明日の株式相場に向けて=活発化する低位株のゲリラ戦
きょう(27日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比56円高の3万2371円と反発。日経平均は朝方に急降下を予期させる下げっぷりをみせたが、前場中ごろから戻り足に転じ、上向きのベクトルはこの日の取引終了時まで続いた。一時350円を超える下げで3万2000円を割り込んだ時は重い空気が流れたが、先物主導とはいえそこからの粘り腰は特筆すべきもので、結局この日の高値で着地した。前日も今日も同様に引け際の先物を絡めたインデックス売買の影響が如実に映し出された形だ。異なる点は、前日は安値引けだったが、今日は高値引けだったことである。
米国株市場ではNYダウが26週移動平均線を陰線で下放れ、長期波動の分水嶺である200日移動平均線も約4カ月ぶりに下回った。これは昨年10月初旬を起点とする大勢上昇トレンドの終焉を示唆するものではないが、要警戒ゾーンに入っていることは確かだ。政策金利引き上げはせいぜい後1回でターミナルレートは見えてきたものの、今度は利下げに転じるまでの期間がどのくらいかということと、米景気のソフトランディングの蓋然性が議論の俎上に載っている。インフレは収まってくれることに越したことはないが、今後は景気減速を示唆する経済指標は嫌気されるケースも増えそうだ。前日の9月の米消費者信頼感指数がコンセンサスを下回る低下を示したことが、当たり前のようにネガティブ材料として作用したことは、その前兆ともいえる。
東京市場でも米国株市場の重苦しさが投資家心理に影響を与えている。個別株は主力銘柄が手掛けにくいなか、配当権利落ちの影響を受けない銘柄でなおかつ株価が低い位置にある中小型株に投資資金の攻勢が顕著だ。直近では材料の出たギグワークス<2375>が一時ストップ高に買われる人気となった。前日終値は314円であり、値幅制限いっぱいに買われた時点で25%高となる。この値幅取りの効率の高さが低位株の特権でもある。もちろん、株高の持続性は担保されたものではなく、短期割り切りスタンスのゲリラ戦的な認識が前提となるが、急動意した銘柄でも実態面が伴えば、それは上昇波の最初の一歩になる可能性は少なからずある。
そうしたなか、前日取り上げたネジ専門商社のトルク<8077>は大きく買われ約3カ月ぶりに新高値をつけた。地味ながら建設ボルトでトップシェアを持ち、業績も足もと絶好調、10月期決算企業だが、今期の営業利益は前期比84%増益予想で過去最高益を記録した08年10月期以来15年ぶりの高水準となる見込みだ。これでPBR0.6倍台ということであれば、300円絡みの時価は依然として評価不足といってもよさそうだ。東京市場では低位株の中にまだ“眠れる獅子”が何頭も隠れていそうな気配ではある。
都市型ホテルの運営を行いインバウンド特需も期待できるポラリス・ホールディングス<3010>は、経営再建中にあるが24年3月期に業績変貌が予想されている。前期の営業利益は300万円でほぼ収支トントンながら、今期は27億2600万円を会社側では見込んでいる。170円前後の株価は今の地合いに見合うほか、浮動株が少なく株式需給面での妙味もある。
また、スマートフォンゲームの情報サイトを運営するGameWith<6552>は株価面では休火山状態にあるが、320円近辺は拾い場となっている可能性がある。同社が強化中のeスポーツ関連は「東京ゲームショウ」や杭州アジア大会などで話題性が高まっており、確かなフォローウインドが吹いている。このほか、EV周辺株が相次いで動兆するなか、トヨタ自動車<7203>と日産自動車<7201>を主要取引先とする曙ブレーキ工業<7238>も140円台の株価は見直される場面がありそうだ。業績は低迷が続いているものの、ブレーキ専業でブレーキパッド国内シェアトップの実力は無視できない。24年3月期は営業利益段階で35億円(前期は1億8500万円)と急回復を見込んでいる。
