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【経済】NYの視点:「暗黒の月曜日」への警戒感


10月19日で、ブラックマンデー(暗黒の月曜日)から26年目を迎える。1987年10月19日、ニューヨーク株式相場の暴落をきっかけに世界同時株安を招いた史上最大規模の世界的株価大暴落だ。本年2013年10月19日は土曜日にあたる。同時に、米国財務省が資金が枯渇すると予想している17日に近く、10月の14日、または21日の月曜日が再び「ブラックマンデーに陥るのでは」との警戒感も強い。一方で、共和党の一部はルー米財務長官が指摘する17日に不足すると見られている「60億ドルの資金手当ては可能」「財務長官が圧力をかけるべく政治的に動いているだけ」と非難する向きもあり、資金は11月中ごろまで持つ可能性があるとの楽観的な見方もある。

米国短期証券相場では米国の債務不履行への警戒感を織り込んでいる。米国財務省が8日に実施した300億ドル規模の1カ月証券の入札で、利回りは0.35%と米国金融危機の真っ只中2008年以来で最高水準となった。応札倍率は2.75倍と、米国経済が景気後退(リセッション)下の2009年3月以来で最低。ワシントンをめぐる不透明感を嫌気し、短期債券相場は軟調だ。米国債券保有で世界第1位、2位を競い両国の保有規模が2.4兆ドル超にのぼる中国と日本は米国に債務危機が起きないよう断固たる措置をとるよう要請した。国際通貨基金(IMF)も世界経済見通し報告の中で、「米国のデフォルトは世界経済に深刻な被害を与える」と警告。今週末に開催が予定されている20カ国・地域(G20) 財務相・中央銀行総裁会議でも米国の政府機関閉鎖や債務上限問題が議題になる可能性が大きい。

政府機関の閉鎖によるコストは1日につき1.6億ドルで、最終的に16億ドル規模に達する可能性が指摘されている。オバマ米大統領は債務上限に関する交渉はしないとの方針を崩していない一方、ジョン・ベイナー下院議長も大統領や民主党提案の条件をつけない債務上限引き上げ法案を承認する意向はないことを表明。一向に両者の溝が埋まる兆候は見られない。ただ、唯一、明るい材料としては大統領が優先的な債務支払いに言及したことだといえる。当初は優先的な債務支払いは不可能だとしていた。国債の元利払いや退職者向け社会保障を優先することにより債務上限を引き上げることなく、影響を最小限に食い止めることができる。5月に債務が上限に達した際、共和党下院議員だけでなく、上院も、「議会が債務上限を引き上げることができなければ国債の元利払いや退職者向け社会保障を優先すること」を財務省に対して定めた法案に賛成していた。10日に予定されている議会でのルー米財務長官による優先的な支払いに関する言及に注目が集まる。

■米財務省短期証券(TB)の償還予定

2013年10月31日:363億ドル(表面利率0.25%)、251億ドル(2.75%)
11月15日:306億ドル(4.25%)、329億ドル(0.5%)

■主要な支払い予定

10月23日 120億ドル 社会保障給付金
10月31日  60億ドル 米国債利子
11月1日 670億ドル メディケア(高齢者向け医療保険制度)、社会保障給付金、現役軍給与、公務員手当て、退役軍人手当て
11月13日 120億ドル 社会保障給付金
11月15日 310億ドル 米国債利子

《KO》

 提供:フィスコ

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