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3622 ネットイヤーグループ

東証G
530円
前日比
-1
-0.19%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
32.3 1.46 1.13
時価総額 37.1億円

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ネットイヤー Research Memo(5):NTTデータとの協業効果やプロジェクト管理体制の強化により利益体質に転換


■業績動向

2. 中期経営計画の取り組みの成果について
ネットイヤーグループ<3622>は、2020年3月期から2023年3月期までを「収益力の回復」、すなわち利益の出る収益構造に変えていくことを経営の最重要課題として掲げ、以下の4つの施策に取り組んできた。前述したように、2023年3月期の業績は2ケタ増収増益となり、2020年3月期からの4年間で見れば右肩上がりに収益が回復し、営業利益率も7.2%と2015年3月期以来の水準まで回復したことから、同社が掲げた「収益力の回復」という目標は達成されたものと弊社では評価している。

(1) 利益体質への転換
同社の単体業績は、2015年3月期をピークに2017年3月期以降は不採算プロジェクトが発生したこともあり、3期連続で営業損失を計上するなど厳しい収益状況に陥っていた。しかしながら、2019年2月にNTTデータと資本業務提携契約を締結し、事業基盤の再構築に取り組んだことで2020年3月期に黒字転換を果たし、それ以降は順調に増益を続けている。また、収益率(営業利益率)も2023年3月期は7.2%と過去ピークであった2015年3月期の7.8%の水準近くまで回復した。一方で売上高については、利益重視の営業活動を推進した結果、2020年3月期以降はしばらく伸び悩んでいたが、2023年3月期は既存顧客からの大型開発案件が売上に寄与したこともあり、久しぶりに2ケタ台の伸びを示した。

黒字化と収益率の改善に向けた施策としては、重点顧客への営業活動に注力し、顧客当たり売上高の増加に取り組んだほか、不採算プロジェクトの抑制に努めた。重点顧客への営業活動に注力したことにより、上位10社の売上構成比は2018年3月期の37.2%から2022年3月期は66.2%へと上昇し、2023年3月期においても上昇傾向が続いたもようだ(上昇分の大半はNTTデータ向けの売上増による)。主要顧客の営業活動に注力することによって、営業の生産性も向上した。また、不採算プロジェクトの抑制については、大型不採算案件(10百万円超の損失案件)が2018年3月期に4件発生したものの、受注リスク管理(受注前段階での要件定義や見積額の精査を厳格に実施)やプロジェクト収益管理を徹底するとともに、プロジェクト収益改善対策の仕組みを取り入れた結果、2021年3月期以降は3期連続で発生しておらず、収益性が向上する要因ともなった。

(2) NTTデータとの協業
NTTデータとの資本業務提携を実施して以降、双方の強みを生かした共同開発案件が増加しており、売上構成比では2020年3月期の13.6%から2023年3月期は34.5%まで上昇し、業績回復の原動力となった。NTTデータグループに入ったことで、流通・小売業界、金融、行政分野での新規開発案件を受注する機会も増加傾向が続いており、売上構成比も中期的には40%台半ばまで上昇することが予想される。

(3) 社員エンゲージメントの強化
企業の成長の源泉となる人財については、採用・育成の強化に加えて社員エンゲージメントの強化による離職率の抑制に取り組んできた。具体的には、企業ミッションを再定義し、働きやすさの向上に向けた各種制度の導入※や教育研修の強化、やりがいが高まる案件の受注などを推進してきた。この結果、離職率は2018年3月期の26.7%から2023年3月期は12%程度とおおむね業界平均水準まで低下しており、一定の効果があったと評価される。

※カケモチ社員制度の導入、LGBTに対応した福利制度改定、介護・育児等を想定した柔軟な勤務管理体系の整備、遠隔地勤務制度等を導入した。


(4) サービス開発
インターネット技術の進化に伴い、次々と新たなサービスの開発が進むなか、同社もニーズに合わせて新規サービスの開発・育成に取り組んできた。POSについては売上高も伸びてきており一定の成果が出ているが、ストアアプリの販売やEC構築支援サービスは苦戦しており、今後の課題と言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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