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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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2216 カンロ

東証S
3,215円
前日比
+25
+0.78%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
16.1 2.84 2.49 5.22
時価総額 492億円
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カンロ Research Memo(5):2023年12月期の売上高は順調に拡大、売上・利益とも過去最高に(2)


■業績動向

2. 財務状況
(1) 財務状況
総資産は前期末から3,524百万円増加し、25,839百万円となった。この増加は、現金及び預金の1,510百万円増、売掛金の884百万円増、有形固定資産の673百万円増、そして商品及び製品の184百万円増によるものである。これらの増加は、カンロ<2216>の流動性と資産基盤の強化を示しており、特に現金及び預金の増加は、将来の不確実性に対する柔軟性を高めている。

負債に関しては、前期末から1,545百万円増加し、11,305百万円となった。これは、買掛金の553百万円増、未払法人税等の483百万円増、未払費用の213百万円増、賞与引当金の118百万円増によるものである。これらの増加は、事業活動の拡大に伴う自然な結果と考えられるが、負債の増加率が総資産の増加率と同率であることから、財務レバレッジが一定の水準を維持していることが伺える。純資産は、前期末から1,978百万円増加し、14,533百万円になった。この要因は、当期純利益の計上2,462百万円と配当金の支払561百万円によるものである。当期純利益の計上は、事業活動からの健全な収益性を示し、配当金の支払は株主への利益還元の意志を示している。純資産の増加は、企業の内部留保が増加しており、将来の成長投資や不測の事態に対する耐久力を高めていると見られる。

結果として、同社は健全な財務構造を維持しながら成長を続けていると見られる。資産の増加は、企業の成長戦略と安定性を示していると伺え、負債と純資産のバランスは、適切な資金調達と利益還元政策が行われていると見られる。これらの財務指標より、今後も持続的な成長が期待される。

(2) キャッシュ・フローの状況
2023年12月期末における期末の現金及び現金同等物の残高は前期末と比較して1,510百万円増の3,761百万円となった。営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資金の増加や法人税等の支払いがあったにもかかわらず、3,935百万円の資金増となった。これは前期末の2,373百万円から大幅に増加しており、企業の主要活動からの資金生成能力の向上を示しており、売上の増加やコスト管理の効率化など、営業活動が健全に行われていると見られる。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは1,839百万円の資金減となった。これは主に設備投資などの支出によるもので、将来の成長のために設備や技術への投資を積極的に行っていることを反映している。前期末の1,116百万円から資金減の幅が拡大しており、成長投資への意欲が高まっていることが伺える。財務活動によるキャッシュ・フローは、585百万円の資金減となった。これは主に配当金の支払いによるもので、企業が株主への利益還元を継続していることを示している。前期末の1,106百万円の資金減に比べると、減少幅は縮小しているが、安定した配当政策の維持を通じて、株主価値の向上に努めていると見られる。

同社は、2022年12月期から2024年12月期までの3ヶ年キャッシュ・フロー計画のなかで、コア事業から創出した営業キャッシュ・フロー(約80億円)を設備投資(約70億円)及び新たな事業領域であるデジタルコマース事業、グローバル事業、フューチャーデザイン事業を含めた成長投資と株主還元(10億円以上)の拡充に割り当てるとしている。

(3) ROIC経営の進捗状況
同社の2023年12月期のPBR(株価純資産倍率)は、1.99倍で2019年の1.06倍から約2倍上昇した。加えて、2023年12月期のROIC(投下資本利益率)は18.2%で、2019年の5.7%から約3倍以上上昇した。2024年12月期のROICは16.2%を計画している。

同社は、ROIC経営に重点を置いており、この戦略の下で様々な施策を展開している。具体的には、KanROICツリーを用いたKPI(重要業績評価指標)の管理、バランスシートの管理を通じた政策保有株式の削減、資本コストを基準とした投資採算基準の運用、そして事業ポートフォリオの効率的な管理を実施している。これらの取り組みの結果、ROICは資本コストを上回る目標値7.5%以上で推移している。今後、同社はROIC経営をさらに推進し、規律ある成長投資を実行する方針だ。次期中期経営計画では、2030年に向けた成長ストーリーが発表され、経済価値と社会価値の両立を目指すことが強調されている。加えて、株主や投資家とのコミュニケーションを一層強化し、情報開示を拡充することで、透明性の高い経営を目指している。これらの取り組みを通じて、持続可能な成長と株主価値の向上を追求していく予定である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

《SI》

 提供:フィスコ

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