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7823 アートネイチャー

東証S
808円
前日比
-2
-0.25%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
17.4 0.98 3.47 0.86
時価総額 278億円
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アートネイチャ Research Memo(6):コロナ禍前の業績を上回るなど前中期経営計画は一定の成果


■アートネイチャー<7823>の中期経営計画

1. 前中期経営計画の振り返り
前中期経営計画最終年度の2023年3月期業績を振り返ると、売上高が432億円、経常利益率が8.2%、ROEが7.5%と、ともに当初計画の442億円、8.7%、8.7%に届かなかった。しかし、コロナ禍前の業績水準を上回り、特に売上高に関しては過去最高の水準を達成し、定量的に一定の成果を上げられたといえよう。一方、定性評価としては、医薬品販売事業や医療機関サポート事業、スタンダードウィッグ販売事業等の新規事業、海外など新領域の開拓については継続課題となった。

既存事業については、顧客満足の徹底を軸に顧客基盤の安定と強化を図ったが、来店客数が男性、女性ともにコロナ禍前の水準に至らず当初計画に未達となったが、売上高が過去最高を更新したうえ、2021年9月に発売した女性向けオーダーメイドウィッグ「フィーリン」のヒットなどで女性向け事業が大きく躍進したことは評価できる。新規事業に関しては、商品ラインナップの拡充と販路拡大やブランド浸透による認知拡大を進めたが、2020年8月に投入した女性向け発毛剤が業績に貢献するなど商品拡充と販路拡大については進捗したといえるが、コロナ禍の影響を受けたとはいえ認知拡大には至らなかった。また、新領域の開拓については、次代の礎を築くため様々なM&A案件を検討したものの、新たな領域の獲得は叶わなかった。

内部環境面では、採用の強化や業務の刷新に課題を残したが、人財の育成や市場との対話は進捗した。採用の強化では、安定的な採用体制の構築と働き甲斐のある職場づくりを目指し、新規採用者の初任給の引き上げや募集媒体の見直しなどを実施したが、従業員の定着支援施策などに課題を残した。人財の育成では、現場力の強化と次代を担う本社人財の育成を図り、教育プログラムの見直しや動画・リモート研修の実施などのほか、全国技術大会「テクニカルコンペティション2022」を開催し、次代のリーダーシップを担える本社人財の育成を推進した。また、業務、情報システム、人事制度など定例的な業務の刷新では、各種書類の電子化や業務のワークフロー化を実現したが、情報システムではDX課題の特定にとどまり、人事制度では抜本的な業務刷新ができなかった。市場との対話では、外部レポート、オンライン説明会、投資家向け調査などIR活動を強化し、SDGs達成に向けてはプラスチック削減、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)、人権の尊重などサステナビリティ対応を開始した。


アフターコロナなどを背景に市場は引き続き需要が見込まれる
2. 環境認識
現在の国内毛髪市場は、前述したように長期的に逓減傾向にあるため、短期的にコロナ禍から回復しつつあるもののコロナ禍前の規模に戻ってない模様で、現状、同社は機会とリスクが併存する環境にあるといえる。機会については、利用機会の伸長につながる高年齢者雇用安定法改正、働き方改革を背景に女性客増加につながる女性活躍推進法改正、シニアのアクティブ化による主要顧客層の拡大、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う外出機会増加によるウィッグ需要の拡大、資金力のある同社にとって技術力強化や販売チャネルの面で差別化につなげやすいDXの推進やSNSの普及――などが考えられる。リスクに関しては、理美容師の採用競争激化につながる人手不足の慢性化、円安や資源の高騰による原価・販管費の増加、人口減少による将来の顧客数減――といったことが懸念される。ただし、今後、主要顧客層であるシニアのアクティブ化に加え、アフターコロナにおける消費拡大、団塊ジュニア世代の取り込み、ヘアケア市場におけるリアルとデジタルの融合などが想定されることから、国内毛髪市場は引き続き需要が見込まれるマーケットと考えられている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《SO》

 提供:フィスコ

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