LeTech Research Memo(2):2024年7月期第2四半期はレジデンス開発が好調に推移し増収増益(2)
■要約
3. 戦略・トピック:宮地新社長率いる新しいマネジメントチームが発足。全社員が参加して新しい「企業理念(Mission・Vision・Values)」を策定
LeTech<3497>は2023年10月より、異業種から宮地直紀(みやじなおき)新社長を招聘し新しいマネジメントチームをスタートさせた。新社長の宮地氏は、(株)富士銀行(現 (株)みずほ銀行)でキャリアをスタートし、外資系をはじめとする複数の金融機関で経験を積んだ。その後は事業会社のマネジメントに転身し、事業開発やM&A等の経験を生かして企業の成長を請け負うプロ経営者として活躍をしてきた。不動産業界での実務経験はないが(マンションデベロッパーである株式会社アスコットの社外取締役として参画した経験あり)、むしろ不動産業界に染まっていないのを強みとして、新しい風を吹き込むことを期待されての抜擢となった。数々の上場企業でのマネジメント経験を生かして、組織の活性化やデベロッパー事業依存度の高い企業体質から多角化への脱却に取り組む構えである。これまでも任意売却事業からデベロッパー事業に進化を遂げてきた同社ではあるが、次の10年~20年は、異業種からの新社長の下でさらに強靭な事業モデルへの進化を遂げようとしている。2024年4月には、宮地新社長が率いる新体制の下、Mission・Vision・Valuesからなる新「企業理念」を発表した。次の世代において同社が歩むべき未来と同社が社会に対し提供したい価値を明確にするのが目的であり、役職も部署も社歴も関係なく全社員でディスカッションをして、ボトムアップにより手づくりの新「企業理念」が出来上がった。Mission・Vision・Valuesのいずれにも“不動産”という言葉はなく、新しい体験価値を創造する企業として進化する強い意志が込められていることがわかる。
4. 株主還元策:2024年7月期は年配当金41.0円を予想。中期経営計画では配当性向20~30%を配当方針に掲げる
同社は株主に対する利益還元を経営上の重要課題と認識しており、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境、経営成績等を総合的に勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な配当を実施することを基本方針としている。中期経営計画(2024年7月期から2026年7月期)では、配当性向20?30%を指針として打ち出している。2019年7月期の配当開始から2期連続で増配を続けてきたが、2022年7月期はインバウンド向け大型開発案件による多額の売却損の影響を受け当期純損失を計上したことにより無配となった。2023年7月期は利益のV字回復により年配当金32.0円、配当性向12.8%と2期ぶりの復配を達成。2024年7月期は、期初に未定としていたが、増益予想を背景に、年配当金41.0円(前期比9.0円増配)を予想する。弊社の試算では配当性向は20.3%となる(配当予想÷1株当たり当期純利益)。
■Key Points
・2024年7月期第2四半期は「LEGALAND」をはじめとしたレジデンス開発が好調に推移し増収増益。高収益開発案件などが寄与し経常利益率で初の10%達成
・自己資本比率は26.0%に向上。収益力回復及び有利子負債の圧縮により財務基盤の健全化が進む
・2024年7月期は経常利益10億円計画に向け順調な進捗(進捗率95%)。将来に向け販売用不動産(仕掛含む)150億円以上を確保
・宮地新社長率いる新しいマネジメントチームが発足。全社員が参加して新「企業理念(Mission・Vision・Values)」を策定
・2024年7月期は年配当金41.0円を予想。中期経営計画では配当性向20~30%を配当方針に掲げる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
《HH》
提供:フィスコ