明日の株式相場に向けて=米国発・爆速AI相場の復活はあるか
きょう(13日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比475円高の3万2419円と大幅反発。注目された6月米CPIはコア指数が前年同月比+4.8%と、5月の5.3%から急低下し、市場予想中央値の5.0%も0.2%下回った。7月利上げについては既に動かし難いが、年内残り3回のFOMCにおいて利上げ見送りの可能性がそれなりに高まった。その割にNYダウは後半ダレたのだが、東京市場の方は逆に鬱憤を晴らすように日経平均が尻上がりに水準を切り上げ、上げ幅を540円あまりに広げる場面があった。
全体相場がようやく下げ止まる動きをみせたことで、個人の投資意欲回復からテーマ買いの動きが復活する兆しがある。目先ビッグイベントとみられていた米CPI発表を通過し、今月下旬開催のFOMCを含めたFRBの金融政策の方向性が大体イメージできる局面となってきた。今は、マクロの経済指標から徐々にミクロの企業業績に視点が移る過渡期にある。米国企業の四半期決算発表がこれから次第に本格化し、日本もこれに追随する形で決算発表シーズンに突入するが、3月決算銘柄の第1四半期決算が本格化するのは今月末から8月上旬にかけてである。そのスケジュールをにらみつつ、再来週(7月第4週)前半ぐらいまではテーマ買い主導の個別株物色が繰り広げられる公算が大きい。
ここ最近は米国株市場と東京市場は良くも悪くも連動性を欠いているが、米国では金利低下を背景にグロース株に投資資金が還流しており、ここ十分すぎるほど休養を入れた東京市場でも、半導体周辺の成長株エリアに目を向けてよい頃合いとなった。そして、ここで改めて注目したいのは、米株市場で再び動兆しきりとなっている「人工知能(AI)関連」だ。 ビッグデータとディープラーニングの融合でもたらされた第3次AIブームが約10年間続き、昨年あたりからセンセーショナルな 生成AIの登場によって、世界は第4次AIブームに突入したといって過言ではない。仮に「生成AIバブル」という歴史的な位置付けが後年になされるとしても、それはまだかなり先の未来。現状において人類はAIという未知の果実に群がるよりない。世界的に開発競争を一時中断する呼びかけなども行われたが、これはむしろAI分野の研究開発で遅れることへの恐怖を煽ることにもなっている。
先端AIの開発を中止することについては急先鋒でもあったイーロン・マスク氏が、12日に新会社「xAI」を設立したことを発表し耳目を驚かせた。「宇宙の本質を理解すること」が目標というが、その哲学的な社是とは裏腹に、新会社の設立の本質はもっと分かりやすく野心的で、「チャットGPT」に対抗する存在の確立ということになる。資本主義の主要パーツで経済の鏡でもある株式市場において、今後AIというテーマは日々確実に進化し、その居どころを変えながら、投資資金の潮流と波浪に晒されていくことは間違いない。
東京市場で真のAI関連は見当たらないというアイロニカルな意見も聞かれるが、確かに“出来上がった”AIカンパニーは稀少かもしれないが、AIを活用して次のステップを踏もうとしている企業はすべて投資資金を誘導する素地を持っている、という考え方もできる。あくまで株式市場は“未来を映す”鏡であって、未来の可能性を追求するマネーゲームでもある。
きょうはFRONTEO<2158>やブレインパッド<3655>などのAI関連の象徴株が動意をみせたほか、AI関連の旗艦銘柄であるソフトバンクグループ<9984>が新値街道に突入しており、この流れに着目したいところだ。例えばAI音声認識技術で業界の先駆けであるアドバンスト・メディア<3773>、AIを活用した販促支援で優位性を発揮するデータセクション<3905>、ビッグデータやAI技術を駆使したソリューション提供を主力とするTDSE<7046>、インテグレーションサービスの「Third AI」を通じ、最新のAI技術に対応したプラットフォーム導入を行うJTP<2488>などをマークしたい。
あすのスケジュールでは、この日は株価指数オプション7月物のSQ算出日にあたる。また、5月の鉱工業生産(確報値)が発表されるほか、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が予定されている。海外では、5月のユーロ圏貿易収支、6月の米輸出入物価指数、7月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)などが注目される。また、G20財務相・中央銀行総裁会議が18日までの日程でインドにて開催される。なお、ニュージーランド市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2023年07月13日 17時07分
