オートサーバー Research Memo(1):中古車流通市場の活性化を目指すテック企業(1)
■要約
オートサーバー<5589>は、中古車流通市場の活性化を目指し、中古車取扱事業者がインターネット上で中古車を売買することのできる独自の会員制BtoB中古車ECプラットフォーム「ASNET(エーエスネット)」を運営するテック企業である。すべての顧客会員に「どこよりも売りやすく買いやすい」「安心できる」「便利である」といった利便性の高い中古車流通サービスを提供することを基本理念としている。
1. 会員の「オークション代行」と会員間取引仲介の「ASワンプラ」が主力
同社は、中古車流通に関わる総合的なサービス・情報を取り扱う「ASNET」をベースとして、会員業者(以下、会員)の中古車オークション代行サービスの「オークション代行」と、会員間取引仲介サービスの「ASワンプラ」を主力に、その周辺領域の関連サービスも展開している。「オークション代行」は、全国の中古車オークション会場と接続して中古車オークションに出品される車両データを「ASNET」に掲載し、買い手となる「ASNET」会員の落札を代行するサービスである(出品代行サービスも提供)。国内には2023年12月末現在で160以上の中古車オークション会場が存在するが、「ASNET」はこのうち145のオークション会場の運営事業者と業務提携契約を結びデータ連携している。「ASワンプラ」は、同社が運営する中古車BtoBのECマーケットにおいて、会員間の中古車売買取引を仲介するサービスである。
2. 収益構造は「取引台数×手数料」
「ASNET」の主な収益源は取り引きの都度発生する利用手数料収入である。利用手数料は車両価格によらず取引1台ごとの定額制を採用している。このため同社の収益は、基本的には「取引台数×手数料」で決定される。「オークション代行」では、落札1台ごとに「ASNET」会員から落札手数料を受領し、この中の一部をオークション会場へ落札手数料として支払う(落札を代行した場合)。「ASワンプラ」では、取引成立1台ごとに売り手会員から成約手数料、買い手会員から落札手数料を受領する。売買双方から手数料が得られるため取引1台当たり単価が「オークション代行」よりも高く、オークション会場へ支払う落札手数料も発生しないため収益性が高いビジネスモデルである。中古車取扱事業者にとっては、中古車オークション会場の会員となるよりも低コストで幅広いオークションに参加できる(オークション代行サービス)ほか、固定価格(ワンプライス)で取り引きでき、店頭での小売販売と並行しながら「ASNET」でEC販売できる(ASワンプラサービス)こともメリットである。なお「オークション代行」の利用手数料については、オークション会場の落札手数料引き上げに対応して2023年3月より手数料改定を進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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提供:フィスコ