【市況】【杉村富生の短期相場観測】
「マーケット再生に向け官民が始動!」
●GPIF、かんぽ生命が下値を買う!
日本の株式市場は「極端な」と形容されるほどの外国人主導のマーケットである。その外国人は年初以来、売り越しを続けている。しかし、先物は買っている(1月第4週は5900億円の買い越し)し、GPIF、かんぽ生命、日銀のETF買いは入る。
したがって、大きな崩れは考えにくい。むしろ、日本株は欧米市場に対し、大きく出遅れている。その修正があろう。
すなわち、NYダウは金融危機(サブプライムローン・ショック、リーマン・ショック、ユーロ不安→南欧諸国のソブリンリスク)前の高値(2007年10月9日の1万4164ドル)を27%強上回っている。ドイツDAX指数は史上最高値圏にある。今回の金融危機の“震源地”は欧米だったじゃないか。それなのに、日経平均株価は金融危機前の高値(2007年7月9日の1万8261円)をいまだに抜いていない。これはどうしたことか。
●日本経済、日本市場の逆襲が始まる!
これが日本の株式市場が出遅れているということ。時価総額をみると、NY市場の時価総額は過去25年間に7倍となり、直近のピークは2850兆円である。
かつて、東京市場の時価総額はNY市場のそれを上回っていた。しかし、現在はピーク時の8掛けにとどまり、NY市場の時価総額の6分の1に甘んじている。まさに、これが失われた20年のツケ、「マネー敗戦」の象徴だろう。
だが、今、日本経済、日本の株式市場の逆襲が始まっている。
安倍政権のアベノミクスは日本再生→失われた20年の克服を目指し、黒田日銀総裁は異次元の金融緩和を断行している。その狙いは円高阻止→デフレ脱却にある。
GPIFのポートフォリオの見直しもあった。これらが政策対応である。もちろん、これだけではない。企業も変わった。これが投資価値を向上させる。
2014年3月期では2社に1社が増・復配に進んだが、2015年3月期では3割の企業が増・復配を行う意向という。
●政策対応+投資価値向上の効果!
この背景には機関投資家の行動規範を定めたスチュワードシップ・コードの導入、上場企業の経営陣の行動規範を定めたコーポレートガバナンス・コードの導入がある。
この2つのルールは双方に目的を持った対話を求め、これによって企業の持続的成長を可能にし、最終受益者(株主)の利益を確保、ひいては経済全体の成長を目指すというもの。これは投資価値の向上を意味する。
こうしたトレンドの変化の前に、ギリシャ問題、ウクライナ情勢、テロの恐怖、原油価格の値下がり(逆オイル・ショック?)などは小さなアヤにすぎない。もちろん、パニックは政策の母!という。
困難は乗り越えられる。これが歴史の教訓である。
●メガバンクが出遅れている!
すでに、ECBはQEに踏み切り、セーフティネットは万全に近い状態に張られている。確かに、ギリシャ問題の解決は難しいが、誰も破滅的な状況を望んでいない。必ず妥協点を見出せるだろう。
原油価格の下落については再三指摘しているように、メリットを受ける国・地域の方がはるかに多い(約8割)。それに、ロシアの行き詰まりはまずい。1986~1991年のような原油価格の急落→ソビエト崩壊は考えにくい。いや、誰だってそんな事態を想定していないと思う。
一方、物色面ではメガバンクの出遅れが際立っている。中・長期に三菱UFJ <8306> は1000円、みずほFG <8411> は320円絡みの水準を目指している、と判断する。
小物では引き続いてDMP <3652> [東証M]、アートSHD <3663> [東証2]、ネクス <6634> [JQ]、日本プラスト <7291> [東証2]などに妙味があろう。
2015年2月18日 記
(「チャートブック日足集」No.1559より転載)
(「株探」編集部)
●GPIF、かんぽ生命が下値を買う!
日本の株式市場は「極端な」と形容されるほどの外国人主導のマーケットである。その外国人は年初以来、売り越しを続けている。しかし、先物は買っている(1月第4週は5900億円の買い越し)し、GPIF、かんぽ生命、日銀のETF買いは入る。
したがって、大きな崩れは考えにくい。むしろ、日本株は欧米市場に対し、大きく出遅れている。その修正があろう。
すなわち、NYダウは金融危機(サブプライムローン・ショック、リーマン・ショック、ユーロ不安→南欧諸国のソブリンリスク)前の高値(2007年10月9日の1万4164ドル)を27%強上回っている。ドイツDAX指数は史上最高値圏にある。今回の金融危機の“震源地”は欧米だったじゃないか。それなのに、日経平均株価は金融危機前の高値(2007年7月9日の1万8261円)をいまだに抜いていない。これはどうしたことか。
●日本経済、日本市場の逆襲が始まる!
これが日本の株式市場が出遅れているということ。時価総額をみると、NY市場の時価総額は過去25年間に7倍となり、直近のピークは2850兆円である。
かつて、東京市場の時価総額はNY市場のそれを上回っていた。しかし、現在はピーク時の8掛けにとどまり、NY市場の時価総額の6分の1に甘んじている。まさに、これが失われた20年のツケ、「マネー敗戦」の象徴だろう。
だが、今、日本経済、日本の株式市場の逆襲が始まっている。
安倍政権のアベノミクスは日本再生→失われた20年の克服を目指し、黒田日銀総裁は異次元の金融緩和を断行している。その狙いは円高阻止→デフレ脱却にある。
GPIFのポートフォリオの見直しもあった。これらが政策対応である。もちろん、これだけではない。企業も変わった。これが投資価値を向上させる。
2014年3月期では2社に1社が増・復配に進んだが、2015年3月期では3割の企業が増・復配を行う意向という。
●政策対応+投資価値向上の効果!
この背景には機関投資家の行動規範を定めたスチュワードシップ・コードの導入、上場企業の経営陣の行動規範を定めたコーポレートガバナンス・コードの導入がある。
この2つのルールは双方に目的を持った対話を求め、これによって企業の持続的成長を可能にし、最終受益者(株主)の利益を確保、ひいては経済全体の成長を目指すというもの。これは投資価値の向上を意味する。
こうしたトレンドの変化の前に、ギリシャ問題、ウクライナ情勢、テロの恐怖、原油価格の値下がり(逆オイル・ショック?)などは小さなアヤにすぎない。もちろん、パニックは政策の母!という。
困難は乗り越えられる。これが歴史の教訓である。
●メガバンクが出遅れている!
すでに、ECBはQEに踏み切り、セーフティネットは万全に近い状態に張られている。確かに、ギリシャ問題の解決は難しいが、誰も破滅的な状況を望んでいない。必ず妥協点を見出せるだろう。
原油価格の下落については再三指摘しているように、メリットを受ける国・地域の方がはるかに多い(約8割)。それに、ロシアの行き詰まりはまずい。1986~1991年のような原油価格の急落→ソビエト崩壊は考えにくい。いや、誰だってそんな事態を想定していないと思う。
一方、物色面ではメガバンクの出遅れが際立っている。中・長期に三菱UFJ <8306> は1000円、みずほFG <8411> は320円絡みの水準を目指している、と判断する。
小物では引き続いてDMP <3652> [東証M]、アートSHD <3663> [東証2]、ネクス <6634> [JQ]、日本プラスト <7291> [東証2]などに妙味があろう。
2015年2月18日 記
(「チャートブック日足集」No.1559より転載)
(「株探」編集部)