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【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】


「売り手が作る上昇相場」

●2大マイナス材料を跳ね返して上昇

 2月に入ると決まったように「節分天井」という声が聞かれ、3月の彼岸にかけて下げ続ける。こんな見方が市場を支配する。

 私はそんな見方をする人がいると、つい苛立ってしまう。外国人主導の東京市場に、「節分」などなんの関係もないからだ。

 それなのに決まったように「節分天井」を口にするのは、心の頭にチョンマゲを付けているようなもの。実際の相場とはなんの関わりもないはずであり、実際の展開もそうなってくれて喜ばしい限りだ。

 昨年もそうだったが、節分の頃の安値は結局は買いだったのだ。

 ただ、それにしても今月の日経平均の上昇ぶりには困惑さけられた。2月3日に安値をつけて以降、上がりっぱなしになったからだ。いわゆる「押し目待ちに押し目なし」の言葉通り、1日、2日の足踏みはあったものの大きな下げはまったくなく、まさしくどんどん上がった。

 ギリシャの債務問題を巡る同国新政権とEU連合の対立、ウクライナの内戦激化という2大マイナス材料がある中で、東京市場は上がり続けたことになる。

 それ故、知り合いの投資家さんたちの間からは、「特に好材料がないのに、なんでこんなに上がるんですかね」との質問を幾度もいただいた。答えは簡単だ。いまは売り手が作る相場だからだ。

 どういうことか。株価は買い手がいなければ上がらない。ところが、いまは買い手が少ない。前述したように大きな気掛かり材料があるため、とても積極的に投資するわけにいかない。こう思い、買いを手控えている投資家がほとんどだ。

 ところが、このような気掛かり材料がある状況を好む投資家がいる。空売りで儲けようとしている投資家だ。彼らは株価が下がることを願っているため、気掛かり材料があればあるほど、それが大きければ大きいほど元気になる。株がとんでもない下げになるかもしれないからだ。そうなると一挙に儲かる。

 こんな計算から空売りをする。ところが、実際の株価はほとんど下げないばかりか、次第に上がりはじめる。そうなると彼らはどうなるか。見込みが違うため、損勘定になってしまい、そこから逃れるためには株を買い戻さざるを得なくなる。

 しかし、一方でさらに空売りしてくる投資家もいる。そうなることで、空売りが増えつつ買い戻しも多くなる。こうなるため、多くの銘柄が空売りをしている投資家たちの買い戻しにより上がっているのが実際だ。
 
 ETFの日経ブル2 <1579> [東証E]のような銘柄さえそうなのだから異例だ。地方銀行株、私鉄株などは軒並み信用売り残が多くなっているし、ソニー <6758> でさえ同様だ。

●追いかけ買いは避け、調整を待つ

 ソニーは私もたびたび注目銘柄に取り上げるが、なにを見ているかといえば、業績回復の期待が持てるのはもちろんだが、常に注視しているのは信用取引残だ。

 チャートブックにももちろんそれは記載されているが、ある投資家さんに聞いたところ「あまりよく見ていない」とのことだった。これは私にいわせるととんでもないことになる。まずは何よりこのデータをチェックするようにしたい。

 出来高が少ない相場では、売り手が株を買ってくれるからで、売り残が多い銘柄ほど近い将来、株を買ってくれる可能性が高いのだから、株価も上昇する確率が高くなる。

 株式投資ではもちろんファンダメンタルズが重要で、それを必ずチェックしたいが、値動きの活発な銘柄で成果を上げたいとなったら、信用取引のデータを見るのが正解だ。

 そんなものはベテランがやればいい。こんな答えが返ってきそうだが、株式投資にベテランも初心者もない。ベテランだって見るべきものを見なければ儲からないどころか、損ばかりしてしまうのだ。初心者ももちろん同様だ。

 このため、いまは売り手が作る相場であることを根幹に置いて投資する。これが大事であり、時々出現する気掛かり材料によって株価が下げたとしても、慌てたりなどしないようにしたい。

 気掛かり材料によって株価が下げた場合、空売りしている人たちは喜び、さらに売りを増やしてくる可能性がある。それはやがて株の買い要因になるため、歓迎すべきものになる。

 それ故、いまは株価がどんどん上がるところを追いかけ買いしない方がよい。近々、利益確定売りなどにより調整が入ると見てよく、出動するのはその時でよい。そうなった時には、現在上昇し続けているソニーも買いやすく、投資魅力が増すことになる。

 いまはこんな観点から相場を見る。これが大事になっているので、あまり無理はしないようにしたい。

 このような条件付きで注目したいのはJR西日本 <9021> 、前回も取り上げた旭化成 <3407> 、日デジタル <6935> 、GMO-PG <3769> 、ペット保険に強いアニコムHD <8715> などが魅力的だ。

 毎度お馴染み銘柄である日本空港ビル <9706> 、京阪電 <9045> も引き続き注視を。

2015年2月27日 記

「チャートブック日足集」No.1560より転載
(「株探」編集部)

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