売れるネット広告 Research Memo(2):ランディングページ特化のデジタルマーケティング企業
■会社概要
1. 会社概要
売れるネット広告社<9235>は、D2C(ネット通販)事業者に対し、ネット広告/ランディングページ特化型クラウドサービス及びマーケティング支援サービスを提供している。ネット広告/ランディングページ特化型クラウドサービスでは、商品などのランディングページを簡単に作成できるクラウドサービス「売れるD2Cつくーる」を主力とし、マーケティング支援サービスでは、「売れるD2Cつくーる」のクライアントにインターネット広告配信サービスを提供している。同社の強みは、A/Bテスト※1の結果に基づく「最強の売れるノウハウ」、「売れる広告」へのこだわりとランディングページの独自性、リスクを抑えた成果報酬型広告※2の提供にある。こうした強みを背景に「不正注文」対策を徹底するなど、D2C(ネット通販)業界をリーダーとして牽引している。上場を機にM&Aや新規事業による事業拡大も強化しており、中長期的に「売れるネット広告社に依頼すれば世界中のすべてのダイレクトマーケティング領域の課題が解決する」、「世界一のダイレクトマーケティング<売れる広告>支援グループ」に進化していく考えである。なお、同社は、(株)働きがいのある会社研究所による「2024年版 日本における「働きがいのある会社ランキング小規模部門」」において11位、「同女性ランキング小規模部門」において4位に選出されている。
※1 A/Bテスト:ネット直販事業者がネット広告の費用対効果を上げるための施策の1つ。集客用のランディングページなどクリエイティブを複数作成してネット広告を実施、その後にクリエイティブそれぞれの効果を比較してクリエイティブを改善していくこと。A/Bテストを繰り返すことで、ネット広告の費用対効果を向上させることができると言われている。
※2 成果報酬型広告:メディアプラットフォーム上で一般消費者によるコンバージョンが計測されるごとに料金が発生する広告。
上場を機にM&Aなどを活用した事業拡大も目指す
2. 沿革
同社は2010年、福岡県福岡市において現 代表取締役社長CEOの加藤公一(かとうこういち)レオ氏によって設立された。2011年に(株)Fusicと共同開発したランディングページ特化型クラウドサービス「売れるネット広告つくーる(現「売れるD2Cつくーる」)」の提供を開始した。その後2013年に東京に進出、2017年にマーケティング支援サービス「最強の売れるメディアプラットフォーム」をリリース、2019年には「売れるネット広告つくーる」事業をFusicから吸収分割するなど事業を拡大、2023年に東京証券取引所グロース市場に上場するに至った。現在、上場を機に、既存事業の持続的成長力の確保及びM&Aや新規事業開発などを活用した事業領域の拡大を目指した事業戦略を展開しているところである。こうした事業戦略により、中期的に売上高100億円達成を目指す方針である。
拡大するネット通販市場で注目されるダイレクト広告
3. 事業領域
同社の事業領域はインターネット通販市場及びインターネット広告市場にあり、同社はそのなかでD2C(ネット通販)に絞り込んだうえ、より効果のあるランディングページなどダイレクト広告※1に特化している。ダイレクト広告はコンバージョンを目的とした広告で、古くからあるダイレクトメールや折込チラシなどWeb広告以外も含まれる。広告はこうしたダイレクト広告と、認知拡大を主な目的とするイメージ広告やブランディング広告に分けられ、ダイレクト広告は申込や商品購入などに直接つながる情報や商品・サービスのメリットを中心に訴求しているため、費用対効果を高めやすいと言われている。また、定量的な効果測定が難しい一般的なイメージ広告に対して、レスポンス数や引上数※2、クロスセル数など定量的に消費者の行動を把握できるというメリットがある。
※1 ダイレクト広告:商品の購入やサービス申し込み、資料請求などのユーザーからの反応(レスポンス)を目的とした広告のこと。Web広告では主にランディングページを指す。
※2 引上数:見込客のうち初回購入から定期商品の購入へと引き上げた数。
同社の属する国内インターネット通販市場は、特に物販系分野のBtoC EC市場が右肩上がりに成長、国内の広告費もオフライン4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)やプロモーションメディアからインターネット広告へシフトする潮流が加速している。こうしたインターネット広告市場の中でもダイレクト広告は、ニッチとはいえ、効果測定や費用対効果の面でクライアントの理解が得られやすく、注目を集めている分野である。また、同社クライアントにはランディングページなどダイレクト広告を頻繁に利用する健康食品や化粧品のメーカーが多いが、健康食品は高齢化や健康志向の高まりから需要が底堅く、化粧品は男性向けも含め年々消費が拡大して化粧品製造に参入する企業が増加している状況のため、同社にとってフォローの風となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《SO》
提供:フィスコ