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【特集】3DマトリックスResearch Memo(6):肺気腫(COPD)治療、食道瘢痕狭窄予防等がパイプライン候補に


■次期パイプライン候補と国家プロジェクトへの取り組みについて

スリー・ディー・マトリックス<7777>の製品の根幹をなす自己組織化ペプチドの優位性が国内外で認知されてきており、現在、大学病院や研究機関と様々な領域において共同研究が進んでいる。次期パイプライン候補と国家プロジェクト関連の研究テーマについて、以下に紹介する。

次期パイプライン候補としては現在、5つ程のテーマを、大学病院などと共同で進めている。慶応義塾大学病院とは自己組織化ペプチド「PuraMatrix」を用いた食道瘢痕狭窄予防に関する医師主導の臨床試験が行われている。食道瘢痕狭窄は、内視鏡的食道粘膜下層剥離術後にしばしば合併症として発症するもので、狭くなった気道を拡張するための手術は年間2万件実施されている。現在、食道狭窄に対する予防法は確立されていないが、慶應義塾大学病院で100例以上の患者に「Puramatrix」を適用したところ、良好な結果が得られていると言う。2014年に海外学会にて同大学が研究成果を発表する予定となっている。

その他の開発テーマで、収益へのインパクトが大きくなりそうなものとしては、肺気腫(COPD)治療が挙げられる。世界の肺気腫患者は2億人いるとされており、2030年までには世界の死亡原因第3位になると予想されている(喫煙が主原因)。近年では、外科手術によって肺気腫部分を切除する治療法が普及しているが、患者への負担が大きいため、低侵襲治療法の確立が求められている分野となっている。同社は肺気腫治療に特化した最先端研究を実施しているSt,Elizabeth’s Hospital(米タフツ大学医学部教育提携病院)と共同で「PuraMatrix」を用いた低侵襲治療の研究を進めており、今後の開発動向が注目される。

一方、国家プロジェクトとしては国内では既に発表済みの4件のテーマに関しての共同研究が行われているほか、2014年度には現在、アメリカ国立衛生研究所の研究プロジェクトとして申請中のワクチン・デリバリー・システムの開発が始まる見通しだ。最初のターゲットとして、牛及び水牛の住血吸血症に対するワクチン治療(動物臨床段階)を実施することで、人間への感染症の伝播を防ぐことを目的とする。将来的には、鼻疽、B型肝炎、インフルエンザ等のワクチンへの応用も検討している。同社が持つ自己組織化ペプチド技術と抗原およびアジュバント(注)を組み合わせることによって以下の利点があると考えられている。

(注)アジュバント:抗原と混合して生体に投与することにより、投与した抗原に対する免疫応答を増強する物質を指す

(自己組織化ペプチドゲルを用いることによる利点)
・ゲル化することにより、抗原の局所的な濃度を高めて効果を高める
・ペプチドゲルからの徐放により、アジュバントの毒性(反応原生)を下げる
・抗原とアジュバントを素早く混合できる
・抗原として従来のサブユニットだけでなく、生体を使えることにより応用範囲が広がる


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤譲)

《FA》

 提供:フィスコ

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