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【市況】新興市場見通し:強弱感が対立、中小型株に対する物色意欲は旺盛


先週の新興市場は、外部環境の悪化が心理的な重しとなり、換金売り優勢の展開となった。米国市場ではネット関連やバイオ関連などモメンタム株が一時大幅下落となり、3月相場と同様に、国内でも換金売り懸念が強まった。また、手掛かり材料が乏しい中で、物色は値動きの軽いテーマ株の一角などに留まる格好に。マザーズ指数は10日まで6日続落となったものの、下値での押し目買い意欲は根強く、週末は押し目買い優勢となった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-1.8%であったのに対して、マザーズ指数は-2.9%、日経ジャスダック平均は-0.5%だった。

個別では、サイバーダイン<7779>や日本通信<9424>など、直近で短期資金による物色で賑わっていた銘柄の一角が利益確定売りに押された。日本通信については、東証が信用取引に関する臨時措置を発表したことがネガティブ材料視された。また、米ネット関連株の下落が心理的な重しとなり、サイバーエージ<4751>やアドウェイズ<2489>、Dガレージ<4819>など、ネット関連もさえない動き。一方、ミクシィ<2121>は、スマホ向けゲーム「モンスターストライク(モンスト)」への期待を背景に年初来高値を更新した。その他、竹内製作所<6432>やサマンサJP<7829>などは、好決算が評価され大幅高へ。なお、10日にジャスダック市場へ上場した貴族<3193>の初値は公開価格の約2.2倍となり、想定以上の人気化となった。

今週の新興市場は、外部環境の先行き不透明感が燻る一方、中小型株に対する旺盛な物色意欲が支援材料となり、強弱感が対立する展開となりそうだ。欧州の信用不安などを背景に円高進行となる中で、日経平均が下値を試す場面ではリスクオフムードが強まる可能性がある。一方、値動きの軽い中小型株に対する関心は根強く、過度な下値不安は高まらない公算。今週から米国では決算発表が本格化するほか、今月末からの国内企業の決算発表を控えて様子見姿勢が強まることが想定され、やや消去法的に短期資金が値動きの軽い中小型株へ向かうことも見込まれる。ちなみに、マザーズ指数は先週、5月中旬からスタートした上昇局面において初めて25日線を割り込んでおり、目先は25日線を早急に回復できるかが先行きを占おう。

個別では、ミクシィやサイバーダイン、日本通信など、直近で物色の柱となっていた銘柄の動向が注目される。先週はミクシィこそ年初来高値を更新する強い動きを見せたものの、サイバーダインなどは利益確定売りが優勢となっていた。物色の柱となっていた銘柄の調整色が強まる局面では個人投資家の需給環境の悪化が想定され、新興市場全般に換金売りも波及しやすいだろう。

その他、今週も手掛かり材料が乏しい展開が見込まれ、値動きの軽さを材料視したテーマ株の物色が中心となる公算。また、15日にマザーズ市場へ上場するイグニス<3689>への関心も高まることになりそうだ。同社はスマホ向けアプリの開発などを手掛ける企業で、初値の人気化は必至となろう。なお、今週は14日にウエストHD<1407>やいちごHD<2337>、15日に買取王国<3181>や白鳩<3192>、18日にゲンダイAG<2411>などの決算発表が予定されている。

《TN》

 提供:フィスコ

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