明日の株式相場に向けて=「レーザーテク&ソシオ」周辺で錯綜する思惑
きょう(25日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比18円安の3万2682円と小反落。前日の米国株市場でNYダウが約6年半ぶりとなる11連騰を記録、為替市場が円安基調だったこともありムードは悪くなかったが、目先やや夏バテ気味で上値は重かった。前日に日経平均は400円近い上昇で25日移動平均線との下方カイ離解消まであと一歩に迫ったが、きょうは戻り売りに頭を押さえられ25日線越えはお預けとなった。上値抵抗となっている同移動平均線のブレークが上昇転換に向けた最初の関門である。
企業の決算発表絡みで個別株物色もおっかなびっくりのきらいはある。3月決算企業にとって4~6月期決算はスタートして間もない第1コーナーに差しかかった段階であり、元来ここで一喜一憂しても始まらない。しかし、一種のマネーゲーム的な要素でノイズに株価が必要以上に反応してしまうのもまた仕方ないところだ。
もちろん、これから開示される当該企業の決算内容にある程度の勝算があるならば決算プレー(決算発表を跨いで売り買いを行う)に興じるのも選択肢の一つだが、少なからず首をかしげるような状況であるなら見送る勇気も必要だ。決算発表後にチャンスをうかがう方が勝ちやすい。株式投資の場合はここを逃したらチャンスが回ってこないということは基本的になく、マーケットは海原の如しで参戦機会は常に無尽蔵に存在している。
前日の当欄では決算プレーに絡まない“3の倍数ではない決算期”の銘柄で内容のいいものをいくつかピックアップしたが、そのなか8月決算の日創プロニティ<3440>は出来高増勢のなか強い動きをみせた。わずか3倍前後のPERは最終利益がゲタを履いていること(のれん特益)によるものだが、PBRが0.5倍というのは3%超の配当(今期予想ベース)を捻出している企業としては評価不足が際立つ状況にあったといえる。今の東京市場は、東証による改善要請効果によって低PBR株が物色テーマとして市民権を得たことで、掘り出し物に巡り合える可能性が高まっている。
一方、きょうの相場でひときわ投資家の視線を集めたのはレーザーテック<6920>だ。売買代金で圧倒的首位となる日が続いているが、とりわけきょうは「デイトレードなど短期筋のトレードが錯綜した」(ネット証券マーケットアナリスト)という。前日の引け後に23年6月期業績予想の修正を発表、最終利益は従来予想の330億円から450億円(前の期比81%増)に大幅増額となった。抜かりなく株主還元も強化し、今期配当は従来計画に49円上乗せした年178円(前期実績は97円)とすることも併せて発表。ここ株価はもみ合いながらも徐々に下値を切り下げていたが、きょうは満を持しての切り返しが予想された。ところが、75日移動平均線近辺では売り板が厚く、結局260円高の2万655円で着地。終わってみれば2万1000円の寄り天(寄り付き天井)を余儀なくされた。
市場では「半導体市況の先行きに依然として不透明感が強い。最近発表された台湾の輸出受注が関係者の間で話題となっている」(前出のアナリスト)という。生成AIブームに半導体業界も沸いているように見えるが、スマートフォンやパソコン向けの需要停滞感は拭えない。いわく「ハイテクのバロメーターである台湾の輸出受注は経済の先行指標的な位置付けとして重視されるが、3月は25.7%減だったが、4月、5月と改善傾向を明示していた。ところが、6月に入って再び24.9%減と減少幅が広がり、半導体関連復活のシナリオも揺らいだ。ともあれ8月下旬に予定される米画像処理半導体大手のエヌビディア<NVDA>の5~7月期決算の内容がカギを握る」(同)とする。そうしたなかもSoC設計のソシオネクスト<6526>は戻り足を強めてきた。今週28日に決算発表を控え、手を出しにくいタイミングではあるが、資産運用世界最大手の米キャピタル・リサーチが投資一任契約とはいえ6%超の株主に浮上してきたことは注目される。
