平均線と絡み合いながら上昇を続けていて、株価と平均線との離合が適切な投資タイミングを教えてくれている。

 いまは4月1日に日経平均が25日移動平均線を一時割り込んだあと、回復の兆しを見せ始めたところだ。

 その背景には何があるのか。米国経済の着実な成長だ。それがリアルに現れるのが雇用であり、この原稿を書いている時点ではまだ未発表ながら3月のそれも雇用増の継続を確認できるものになるだろう。

 ちなみに先月の非農業部門の雇用は29.5万人増だった。これは想定以上、それも驚きの増加ぶりだったことから、今回は23万~25万人増程度に減少しても問題はない。最悪20万人増程度でも悲観するようなことではなく、むしろ評価できるほどだ。

 ところが、投資家の中には、数字が減少しさえすればマイナスと考える人が意外に多い。そもそも雇用統計の数字は、たとえ1万人増であっても、雇用が減少しているのではなく増加しているのだから意味がある。

 この点を見逃してしまうと、たとえば18万人増だった場合、先月に比べると10万人以上も減少してしまい、米国経済は回復どころか減速に向かっている。こんな解釈をしてしまいやすい。

 この点、勘違いしないようにしたい。

●鮮明になる企業業績の改善

 では、雇用統計が発表されたあと東京市場はどんな動きになるか。もちろん、2万円奪還に向かうことになる。こう書くと2万円が目標値のように見えてしまうかもしれないが、この数字はあくまでも通過点に過ぎない。さらなる高値へ進んでもらわなければならないし、実際もそうなる確率が非常に高い。

 これから企業は、6月にかけて前期(15年3月期)決算と今期(16年3月期)の予想値を順次発表していく。それらはもちろん個々の企業によって増収増益、減収減益など色々な形になるものの、増収増益予想の企業が多数に及ぶのはまず間違いない。

 円安によるメリットを受ける企業が多く、円安によるデメリットを受ける企業も製品の値上げによってそれをカバーし、増収増益が見込めるからだ。

 しかも、原油価格の下落によりエネルギーコストも低下している。企業はこの点には振れず、円安の弊害だけを強調していることから考えて、実際には利益をたっぷり貯め込みつつあると見てよい。

 もちろん、ベースアップの実施などによる人件費の上昇もある。しかし、その分、消費活動は活発になり、国内消費への依存度の高い企業も収益増となるところが多くなる。

 4月1日に発表された日銀短観で大企業製造業の業況判断指数DIが前回と同じく12ポイントだったことにしても、低下していなかったことに意味がある。消費税引き上げの影響が次第に薄らぎつつある。こう見てよいからだ。

 さて、ここでの注目銘柄は、まずは今期収益の好転確率が高いソニー <6758> だ。高値で揉み合いを続けているが、そろそろ本格的な浮上が見込める。

 国内消費依存度の高い企業としては株式を3月末に1株を4株に分割したOLC <4661> がある。スニーカーブームの恩恵をフルに受けているABCマート <2670> も押し目は見逃さないようにしたい。

 スマートカー向け部品製造に注力する方針が明らかになったアルプス <6770> や高級ホテル・旅館紹介サイトの運営で知られる一休 <2450> などが魅力的だ。

2015年4月3日 記

「チャートブック週足集」No.2019より転載

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