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サイバーコム Research Memo(8):DXへの対応力強化、集中投資、高付加価値ビジネスの拡大で増収増益を目指す


■今後の見通し

1. 2023年12月期の業績見通し
サイバーコム<3852>の2023年12月期の業績は、売上高で前期比5.8%増の17,600百万円、営業利益で同13.8%増の1,200百万円、経常利益で同10.7%増の1,200百万円、当期純利益で同0.7%増の810百万円と増収増益が続く見通し。物価の上昇や円安進展等の影響による景気の先行き不透明感が強まっているものの、「ビジネス拡大」を基本方針にDXへの対応力強化、金融向けクラウド移行案件など好調分野への集中投資、高付加価値ビジネスの拡大に取り組むことで、増収増益を目指す。

人財投資のうち、採用については2023年新卒入社が128名(前年に比べ2名増)となり、中途採用は30名程度と前期並みを予定している。2024年についても130名程度の新卒採用を計画しており、各事業拠点で大学や専門学校との関係強化を図る。また、需要が旺盛なクラウド移行・ネットワーク構築案件の受注拡大に向けて、AWSやMicrosoft Azure等の認定資格取得者を増強するほか、高度最先端技術分野の受注獲得を目指して技術者育成に注力する。このほかにも、情報セキュリティ対策強化や業務効率化に向けた情報システム投資、社員が快適に働ける環境作りなどへの投資を実行する。

営業利益率については、増収効果や高付加価値ビジネスの拡大によって前期の6.3%から6.8%に上昇する見込みだ。なお、当期純利益の増益率が0.7%増と鈍化するが、これは前期の増益に寄与した人材確保等促進税制による税額控除が無くなることを前提としたものとなっており、今後の状況によっては同様の税額控除を受けられる可能性がある。

2023年5月に発表された第1四半期業績は、売上高で前年同期比3.1%増の4,284百万円、営業利益で同13.2%増の507百万円、経常利益で同12.0%増の508百万円、四半期純利益で同11.8%増の352百万円と順調な滑り出しを見せており、通期の会社計画の達成は十分可能と見られる。

また、同社は2023年7月に組織体制の変更を実施した。主には本部制の廃止(ソフトウェア事業本部、サービス事業本部、管理本部の廃止)、関東の事業部再編(アプリケーション事業部、プラットフォーム事業部、システムインテグレーション事業部をICT事業部、システム事業部に再編)、エリア事業部の新設(新潟事業所、福岡事業所、名古屋事業所の3事業所を編成)、プロダクトビジネス部の再編、本社組織の再編となる。本社機能のうち、パートナー企業(外注先)の確保施策や実際の発注業務、管理業務を行うパートナー推進室を、パートナー推進部に格上げし体制の強化を図った。今回の組織再編は、機動力をアップし事業拡大をさらに推進していくことを目的としたものとなっており、今後の業績面でプラスに効いてくるものと期待される。

(1) ソフトウェア開発事業
ソフトウェア開発事業の第1四半期売上高は前年同期比4.1%増の3,424百万円、営業利益は同10.4%増の654百万円と順調な滑り出しとなった。通信ソフトウェア開発が5G関連の需要一巡により減少したものの、制御ソフトウェア開発や業務ソフトウェア開発の好調でカバーした格好だ。通期においてもほぼ同様の基調が続くものと予想される。

通信ソフトウェア開発の第1四半期売上高は前年同期比41.9%減の451百万円となった。、「通信基盤」分野で大型案件の開発が一巡したことが要因で、2030年頃の商用化が予定されている6G向けの開発が始まるまでは端境期に入る可能性が高い。四半期ベースの売上で見ると2021年12月期第4四半期の867百万円をピークに減少傾向が続いており、今後も低調が続くものと予想される。直近の売上高の底は2018年12月期で1,724百万円となっており、同水準まで再び落ち込む可能性もある。このため、余った開発リソースを繁忙が続いている制御ソフトウェア開発や業務ソフトウェア開発に振り向けることにしている。
制御ソフトウェア開発の第1四半期売上高は前年同期比20.6%増の899百万円と好調に推移した。「車載」向けが既存顧客向けを中心に回復基調を続けているほか、「その他制御」向けについても半導体製造装置やFA機器、プリンタ向け等の需要が高水準で推移し、通期でも2ケタ増収が見込まれる。
業務ソフトウェア開発の第1四半期売上高も前年同期比17.4%増の2,074百万円と好調を持続した。前期に大きく伸長した金融業界向けが引き続き2ケタ増収となったほか、前期に落ち込んでいた製造業や医療業界向けも2ケタ増収に転じるなど、ほぼすべての業界で売上が伸長した。通期においても増収基調が続くものと予想される。

(2) サービス事業
サービス事業の第1四半期売上高は前年同期比0.8%減の852百万円、営業利益は同9.8%増の147百万円となった。売上高は5G基地局検証案件の一巡により微減となったものの、仮想化案件やクラウド移行案件、ネットワーク構築案件等のSIサービスの好調により増益を確保した。また、自社プロダクトもについても「Cyber Smart」シリーズを中心に堅調に推移した。通期においてもSIサービスがけん引する格好で増益となる見通し。

自社プロダクトについては、主力の「Cyber Smartシリーズ」を安定収益基盤として、引き合いが旺盛な「Cyber Position Navi」シリーズの売上拡大を目指す。特に2022年11月に販売を開始したOracle Cloud版でOCIとの連携を実現したことにより、Oracleユーザーにとっては導入メリットがより得られやすくなり、受注の一段の増加が期待される。そのほか、テレワーク環境を簡単に構築できる「楽々セキュアコネクト」についても、2023年1月に東証コンピュータシステムのサービスメニューの1つ(東証コンピュータシステム いつでもテレワークセット)として採用されたことで、導入拡大が期待される。東証コンピュータシステムは富士ソフトのグループ会社で、金融証券ソリューションを中心に展開しており、主に証券業界に顧客を持つ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YI》

 提供:フィスコ

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