いちご---好調なホテル需要により、ホテル収益が大幅増進
いちご<2337>は13日、2024年2月期第1四半期(23年3月-5月)連結決算を発表した。売上高は前年同期比39.0%減の101.52億円、営業利益は同10.2%減の24.45億円、経常利益は同37.9%減の14.69億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同5.2%減の14.55億円となった。なお、同社では、本業である心築(しんちく)事業の実態を示すため、会計上は特別損益に計上される心築事業に属する固定資産の売却損益を営業利益に加えた「ALL-IN」指標を採用しており、ALL-IN営業利益は同1.2%減の26.91億円となった。また、同社のキャッシュ創出力を示す「キャッシュ純利益」では、同19.6%増の34.63億円と、大幅に向上した。また、より安定的な収益であるストック収益全体では、前年同期比で44%増、通期目標に対しては第1四半期で30%の進捗と、大幅に向上している。
心築(しんちく)事業について、主たる物件の売却を第2四半期以降に計画しており、第1四半期は物件売却が少なかったことから、売上高は前年同期比45.1%減の80.04億円となったが、ホテルの売上回復により変動賃料が大きく伸びたことから利益率が向上し、セグメント利益は同1.4%減の17.26億円となった。コロナの影響により大きく落ち込んでいた宿泊需要が力強く回復している。同社の保有ホテルのRevPARが、コロナの影響をほぼ受けていない2020年2月期比で+28.5%となった。宿泊業界では人手不足が深刻化しているが、同社では、コロナの影響を受けた期間中においても高稼働を維持し、従業員の確保とスキルアップを実施してきたことで、需要増に十分に対応できる体制を整えているとしている。また、専門性の高いレベニューマネジメント業務をAIにより自動化し、ホテル収益の最大化とコスト削減に寄与する同社開発の売上管理システム「PROPERA」も、今後のさらなる需要増により、同社業績の向上に寄与するとしている。新規事業である「いちご オーナーズ ビルシェア」および「いちご・レジデンス・トークン」は、長年培ってきた不動産運用力や心築ノウハウを基盤に、個人および事業主でもプロの目利きと簡素な手続きで優良なレジデンス(住宅)へ投資できる新たな商品を展開し、顧客層の拡大と運用受託によるストック収益の拡大を図っている。「いちご オーナーズ ビルシェア」は第3号案件が短期間で完売し、本年6月1日より運用を開始している。また、「いちご・レジデンス・トークン」についても、第2四半期に第2号案件が組成されることに伴い、いちごオーナーズより投資対象レジデンスの売却を予定しており、売上高68.9億円が計上される。
なお、当第1四半期の不動産売買については、取得額177億円、売却額は32億円となった。
アセットマネジメント事業について、いちごオフィスリート投資法人<8975>(以下いちごオフィス)における物件取得および稼働率上昇によるNOIの増加や、いちごホテルリート投資法人<3463>(以下いちごホテル)の業績回復に伴う運用報酬の増加により、売上高は同25.0%増の7.22億円、セグメント利益は同19.7%増の3.86億円となった。いちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーンインフラ投資法人<9282>および、私募ファンド事業への業務支援に注力した。いちごホテルも、宿泊需要の力強い回復を受け、コロナの影響がなかった2019年同月比で売上高が上回る結果となっている。また、同社では、運用する投資法人のさらなる成長ならびに投資主価値の向上を通じたアセットマネジメント事業の強化に向け、スポンサーとしてのコミットメント強化の一環として、いちごオフィスといちごホテルの投資口の取得を進めている(いちごオフィス 総額30億円、いちごホテル 総額10億円)。
クリーンエネルギー事業については、設備の定期メンテナンスによる一時的なコスト増により、売上高は同2.9%減の15.28億円、セグメント利益は同12.5%減の5.76億円となった。当期は、同社として2番目に大きな太陽光発電所(13.99MW)である「いちごえびの末永ECO発電所(FIT価格40円)」の発電開始を期末に予定しており、来期以降は、「いちごえびの末永ECO発電所」の収益が貢献し、安定性の高い事業として成長が見込まれる。同社が開発・運用する発電開始済み発電所の合計は、63発電所(発電出力174.2MW)まで成長している。さらに、第3のクリーンエネルギーとして「いちごグリーンバイオマス発電(4か所合計出力5.8MW、総事業費約74億円)」を、またNon-FIT型太陽光(9か所合計出力49.2MW、総事業費約82億円)での発電開始を計画している。
2024年2月期通期の連結業績予想については、営業利益が前期比24.0%減の95.00億円、ALL-IN営業利益が同6.5%増の180.00億円、経常利益が同44.7%減の60.00億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.3%増の100.00億円とする期初計画を据え置いている。
《SI》
提供:フィスコ