メイホーHD Research Memo(1):中小企業経営支援プラットフォームを核とする中小企業集合体
■要約
メイホーホールディングス<7369>は、中小企業経営支援プラットフォームを核として「変わる勇気が、未来をかえる」を合言葉とし、地域に根差した実業を営む中小企業へのM&Aを積極的に行い、能動的に主体的に生きることが一人ひとりのしあわせにつながることを共有する企業文化を形成することを目指している。
1. グループインした企業の経営効率化・人材支援・業務連携などをサポート
同社はM&Aによって成長意欲の高い中小企業と資本提携し、地域を長年支えてきた企業の全国ネットワークを構築している。グループインした企業には中小企業経営支援プラットフォームを通じて、経営効率化・人材支援・業務連携などをサポートし、「稼ぐ力」を高めている。また、各企業で働く人々に安定した職場の提供や所得の向上をもたらし、さらには地域創生に貢献することを目指している。グループは、2023年8月末時点で、純粋持株会社の同社を含めて19社(2023年7月にグループインした(株)フジ土木設計を含む)で構成されている。セグメントは、建設コンサルタント業務を主力とする建設関連サービス事業、建設技術者や製造業向けスタッフ派遣などを行う人材関連サービス事業、公共工事を中心とする建設事業、及びデイサービスなどを展開する介護事業に区分されている。
2. 2023年6月期は直近予想を上回る大幅な増収増益で着地
2023年6月期の連結業績は、売上高が前期比20.6%増の7,371百万円、営業利益が同34.9%増の462百万円、経常利益が同24.9%増の496百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同20.4%増の270百万円となり、大幅な増収増益だった。各事業領域のグループ企業が概ね順調に成長したほか、新規連結2社及び事業譲受した1件も寄与した。売上総利益は同21.6%増加し、売上総利益率は同0.3ポイント上昇して30.2%となった。販管費は同18.5%増加したが、販管費比率は同0.4ポイント低下して23.9%となった。営業利益は同119百万円増となったが、増加要因として売上総利益の増加395百万円、仲介手数料の減少4百万円があり、減少要因として人件費の増加140百万円、のれん償却額の増加69百万円、その他販管費の増加70百万円などがある。なお2023年2月14日付で通期の売上高を上方修正し、各利益を下方修正したが、結果的に各利益は直近予想値、さらには期初予想値も大幅に上回る水準で着地した。
3. 2024年6月期も増収増益予想、新規M&Aで変動の可能性
2024年6月期の連結業績は、売上高が前期比8.5%増の8,000百万円、営業利益が同8.1%増の500百万円、経常利益が同6.9%増の530百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同11.2%増の300百万円を見込んでいる。上期(売上高が前年同期比12.2%増の3,800百万円、営業利益が同15.8%減の140百万円、経常利益が同17.3%減の140百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同13.8%減の70百万円)は新規連結に伴う人件費の増加などで減益予想だが、通期ベースでは各事業領域においてグループ企業が概ね順調に成長するほか、前期の期中にグループインした(株)三川土建及び(株)エムアンドエムから譲り受けた人材派遣事業(岩手県)の通期連結、及び(株)フジ土木設計の新規連結(期首の2023年7月にグループイン)も寄与して増収増益を予想している。特に人材関連サービス事業が牽引する見込みだ。なお期中の新規M&Aによって変動する可能性があり、弊社では上振れの可能性が高いと考えている。
4. 当面の目標として売上高100億円体制の早期実現目指す
同社は中期経営計画を公表していないが、当面は成長プラットフォームを整備する時期と位置付けて、売上高100億円体制の早期実現に向けたM&A、グループとしてのさらなる一体感の醸成、メイホーグループの知名度向上を推進している。また中長期成長戦略として、既存事業会社の成長、既存セグメント内の新たなM&Aによる成長、既存セグメント以外のM&Aによる成長という「三段ロケット推進方式」による成長を目指している。同社の尾松豪紀(おまつ ひでとし)代表取締役社長は「企業集団の規模として、中長期的には全国各都道府県に数社のグループ企業が存在することにより、企業数300社、連結売上高1,000億円、社員数1万人の達成も可能と考えている。ただし将来の成長に向けて、中小企業経営支援プラットフォームの基盤を一段と強化するためにも、当面の目標として売上高100億円体制を早期に実現したい。」と将来ビジョンを語っている。
5. 弊社の視点
同社は成長に向けてM&Aを積極推進しており、中長期的にグループの規模が飛躍的に拡大する可能性がある。その点で中長期成長ポテンシャルが大きいと弊社では評価している。また、当面は売上高100億円体制の実現に注力する方針であり、新規M&Aによって2025年6月期には売上高100億円の実現が視野に入るだろう。今後はM&Aによる単なる規模拡大だけではなく、中小企業経営支援プラットフォームによる経営支援の成果として、グループインした企業の「稼ぐ力」の向上(「三段ロケット推進方式」のうち既存事業会社の成長)も確認できれば、同社に対する投資対象としての関心が一段と高まる可能性があると弊社では注目している。
■Key Points
・中小企業経営支援プラットフォームを核とする中小企業集合体
・2023年8月時点でグループは19社、建設関連サービス事業や人材関連サービス事業などを展開
・2023年6月期は期初予想を上回る大幅な増収増益で着地
・2024年6月期も増収増益予想、新規M&Aによって変動の可能性
・「三段ロケット推進方式」による成長を目指し、当面は売上高100億円体制の実現に注力
・中長期成長ポテンシャル大きく、中小企業経営支援プラットフォームによる成果にも注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
《SI》
提供:フィスコ