【杉村富生の短期相場観測】 ─短期張りの投機筋の動きに惑わされるな!
「短期張りの投機筋の動きに惑わされるな!」
●FRB、日銀の金融政策転換は時期尚早?
マーケットは7月25~26日のFOMC(米連邦公開市場委員会)、27~28日の日銀金融政策決定会合の「結果」(政策転換?)を織り込みに動いている。FOMCでは0.25%の利上げを行うものの、「9月、11月、12月は据え置き」(シカゴ・マーカンタイル取引所グループのFEDウォッチ)との読みである。
一方、日銀はイールドカーブ・コントロール(YCC)の修正に進む、とみられている。YCCは長短金利操作だが、長期金利の変動幅の上限(現行0.5%)を引き上げる可能性が濃厚という。
アメリカは利上げ打ち止め、日本は超金融緩和政策の転換だ。これを受け、円高が進行している。週末は1ドル=137円27銭があった。急激な円高は株価の重石になる。ではなぜ、13日の日経平均株価は475円高と急騰したのか。
その理由は2点ある。第1は為替水準を138円が円高のピークとみていたこと。第2は日経平均株価がテクニカル的な下値のメド(3万1900円絡み)に届いたこと。短期張りのヘッジファンドなどはすかさず介入したらしい。先物主導の反発である。
実際、レーザーテック <6920> [東証P]、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]、ソニーグループ <6758> [東証P]、ファーストリテイリング <9983> [東証P]などインデックス寄与度の高い銘柄が買われた。しかし、この動きには疑問がある。
そもそも、FRB(米連邦準備制度理事会)、日銀の金融政策には確実性が乏しい。確かに、6月のアメリカの消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比+3.0%と大幅に低下(昨年6月は+9.1%)した。だが、賃金と家賃は高止まりしている。FRBの方針は26日のFOMC後のパウエル議長のコメント(記者会見)を待つ必要があろう。
●物色面では個別材料株を狙う!
物色面はどうか。夏相場は基本的に“夏枯れ”商状に陥ると考えている。だからこそ、先物に振り回されにくい個別材料株にマトを絞るべきだと思う。具体的には好業績、チャート妙味、テーマ性内包のSHIFT <3697> [東証P]、テラプローブ <6627> [東証S]、ウイングアーク1st <4432> [東証P]などに注目できる。
さらに、材料含みのユークス <4334> [東証S]、バルテス <4442> [東証G]、アイホン <6718> [東証P]が出直りの構えだ。このほか、押し目形成の土屋ホールディングス <1840> [東証S]、AKIBAホールディングス <6840> [東証S]などに妙味あり、と判断する。
土屋ホールディングスは北海道が地盤の住宅メーカーだ。千歳市にはラピダスが最先端の 半導体工場を建設中である。最終的な総投資額は5兆円を超える。すでに、台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>、ソニーグループ <6758> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]などが新工場を建設している熊本県菊陽町周辺では住宅不足が深刻になっている。
AKIBAホールディングスは子会社のアドテックがMASS(大阪市中央区)と組み、AIカメラと通信機能を搭載した鉄道車両向け次世代の 防犯カメラ「LED-AI(レッドアイ)」の量産支援を開始している。国土交通省は新幹線全線、一定の基準を上回る三大都市圏の在来線に、防犯カメラ設置を義務付ける方針だ。量産支援はこれに呼応したものだろう。
2023年7月14日 記
株探ニュース