あすのスケジュールでは、6月の企業向けサービス価格指数が朝方取引開始前に開示されるほか、午後取引時間中に5月の景気動向指数改定値が発表される。またIPOが2社予定されており、東証グロース市場にエコナビスタ<5585>、東証スタンダード市場にテクニスコ<2962>が新規上場する。海外では4~6月期豪消費者物価指数(CPI)、6月の米新築住宅販売件数のほか、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見にマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
企業の決算発表絡みで個別株物色もおっかなびっくりのきらいはある。3月決算企業にとって4~6月期決算はスタートして間もない第1コーナーに差しかかった段階であり、元来ここで一喜一憂しても始まらない。しかし、一種のマネーゲーム的な要素でノイズに株価が必要以上に反応してしまうのもまた仕方ないところだ。
もちろん、これから開示される当該企業の決算内容にある程度の勝算があるならば決算プレー(決算発表を跨いで売り買いを行う)に興じるのも選択肢の一つだが、少なからず首をかしげるような状況であるなら見送る勇気も必要だ。決算発表後にチャンスをうかがう方が勝ちやすい。株式投資の場合はここを逃したらチャンスが回ってこないということは基本的になく、マーケットは海原の如しで参戦機会は常に無尽蔵に存在している。
前日の当欄では決算プレーに絡まない“3の倍数ではない決算期”の銘柄で内容のいいものをいくつかピックアップしたが、そのなか8月決算の日創プロニティ<3440>は出来高増勢のなか強い動きをみせた。わずか3倍前後のPERは最終利益がゲタを履いていること(のれん特益)によるものだが、PBRが0.5倍というのは3%超の配当(今期予想ベース)を捻出している企業としては評価不足が際立つ状況にあったといえる。今の東京市場は、東証による改善要請効果によって低PBR株が物色テーマとして市民権を得たことで、掘り出し物に巡り合える可能性が高まっている。
一方、きょうの相場でひときわ投資家の視線を集めたのはレーザーテック<6920>だ。売買代金で圧倒的首位となる日が続いているが、とりわけきょうは「デイトレードなど短期筋のトレードが錯綜した」(ネット証券マーケットアナリスト)という。前日の引け後に23年6月期業績予想の修正を発表、最終利益は従来予想の330億円から450億円(前の期比81%増)に大幅増額となった。抜かりなく株主還元も強化し、今期配当は従来計画に49円上乗せした年178円(前期実績は97円)とすることも併せて発表。ここ株価はもみ合いながらも徐々に下値を切り下げていたが、きょうは満を持しての切り返しが予想された。ところが、75日移動平均線近辺では売り板が厚く、結局260円高の2万655円で着地。終わってみれば2万1000円の寄り天(寄り付き天井)を余儀なくされた。
市場では「半導体市況の先行きに依然として不透明感が強い。最近発表された台湾の輸出受注が関係者の間で話題となっている」(前出のアナリスト)という。生成AIブームに半導体業界も沸いているように見えるが、スマートフォンやパソコン向けの需要停滞感は拭えない。いわく「ハイテクのバロメーターである台湾の輸出受注は経済の先行指標的な位置付けとして重視されるが、3月は25.7%減だったが、4月、5月と改善傾向を明示していた。ところが、6月に入って再び24.9%減と減少幅が広がり、半導体関連復活のシナリオも揺らいだ。ともあれ8月下旬に予定される米画像処理半導体大手のエヌビディア<NVDA>の5~7月期決算の内容がカギを握る」(同)とする。そうしたなかもSoC設計のソシオネクスト<6526>は戻り足を強めてきた。今週28日に決算発表を控え、手を出しにくいタイミングではあるが、資産運用世界最大手の米キャピタル・リサーチが投資一任契約とはいえ6%超の株主に浮上してきたことは注目される。
あすのスケジュールでは、6月の企業向けサービス価格指数が朝方取引開始前に開示されるほか、午後取引時間中に5月の景気動向指数改定値が発表される。またIPOが2社予定されており、東証グロース市場にエコナビスタ<5585>、東証スタンダード市場にテクニスコ<2962>が新規上場する。海外では4~6月期豪消費者物価指数(CPI)、6月の米新築住宅販売件数のほか、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見にマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS