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3245 ディア・ライフ

東証P
1,059円
前日比
+8
+0.76%
PTS
944円
23:47 05/10
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.1 2.09 4.34 12.47
時価総額 475億円

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DEAR・L Research Memo(1):2023年9月期第2四半期は、物件売却が順調


■要約

ディア・ライフ<3245>は、都市型レジデンスの開発事業・収益不動産への投資事業などのリアルエステート事業と、保険、金融、不動産業界への人材派遣を行う、セールスプロモーション事業を展開する企業グループである。2004年の会社設立以来、東京圏に特化した、主に単身者・DINKS向けマンションの開発(リアルエステート事業)を主軸として急成長を遂げた。代表取締役社長の阿部幸広(あべゆきひろ)氏をはじめとした専門性の高い人材の不動産目利き力が強みである。2007年8月、会社設立から3年弱で東証マザーズに上場。2015年8月には東証1部に昇格、その後も著しい成長を見せている。2021年には、金融・保険業界のコールセンター向け人材派遣事業を展開する(株)N-STAFFを傘下に持つ(株)DLXホールディングス(以下、DLX-HD)及び総合不動産会社のアイディ(株)、(株)アイディプロパティ(以下、アイディグループ)を子会社化した。2022年4月の東証再編においては、プライム市場に移行した。

1. 市場動向と同社の強み
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が終息に向かうなか、影響を受けた不動産セクターも復調傾向にある。世界の大都市のなかで東京の不動産価格はまだ割安である(割高ではない)と言われている。加えて昨今の金利差や円安傾向がさらに“TOKYO”の割安感を高めている。

このような環境下で、同社は需要の堅調な東京圏、特に神楽坂・飯田橋・市ヶ谷をはじめとする「職・食・住」の利便性が良好なエリア(新宿区、千代田区など)に事業エリアを特化することで、販売面だけでなく、用地取得や建築発注においても優位性を確立している。情報の非対称性が依然大きい不動産業界では、有益な用地・物件情報であればあるほど、フェイス・トゥ・フェイスの商談が重要になってくる。同社はエリアを限定することにより、より効率的で密度の濃い仲介業者などとの業界人脈を構築できており、その情報取得力は高い。またエリアを限定することで継続的に工事発注できることから、ゼネコンなど建築業者とも良好な関係性を構築できており、品質の高い建築請負工事を実現している。また、社内に一級建築士をはじめ専門性の高い人材を抱えていることも大きなアドバンテージとなっている。用地取得に関しては、素早く情報をキャッチすると同時にその開発ポテンシャルを素早く的確に算定し、競争力ある価格提示を迅速に行える能力が不可欠である。また建築技術等に詳しい人材がいればコスト抑制策での創意工夫が進みやすく、ゼネコンなどとの折衝力が高まる。

2. 業績動向
2023年9月期第2四半期は、売上高が前期比1.7%増の11,713百万円、営業利益が同111.9%増の1,104百万円、経常利益が同133.0%増の1,104百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同8.2%増の701百万円となり、順調な業績で上期を折り返した。首都圏の住居系不動産が活況を維持するなか、同社は自社開発の都市型レジデンスやアセット・デザイン&リセール(ADR、土地の開発適地化)、収益不動産などを順調に売却した。売却した収益不動産には10億円を超える物件が複数あり、物件の大型化が進捗した。セールスプロモーション事業においては、連結子会社DLX-HD傘下のN-STAFFによる非対面での保険営業人材の派遣などの需要が堅調に推移した。販管費に関しては、主にセールスプロモーション事業の連結子会社において本部機能の集約、取引先との契約の見直し等のコスト削減が進んだことなどにより、同23.1%減となった。セールスプロモーション事業のセグメント損益は半期での黒字化を達成した。これらの結果、営業利益で前年同期比111.9%増と好業績を達成した。

2023年9月期通期の業績目標は、経常利益で6,000百万円(前期比5.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で4,100百万円(同2.4%減)としており、過去最高益を達成した前期並みの利益を予想する(期初予想から変更なし)。リアルエステート事業では、住居系不動産を中心に東京圏への積極投資を継続する。コロナ禍の終息の動きが急速に進み、商業系が活況を取り戻すなか、同社では商業系不動産にも強い点や法人の社宅としての都心のワンルームマンションの需要も高まっている点などが追い風となる。セールスプロモーション事業においては、従来通りの成長戦略に加えて、DLX-HD傘下各社の管理部門の共通化によるコスト削減や相互人材の活用など、グループ企業としてシナジーを最大限に発揮し収益の最大化を推進する方針だ。既に上半期にセグメント利益ベースで黒字化しており、通期でも更なる収益向上が期待できる。

3. 成長戦略
同社では、2023年9月期を初年度とし、2025年9月期を最終年度とする新中期経営計画「突破2025」を推進中である。経常利益目標は、2022年9月期実績の1.76倍となる100億円と高い水準となっている。またROE18%以上、ROA15%水準を維持し、効率性・収益性を維持することも重視している。新中計において、主力のリアルエステート事業では、1) 都市型レジデンスの事業量及び事業規模の拡大、2) ニーズに沿った商品・サービスの開発・提供、をテーマとしている。「都市型レジデンスの事業量及び事業規模の拡大」としては、東京都市圏を中心とした住居系不動産への特化はそのままに、強固な財務基盤をテコに1件当たりの事業規模や開発量を拡大させる考えだ。具体的には、10億円以上の物件への投資は2022年9月期に17件だったが、3年後の2025年9月期にはこれを倍以上に増やす計画である。2023年9月期上半期には、10億円以上の物件を12件仕入れており、既に大型化は進行している。大型化の背景としては、将来的なファンド組成を視野に入れていることがある。「ニーズに沿った商品・サービスの開発・提供」としては、住居だけでなく、店舗・オフィス等の企画力を強化し、地域社会の多様なニーズを最適化した商品提供を推進することなどが代表例だろう。直近では、DeLCCS牛込神楽坂駅前PJという牛込神楽坂駅A3出口直結の収益不動産(中・大規模オフィス)を取得するなど新機軸に沿った取り組みが始まっている。

4. 株主還元策
同社は株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、財務体質強化と内部留保の確保を図る一方、株主への利益還元を重要な経営課題としているため、配当性向40%を目指している。また、自己株式の取得に関しても、株価の推移や財務状況などを勘案し、機動的に行う方針である。2022年9月期は、過去最高益を反映し、配当金は年44円(前期比14円増配、過去最高益記念配当2円を含む)、配当性向は42.4%となった。負ののれん発生益という特別利益の発生も影響し、当初の予想よりも大幅に増加した。2023年9月期は堅調な利益計画(親会社株主に帰属する当期純利益41億円目標)を背景に、配当性向40%、配当金年38円を目標とする。

■Key Points
・2023年9月期第2四半期は、東京都心の住宅系不動産市場の活況を背景に物件売却が順調。人材系連結子会社DLXホールディングスが上期黒字化を達成
・自己資金・エクイティファイナンス・金融機関からの借入をバランスよく活用し資金調達できるのが強み。自己資本比率が高く(47.5%)、財務基盤が強固
・経常利益100億円を目指す新中計が始動。リアルエステート事業では大型化が進捗、セールスプロモーション事業では、収益力向上が進捗
・2023年9月期は配当金年38円、配当性向40%が目標

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《SI》

 提供:フィスコ

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