ジェイテック Research Memo(4):新規事業の「グルくるR」と派遣・請負事業のすそ野拡大へ経営資源を投入
■事業・収益構造改革に動き出す
2期連続の減益という厳しい状況下で、ジェイテック<2479>は2016年3月期に事業・収益構造の改革を本格的に行っていく方針を示した。技術職知財リース事業の強化を維持しながら、新規事業である「グルくるR」と、派遣・請負事業のすそ野拡大において積極的な戦略を展開していく。以下に具体的な取組について説明する。
(1)技術職知財リース事業
極めて高度な技術を持つテクノロジストに関して、もともと同社は景気が悪化した際に大量の優秀な技術系人材を採用して育成し、業績を伸ばしてきた。しかし、2016年3月期決算でも明らかなように、大手メーカーが円安と原油安の効果により業績が回復している現状では優秀な人材確保は極めて困難な状況にある。リーマンショック直後には100人に及ぶ優秀な人材を確保した時期があったものの、2016年春の新卒採用は25名と苦戦した。同社には希望者には4月から10月までの半年間、オーストラリアで語学研修を行った後に入社させるという、他社にはない手厚い新人教育制度もあるが、現状の経済環境下では特に優れた人材の大量確保は困難と判断、テクノロジストの採用は計画通りに行かない可能性がある。また、受注件数も付加価値の高い案件を優先した選別受注を続けるため、大きな拡大は見込みにくいと予想される。
ただ、同社内ではテクノロジストに次ぐ技術水準と位置付けられるエンジニアの採用は強化する。従来のようにテクノロジストの採用を積極的に行ってきた際には、新卒採用に関して、工学部を持つ上位校のみに求人票を出すだけだった。しかし、今後は、専門工学系の学部のある大学すべてに求人票を送る。このような採用方針の変更によってエンジニアの数は増加する計画となっている。また、同社の技術者は相対的に極めて高い技術水準を持つため、社内ではエンジニアに位置付けられていても、テクノロジストとして技術職知財リース事業の仕事を担っていくことも考えられる。
以上のような戦略を当面取ることによって、技術職知財リース事業の売上高は大きな増加が期待しにくい一方、利益率は上昇すると見られる。テクノロジストの稼働率、稼働時間、受注単価の好転による増益要因の他、新卒採用が今までより好転することが増益要因である。
ただし、景気が著しく悪化し、技術者の大量確保が可能となった場合には、方針を転換する可能性もあることには注意が必要であろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)
《HN》
提供:フィスコ