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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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3245 ディア・ライフ

東証P
884円
前日比
-9
-1.01%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
7.6 1.75 5.20 12.83
時価総額 397億円

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DEAR・L Research Memo(1):2023年9月期通期は、中計の経常利益目標60億円を達成(1)


■要約

ディア・ライフ<3245>は、都市型レジデンスの開発事業・収益不動産への投資事業などのリアルエステート事業と、保険、金融、不動産業界への人材派遣を行うセールスプロモーション事業を展開する企業グループである。2004年の会社設立以来、東京圏に特化した、主に単身者・DINKS向けレジデンスの開発(リアルエステート事業)を主軸として急成長を遂げた。代表取締役社長の阿部幸広(あべゆきひろ)氏をはじめとした専門性の高い人材による不動産目利き力が強みである。2007年8月、会社設立から3年弱で東証マザーズに上場。2015年8月には東証1部に昇格、2022年4月の東証再編においては、プライム市場に移行した。2021年には、金融・保険業界のコールセンター向け人材派遣事業を展開する(株)N-STAFFを傘下に持つ(株)DLXホールディングス(以下、DLX-HD)及び総合不動産会社のアイディ(株)、(株)アイディプロパティ(以下、アイディグループ)を子会社化した。現在は、2025年9月期に経常利益で100億円を目標とする中期経営計画を推進中である。

1. 市場動向と同社の強み
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が終息し、不動産セクターも復調傾向にある。世界の大都市のなかで東京の不動産価格はまだ割安である(割高ではない)と言われている。加えて昨今の金利差や円安傾向がさらに“TOKYO”の割安感を高めている。

このような環境下で、同社は需要の堅調な東京圏、特に神楽坂・飯田橋・市ヶ谷をはじめとする「職・食・住」の利便性が良好なエリア(新宿区、千代田区など)に事業エリアを特化することで、販売面だけでなく、用地取得や建築発注においても優位性を確立している。情報の非対称性が依然大きい不動産業界では、有益な用地・物件情報であればあるほど、フェイス・トゥ・フェイスの商談が重要になってくる。同社はエリアを限定することにより、より効率的で密度の濃い仲介業者などとの業界人脈を構築できており、その情報取得力は高い。またエリアを限定することで継続的に工事発注できることから、ゼネコンなど建築業者とも良好な関係性を構築できており、品質の高い建築請負工事を実現している。また、社内に一級建築士をはじめ専門性の高い人材を抱えていることも大きなアドバンテージとなっている。用地取得に関しては、素早く情報をキャッチすると同時にその開発ポテンシャルを素早く的確に算定し、競争力ある価格提示を迅速に行える能力が不可欠である。また建築技術等に詳しい人材がいればコスト抑制策での創意工夫が進みやすく、ゼネコンなどとの折衝力が高まる。

2. 業績動向
2023年9月期通期は、売上高が前期比16.2%減の43,503百万円、営業利益が同6.1%増の6,087百万円、経常利益が同9.1%増の6,181百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.5%増の4,304百万円となり、中計の経常利益目標6,000百万円をしっかりと突破した。主力のリアルエステート事業では、同社が注力する首都圏の住居系不動産が活況であり、自社開発の都市型レジデンスや自社開発の商業ビル、アセット・デザイン&リセール(ADR、土地の開発適地化)、収益不動産を合計70件売却した。売却した不動産には10億円を超える物件も多数あり、物件の大型化が進捗した。セールスプロモーション事業においては、連結子会社DLX-HD傘下のN-STAFFによる非対面での保険営業人材の派遣などの需要が堅調に推移した。得意分野である金融・不動産業界以外にも派遣先が多様化・拡大している。

売上総利益率では前期比2.9ポイント増の19.7%となり、高い利益率での売却が実施できたことがわかる。出口(売却先)が多様化し、不動産小口化商品を取り扱うファンドなどが買い手として増えたことも一因である。販管費に関しては、長年培ったネットワークの活用により仲介手数料が減少したことなどにより、同17.1%減となった。これらの結果、経常利益で前期比9.1%増と堅調な増益を達成した。なお、同社は中期経営計画「突破 2025」を推進しており、初年度の利益目標はすべて達成したことになる。

2024年9月期通期の業績目標は、経常利益で7,500百万円(前期比21.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で5,100百万円(同18.5%増)としており、4年連続の最高益更新を予想する。2023年9月期通期末には事業規模で約164億円分の開発用地・収益不動産を取得しており、期初から高い水準で売却活動を推進できる。前期から物件規模の大型化、多様化が進み、物件規模で10億円以上のプロジェクトが増えていることから、進行期も少ない人員で高い成果が期待できる。東京都心の住居用不動産マーケットは依然として活況を呈しており、特に海外の投資家・ファンドにとっては、東京の不動産は海外主要都市と比較して割安であり、円安や金利差なども手伝い有利な条件が整っている。また、コロナ禍が終息し、商業系やオフィス系が活況を取り戻すなか、同社では住宅以外の不動産にも強い点などが追い風となる。セールスプロモーション事業においては、従来の戦略通り、スタッフの質的・量的な充実を図り、既存のクライアントへの人材派遣の取引拡大やサービスを提供する分野の多様化などを進める。DLX-HD及び傘下3社の合併によるコスト削減や相互人材の活用など、グループ 企業としてシナジーを発揮し収益の最大化を推進する。通期での規模拡大とセグメント利益黒字化の達成が期待できる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《AS》

 提供:フィスコ

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