CRGHD Research Memo(6):2023年9月期第2四半期は増収。新規事業の早期収益化に向け先行投資を実施
■業績動向
1. 2023年9月期第2四半期の業績概要
2023年9月期第2四半期の連結業績は、売上高で前年同期比3.4%増の11,170百万円、営業利益で同48.8%減の167百万円、経常利益で同45.7%減の170百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同49.4%減の106百万円となった。コロナ禍から人材需要が回復してくるなか、売上高は前年同期から増加した。GoToキャンペーンやワクチン問い合わせ業務など、新型コロナ関連の案件が減少したものの、物流やイベント関連の案件が回復したこと、既存顧客の深掘りによって新規案件を獲得したこと、派遣領域を順調に拡充したことなどを受け、前年同期に比べてトップラインを伸ばした格好だ。派遣領域の拡充に関しては、新たに機械製造業、食品製造業の顧客を獲得した。また、既存顧客の深掘りによる新規案件の獲得に関しては、既存の派遣エリアにおいてしっかりと成果を上げ、顧客からの信頼を獲得したことにより、他のエリアの案件を獲得した。これらにより、事業別売上高は、人材派遣紹介事業が前年同期比3.9%増の9,930百万円、製造請負事業が同7.6%減の1,056百万円、その他事業が同72.2%増の183百万円となった。
一方で利益面に関しては、前年同期比で減益となった。これは、短時間労働者に対する社会保険適用拡大、利益率の高かったコロナ案件の減少、新規事業の運営体制構築を目的とした人材採用の強化、2022年11月に完全子会社化したオシエテののれん償却などが要因である。減益とはなったものの、中長期的な事業戦略である「派遣領域の拡充」「派遣領域の請負化」「サービスの拡充」は、確実に進捗を見せた。新規サービスの収益化に向けては、人材採用による運営体制の強化や新規事業に関するナレッジの蓄積などが着実に実行されたほか、2022年11月に完全子会社化したオシエテにおいては、新サービスであるOCiETe IRの提供を開始している。東京証券取引所が英文開示を推奨するなかで、プライム市場の英文開示実施状況は100%、スタンダード市場は82.1%(2022年12月時点)となっており、各企業が積極的に英文開示を行っている状況である。また、足元では海外機関投資家の日本株に対する関心が高まっている。こうしたなかで、企業と投資家のコミュニケーションを幅広くサポートする「OCiETe IR」に対するニーズが堅調に推移することが期待される。加えて、「派遣領域の請負化」に関しても、人材派遣の現場にスーパーバイザーとしてCRGホールディングス<7041>社員を派遣し、顧客との信頼関係を構築することにより、派遣業務の請負化を促進する取り組みが着実に実行されている。
また、組織面においては、組織再編によるグループシナジーの強化に取り組んだ。これは、同社を取り巻く事業環境が急速に変化するなかで、グループ企業間の情報連携を密にし、収益機会の拡大を図ろうとするものである。実際に、ジョブスの顧客に対してキャスティングロードの顧客を紹介するなどの連携が見られており、グループシナジーの強化による業績の拡大が期待される。その他、キャスティングロードが提供するSaaS型採用業務効率化/改善サービス「採用見える化クラウド」のOEM提供を開始している。
通期会社計画と比較した進捗率に関しては、売上高が49.6%、営業利益が34.3%、経常利益が35.6%、親会社株主に帰属する四半期純利益が33.3%となった。先行投資の影響などを受け、利益の進捗率が若干低調となっている。しかし、同社は元々、下期偏重で計画を策定している。その意味で、想定どおりの事業進捗であると言えるだろう。
なお、同社が属する人材サービス業界においては、2023年3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.32倍、完全失業率(季節調整値)は2.8%となり、コロナ禍と比較して人材需要は回復傾向にある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
《SI》
提供:フィスコ