ジェネパ Research Memo(4):ECマーケティング事業は増収減益。商品企画関連事業は減収増益
■業績動向
1. 2023年10月期第2四半期の連結業績概要
ジェネレーションパス<3195>の2023年10月期第2四半期の連結業績は、売上高7,775百万円(前年同期比1.0%増)、営業利益57百万円(同30.0%減)、経常損失11百万円(前年同期は163百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失23百万円(前年同期は121百万円の利益)となった。コロナ禍を背景とした巣ごもり需要が落ち着きをみせたものの、新たな生活様式によってECサイト「リコメン堂」での家具・生活雑貨などの売上は引き続き好調であった。しかし、Yahoo!ショッピングにおけるポイント還元抑制策の影響を受けたこともあり、ECマーケティング事業の売上は1ケタ台の伸びに留まった。また、前期に大型受注があった商品企画関連事業が反動で21.6%の減収となったため、グループ全体の売上高は微増に留まった。営業利益は、PB商品の開発や物流施策などの利益改善の取り組みを進めたが、円安やエネルギー価格高騰に伴う仕入価格の上昇や物流コストの増加を吸収できなかったことにより前年同期を下回った。さらに、営業外費用において、ジェネパベトナムが有する外貨建債務に係る為替差損77百万円を計上したため、親会社株主に帰属する四半期純損失を計上した。
2. セグメント別業績
(1) ECマーケティング事業
ECマーケティング事業については、売上高6,544百万円(前年同期比6.2%増)、セグメント利益134百万円(同20.0%減)となった。売上面では、コロナ禍の影響により喚起されたEC需要や在宅勤務・巣ごもり需要などを的確に捉え、各種セールや新生活向けの新商品投入を継続的に行ったことにより、家具・生活雑貨などの販売が好調に推移した。「リコメン堂」は、2023年1月に「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2022」でホームライフジャンル(寝具・ベッド・ファブリック)のジャンル大賞を、同年3月には「auPAYマーケットBEST SHOP AWARD 2022」でインテリア・寝具カテゴリ賞、同月にeBayが展開する「Qoo10 AWARDS 2022」で最優秀賞を受賞するなど、マーケティング力を生かした商品販売により顧客満足度で高評価を得た。しかし、Yahoo!ショッピングが2022年度下期(2022年10月~2023年3月)から、同社負担でのポイント付与を抑制したことで流通量が大幅に減少した。「リコメン堂」もその影響を受け売上の伸びが抑えられたようだ。利益は、PB商品の開発や物流施策などの利益改善の取り組みを進めたが、円安やエネルギー価格高騰に伴う仕入価格の上昇や物流コストの増加を吸収できず、前年同期を下回った。
(2) 商品企画関連事業
商品企画関連事業については、売上高1,120百万円(同21.6%減)、セグメント利益58百万円(同78.8%増)となった。第1四半期までは、ベトナムにおいて海外出張による現地サポートの再開、営業活動の強化、中国子会社である青島新錠紡貿易の受注が好調な水準を維持していたことから、前年同期比で増収となった。第2四半期では、取引先の納期調整や自社PB商品の開発に注力したことなどにより出荷数が減少したほか、前年同期に大型の受注があった反動から減収となった。利益面では、海外工場の生産体制の構築が進み、工場稼働率の向上が原価低減につながり増益となった。
(3) 受託開発事業
売上高208百万円(同83.0%増)、セグメント利益101百万円(同176.9%増)となった。自社グループソフウェアの開発案件を内部売上として105百万円(前年同期は18百万円)を計上したこと、さらに内閣府の「エビデンスシステムe-CSTI」※の保守にかかる受託売上も寄与し、増収増益となった。
※e-CSTI (Evidence data platform constructed by Council for Science, Technology and Innovation)とは、大学等の研究機関における「研究」「教育」「資金獲得」に関するエビデンスを収集し、インプットとアウトプットの関係性を「見える化」するための各種分析機能を開発し、関係省庁や国立大学・研究開発法人等の関係機関に対して分析機能・データを共有するプラットフォーム。
(4) その他事業
非物販事業として展開するインテリア・雑貨の紹介、それらの実例や家に関するアイデアを紹介するWebメディア「イエコレクション」、前期に立ち上げたシーン・相手別におすすめの贈り物をセレクトするWebメディア「プレゼントコレクション」において、掲載する記事数やPV数の拡大に向けた人員増加などへの投資をしたほか、2023年5月にはテーマに合わせて書籍・映画をセレクトするWebメディア「ブックスコレクション」を立ち上げ、メディア事業の収益力の強化を図っている。
(5) 営業外費用(為替差損)の計上
同社は、2023年10月期第2四半期において、前期末と比較して円高方向へ為替相場が変動したため、為替差損77百万円を営業外費用に計上した。ただし、これは主にジェネパベトナムに対する外貨建債務に係る為替差損によるもので、今後の為替相場の状況により変動するものである。
3. 財務状況
2023年10月期第2四半期末における資産合計は前期末比140百万円減の4,497百万円となった。流動資産は4,224百万円となり、同140百万円の減少となった。今後の販売拡大に向けた在庫積み増しにより商品及び製品が117百万円増加したが、それに伴い在庫積み増しのための運転資金が増加し、配当金の支払いもあり、現金及び預金が238百万円減少したことによる。固定資産は同0百万円減の273百万円となった。工具、器具及び備品が21百万円増加したが減価償却が進み有形固定資産が9百万円減少、のれんの償却が進み12百万円減少、ソフトウェアが13百万円増加したことなどにより無形固定資産が1百万円増加、繰延税金資産が7百万円増加したことなどにより投資その他資産が7百万円増加したことによる。
負債合計は同37百万円減の2,602百万円となった。流動負債は同1百万円増の2,538百万円となっており、主な要因としては、ロイヤリティなどの変動費の増加や取引金額の大きい外注費の増加により未払金が46百万円増加したが、賞与引当金が49百万円減少したことが挙げられる。固定負債は同39百万円減の64百万円となったが、これは長期借入金の返済37百万円などによる。
純資産合計は、同102百万円減の1,895百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純損失の計上、株主に対する決算配当などにより利益剰余金が96百万円減少したほか、為替換算調整勘定が7百万円減少したことなどによる。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
《SI》
提供:フィスコ