全体相場がようやく下げ止まる動きをみせたことで、個人の投資意欲回復からテーマ買いの動きが復活する兆しがある。目先ビッグイベントとみられていた米CPI発表を通過し、今月下旬開催のFOMCを含めたFRBの金融政策の方向性が大体イメージできる局面となってきた。今は、マクロの経済指標から徐々にミクロの企業業績に視点が移る過渡期にある。米国企業の四半期決算発表がこれから次第に本格化し、日本もこれに追随する形で決算発表シーズンに突入するが、3月決算銘柄の第1四半期決算が本格化するのは今月末から8月上旬にかけてである。そのスケジュールをにらみつつ、再来週(7月第4週)前半ぐらいまではテーマ買い主導の個別株物色が繰り広げられる公算が大きい。
ここ最近は米国株市場と東京市場は良くも悪くも連動性を欠いているが、米国では金利低下を背景にグロース株に投資資金が還流しており、ここ十分すぎるほど休養を入れた東京市場でも、半導体周辺の成長株エリアに目を向けてよい頃合いとなった。そして、ここで改めて注目したいのは、米株市場で再び動兆しきりとなっている「人工知能(AI)関連」だ。 ビッグデータとディープラーニングの融合でもたらされた第3次AIブームが約10年間続き、昨年あたりからセンセーショナルな 生成AIの登場によって、世界は第4次AIブームに突入したといって過言ではない。仮に「生成AIバブル」という歴史的な位置付けが後年になされるとしても、それはまだかなり先の未来。現状において人類はAIという未知の果実に群がるよりない。世界的に開発競争を一時中断する呼びかけなども行われたが、これはむしろAI分野の研究開発で遅れることへの恐怖を煽ることにもなっている。
先端AIの開発を中止することについては急先鋒でもあったイーロン・マスク氏が、12日に新会社「xAI」を設立したことを発表し耳目を驚かせた。「宇宙の本質を理解すること」が目標というが、その哲学的な社是とは裏腹に、新会社の設立の本質はもっと分かりやすく野心的で、「チャットGPT」に対抗する存在の確立ということになる。資本主義の主要パーツで経済の鏡でもある株式市場において、今後AIというテーマは日々確実に進化し、その居どころを変えながら、投資資金の潮流と波浪に晒されていくことは間違いない。
東京市場で真のAI関連は見当たらないというアイロニカルな意見も聞かれるが、確かに“出来上がった”AIカンパニーは稀少かもしれないが、AIを活用して次のステップを踏もうとしている企業はすべて投資資金を誘導する素地を持っている、という考え方もできる。あくまで株式市場は“未来を映す”鏡であって、未来の可能性を追求するマネーゲームでもある。
きょうはFRONTEO<2158>やブレインパッド<3655>などのAI関連の象徴株が動意をみせたほか、AI関連の旗艦銘柄であるソフトバンクグループ<9984>が新値街道に突入しており、この流れに着目したいところだ。例えばAI音声認識技術で業界の先駆けであるアドバンスト・メディア<3773>、AIを活用した販促支援で優位性を発揮するデータセクション<3905>、ビッグデータやAI技術を駆使したソリューション提供を主力とするTDSE<7046>、インテグレーションサービスの「Third AI」を通じ、最新のAI技術に対応したプラットフォーム導入を行うJTP<2488>などをマークしたい。
あすのスケジュールでは、この日は株価指数オプション7月物のSQ算出日にあたる。また、5月の鉱工業生産(確報値)が発表されるほか、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が予定されている。海外では、5月のユーロ圏貿易収支、6月の米輸出入物価指数、7月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)などが注目される。また、G20財務相・中央銀行総裁会議が18日までの日程でインドにて開催される。なお、ニュージーランド市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2023年07月13日 17時07分