unerry Research Memo(8):リテールDX事業を核に5年で売上高100億円を目指す(2)
■中期成長戦略とその進捗状況
2. 人的資本戦略
unerry<5034>では、中期成長戦略を達成するために不可欠な人的資本戦略も策定した。2028年6月期までに年平均成長率36%の売上成長を実現するため、人・組織の拡大、生産性向上の2つの課題を設定した。成長に向けた人・組織を拡大するためには、成長を支えるデータ人材の確保、グローバル展開に向けた多様性のあるチーム、新ビジネスを創出できる人材・チームが必要であると考え、従業員数を年20~30%増やす計画である。売上高の成長率と人・組織の成長率のギャップは生産性の向上でカバーしていく。そのためには、仕事のやりがいによるモチベーション、データ・AI活用による生産性向上、相互理解によるチーム間の調整コスト抑制が重要であると考えている。そして、それらの課題を解決するため、人的資本戦略の柱として、(1)ミッション・ビジョン・バリュー(以下、MVV)の浸透、(2)未来をつくる人材の継続的な確保・拡大、(3)グローバル企業としてのダイバーシティ実現、(4)チャレンジを褒め称えるチーワークの4つのテーマを設定した。
MVVの浸透については、eNPS※をKPIに導入した。2023年7月に従業員サーベイを実施したところ、eNPSは-30.4%となり、MVVへの共感とeNPSが強い相関関係にあることが判明した。そのため、従業員エンゲージメント、採用力強化に向けて、合宿、情報共有会の開催などによりeNPSの10%改善を目標とした。未来をつくる人材の継続的な確保・拡大については、データ専門職の採用・育成、非データ専門職のデータ人材化などに取り組み、現行のデータ専門職比率57.6%を60%に、データ人材職比率79.7%を90%に引き上げることを目標とした。ダイバーシティ実現については、女性のさらなる活躍を推進するため現行33.3%の女性管理職比率を30%超に維持すること、現行の外国籍比率8.5%を10%超にすることを目標として採用拡大に取り組むこととした。チャレンジを褒め称えるチーワークについては、従業員同士がお互いの良い行動を感謝・称賛し、少額のインセンティブを添えて投稿するサービスのUnipos(ユニポス)を導入している。チャレンジを賞賛された投稿を貰った従業員の比率を現行の47%から55%に、チームを超えて投稿を貰った従業員の比率を現行の49%から55%に引き上げることを目標とした。
※eNPS:親しい友人や知人に自分の会社で働くことをどれくらい勧めたいか、という職場に対する推奨度。推奨度を10段階に分け、度数9以上を推奨者、度数6以下を批判者として、「推奨者の割合(%)-批判者の割合(%)」で算出する。日本企業の平均eNPSは-40%~-20%。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
《AS》
提供:フィスコ