売れるネット広告 Research Memo(6):「不正注文」対策により業績未達となった
■売れるネット広告社<9235>の業績動向
1. 2024年7月期第2四半期の業績動向
日本経済は経済活動の正常化が進み、個人消費の回復やインバウンド需要の拡大により緩やかな回復が見られた。20兆円規模に達した国内インターネット通販市場は、今後も1ケタ後半の成長を継続することが予想されている。一方、クッキー規制に加え、Webマーケティング広告における「不当景品類及び不当表示防止法(景表法)」「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」など規制は厳しさを増しており、より慎重な広告表現が求められる状況となってきた。こうした環境下、同社はこれらの法規制などを遵守しながら、A/Bテストを繰り返すことで広告効率の向上に努めるとともに、D2C(ネット通販)事業者への「売れるD2Cつくーる」の導入拡大とマーケティング支援サービスの利用拡大に取り組んだ。この結果、2024年7月期第2四半期の業績は、売上高332百万円、営業損失88百万円、経常損失99百万円、四半期純損失73百万円となり、当初計画に対して未達となった。
業績未達の要因は、D2C(ネット通販)業界のリーダーとして断行した重点施策である「不正注文」対策の業績への影響が、当初想定したほどに軽微でなかったことにある。具体的には、法規制などの遵守へ向けて、保守的な広告表現への見直しによって広告効率が悪化したこと、及び「不正注文」への対策としてランディングページの仕様を変更したことにより、一時的にコンバージョン率が低迷し、マーケティング支援サービスの売上高が当初計画比57.1%と軟調に推移することとなった。さらにネット広告/ランディングページ特化型クラウドサービスについても、「売れるネット広告でざいん」の売上高が想定の61.6%で進行したことに加え、解約率が41.6%と前年(2023年7月期46.6%)を下回ったものの当初計画の35%を上回ったうえ、新規アカウントの獲得も当初計画を下回ることになった。このため「売れるD2Cつくーる」の契約アカウント数が2024 年1月末時点で145 社(2023年7月末169社)と減少、売上高は当初計画比81.7%に留まった。また、営業外費用として、2023年10月23日の東京証券取引所グロース市場への上場に伴って一過性の費用14百万円も発生した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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提供:フィスコ