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4725 CAC

東証P
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時価総額 391億円
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CACHD Research Memo(1):1966年の創業以来、変革を続けてきた独立系IT企業グループ


■要約

1. 会社概要と事業内容
CAC Holdings<4725>は、1966年8月設立の日本国内ではパイオニア的な独立系ソフトウェア専門会社として事業をスタートし、積極的なM&A戦略をテコに事業領域を拡大してきた。2021年6月、CRO事業(製薬企業が医薬品開発時に行う治験業務や製造販売後の業務の受託・代行サービス)を担っていた連結子会社(株)CACクロア(現 EPクロア)の譲渡に踏み切り、現在は国内外でのIT事業に経営資源を集中する企業グループ(持株会社傘下の連結子会社19社、持分法適用関連会社2社が事業展開、グループ従業員数4,249名)を形成している。

2022年12月期からの報告セグメントは、国内IT事業(国内子会社におけるシステム構築サービス・システム運用管理サービス・人事BPOサービスなどの提供)と海外IT事業(海外子会社におけるシステム構築サービス・システム運用管理サービス・保守サービスなどの提供)の2つで構成されている。

2. 2021年12月期の連結業績は期初予想から大幅に上振れて着地
2021年12月期の連結業績は、売上高が前期比1.2%減の47,935百万円、営業利益が同89.7%増の3,697百万円、経常利益が同92.1%増の3,668百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同48.4%増の2,476百万円となった。期初予想(売上高51,000百万円(前期比5.1%増)、営業利益2,600百万円(同33.4%増)、経常利益2,500百万円(同30.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,700百万円(同1.8%増))に対しては、期中に連結子会社2社が連結除外となった影響で売上高こそ未達となったものの、営業利益以下は国内IT事業の好調やCRO事業の損失解消により大幅に上振れて着地した。また、財務体質の安全性を測る代表的な指標の推移を見ると、自己資本比率が前期末57.0%から2021年12月期末65.1%、流動比率が同226.9%から2021年12月期末245.6%、ネットキャッシュ(現金及び預金-有利子負債(プラスはキャッシュ超過))が同7,455百万円から2021年12月期末 7,854百万円となり、いずれも一段と向上している。

3. 2022年12月期の連結業績予想は前期比6.1%減収、同18.9%営業減益を見込む
同社による2022年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比6.1%減の45,000百万円、営業利益が同18.9%減の3,000百万円としている。同社が減収減益予想とする主因は、前期に計上されたCRO事業貢献分(売上高で4,841百万円、営業利益で812百万円)が事業譲渡の影響で剥落するためである。セグメント別では、国内IT事業の売上高が同1.2%増の34,000百万円、セグメント利益が同7.0%減の2,400百万円、海外IT事業の売上高が同15.7%増の11,000百万円、セグメント利益が同97.8%増の600百万円を見込んでいる。国内IT事業が増収ながら減益計画であるのは、新規事業の立上げ費用として450百万円程度を織り込んでいることによる。

4. 最大の強みは「トランスフォーメーション力」
同社の最大の強みは、時代によって変化する社会のニーズ・課題に応じて自らを変革してきた「トランスフォーメーション(企業変革)力」だと弊社は考えている。同社は、独立系ソフトウェア専門会社としての成長に安住することなく「M&Aによる事業拡大」に「選択と集中による事業構造改革」を織り交ぜながら、企業変革を継続してきた。その「トランスフォーメーション力」を支えているのが「挑戦を是とする企業文化(経営の意思)」「事業拡大の核となる優良な顧客基盤」「機動的な財務戦略を可能とする盤石な財務体質」である。

5. 長期ビジョン及び新中期経営計画を発表
2022年2月、同社は長期ビジョン「CAC Vision 2030」と「新中期経営計画」を公表した。「CAC Vision 2030」は10年後の「ありたい姿」「向かうべき方向性」を定め、共有することでグループのベクトルを統一させることを主目的としており、「テクノロジーとアイデアで、社会にポジティブなインパクトを与え続ける企業グループへ」を中長期的に目指す企業像として掲げている。「CAC Vision 2030」では、2022~2025年(新中期経営計画期間)をプロダクト&サービス基盤(新規事業を継続的に立ち上げる仕組みとビジネス基盤)の構築に充てるフェーズ1と位置付け、2025年12月期における目標値として売上高580億円、営業利益50億円、営業利益率8%以上、ROE10%以上を設定している。そして、2026~2030年は高成長を実現するフェーズ2とし、最終的に高収益・高成長の「デジタルソリューション提供企業」への生まれ変わりを達成するとしている。

6. 社会への貢献を核に据えた非財務価値向上への取り組みを推進
ITを事業の柱とする同社は、本業を通じて社会が抱える課題を解決する典型的なCSV(Creating Shared Value、事業を通じた社会貢献)型企業グループである。障害者スポーツ「ボッチャ」の普及・支援活動を2016年から継続している同社の姿から、非財務価値向上に真剣に取り組む同社の思いが読み取れる。また新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)において、同社のワークスタイル変革の真価が確認されている。コロナ禍に伴う2020年春の緊急事態宣言発出に際し、中核事業会社の(株)シーエーシーでは、リモートワークを積極化することで本社の出社人員数を平常時の約2割に抑制したが、大きな混乱もなく事業を継続することに成功した。なお、2021年8月以降もシーエーシーは全社出社率(客先常駐も含む)を50%以下に抑える運用を実現しており、「生産性向上・コスト削減」と「働きやすい環境」の両立を目指した同社のワークスタイル変革の今後に注目したい。

■Key Points
・創業来50年超の歴史を持つ独立系SIer(システム・インテグレータ)のパイオニア
・最大の強みは「トランスフォーメーション力」。それを支えるのは「挑戦を是とする企業文化」「優良な顧客基盤」「盤石な財務体質」
・「CAC Vision 2030」を公表。2025年12月期における目標値として売上高580億円、営業利益50億円、営業利益率8%以上、ROE10%以上を設定
・CSV型企業グループである同社は「ボッチャ支援」や「ワークスタイル変革」を通じ、社会貢献を核に据えた非財務価値向上にも取り組む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)

《EY》

 提供:フィスコ

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