明日のスケジュールでは、午前中に2年物国債の入札が予定されるほか、午後取引時間中に8月の建機出荷が発表される。海外では8月の豪小売売上高、9月の独消費者物価指数(CPI)速報値が開示される。また米国では4~6月期のGDP確定値、8月の仮契約住宅販売指数、週間の新規失業保険申請件数などが注目され、米7年物国債の入札も行われる。このほか、クックFRB理事の講演やパウエルFRB議長の討論会参加が予定され市場の関心が高い。なお、あすは韓国、マレーシア、インドネシアは休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2023年09月27日 17時36分
米国株市場ではNYダウが26週移動平均線を陰線で下放れ、長期波動の分水嶺である200日移動平均線も約4カ月ぶりに下回った。これは昨年10月初旬を起点とする大勢上昇トレンドの終焉を示唆するものではないが、要警戒ゾーンに入っていることは確かだ。政策金利引き上げはせいぜい後1回でターミナルレートは見えてきたものの、今度は利下げに転じるまでの期間がどのくらいかということと、米景気のソフトランディングの蓋然性が議論の俎上に載っている。インフレは収まってくれることに越したことはないが、今後は景気減速を示唆する経済指標は嫌気されるケースも増えそうだ。前日の9月の米消費者信頼感指数がコンセンサスを下回る低下を示したことが、当たり前のようにネガティブ材料として作用したことは、その前兆ともいえる。
東京市場でも米国株市場の重苦しさが投資家心理に影響を与えている。個別株は主力銘柄が手掛けにくいなか、配当権利落ちの影響を受けない銘柄でなおかつ株価が低い位置にある中小型株に投資資金の攻勢が顕著だ。直近では材料の出たギグワークス<2375>が一時ストップ高に買われる人気となった。前日終値は314円であり、値幅制限いっぱいに買われた時点で25%高となる。この値幅取りの効率の高さが低位株の特権でもある。もちろん、株高の持続性は担保されたものではなく、短期割り切りスタンスのゲリラ戦的な認識が前提となるが、急動意した銘柄でも実態面が伴えば、それは上昇波の最初の一歩になる可能性は少なからずある。
そうしたなか、前日取り上げたネジ専門商社のトルク<8077>は大きく買われ約3カ月ぶりに新高値をつけた。地味ながら建設ボルトでトップシェアを持ち、業績も足もと絶好調、10月期決算企業だが、今期の営業利益は前期比84%増益予想で過去最高益を記録した08年10月期以来15年ぶりの高水準となる見込みだ。これでPBR0.6倍台ということであれば、300円絡みの時価は依然として評価不足といってもよさそうだ。東京市場では低位株の中にまだ“眠れる獅子”が何頭も隠れていそうな気配ではある。
都市型ホテルの運営を行いインバウンド特需も期待できるポラリス・ホールディングス<3010>は、経営再建中にあるが24年3月期に業績変貌が予想されている。前期の営業利益は300万円でほぼ収支トントンながら、今期は27億2600万円を会社側では見込んでいる。170円前後の株価は今の地合いに見合うほか、浮動株が少なく株式需給面での妙味もある。
また、スマートフォンゲームの情報サイトを運営するGameWith<6552>は株価面では休火山状態にあるが、320円近辺は拾い場となっている可能性がある。同社が強化中のeスポーツ関連は「東京ゲームショウ」や杭州アジア大会などで話題性が高まっており、確かなフォローウインドが吹いている。このほか、EV周辺株が相次いで動兆するなか、トヨタ自動車<7203>と日産自動車<7201>を主要取引先とする曙ブレーキ工業<7238>も140円台の株価は見直される場面がありそうだ。業績は低迷が続いているものの、ブレーキ専業でブレーキパッド国内シェアトップの実力は無視できない。24年3月期は営業利益段階で35億円(前期は1億8500万円)と急回復を見込んでいる。
明日のスケジュールでは、午前中に2年物国債の入札が予定されるほか、午後取引時間中に8月の建機出荷が発表される。海外では8月の豪小売売上高、9月の独消費者物価指数(CPI)速報値が開示される。また米国では4~6月期のGDP確定値、8月の仮契約住宅販売指数、週間の新規失業保険申請件数などが注目され、米7年物国債の入札も行われる。このほか、クックFRB理事の講演やパウエルFRB議長の討論会参加が予定され市場の関心が高い。なお、あすは韓国、マレーシア、インドネシアは休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2023年09月27日 17時36分