DEAR・L Research Memo(6):2023年9月期第2四半期は、物件売却が順調
■業績動向
1. 2023年9月期第2四半期の業績概要
ディア・ライフ<3245>の2023年9月期第2四半期は、売上高が前期比1.7%増の11,713百万円、営業利益が同111.9%増の1,104百万円、経常利益が同133.0%増の1,104百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同8.2%増の701百万円となり、順調な業績で上期を折り返した。
主力のリアルエステート事業の外部環境は、国内の金融緩和が継続するなか、不動産市場が活況に推移し、特に同社が注力する首都圏の住居系不動産に対する国内外の投資家による投資意欲は、依然として高水準で推移した。このような環境のもと、同社は「原木中山駅前PJ(千葉県船橋市)」などをはじめとする自社開発の都市型レジデンスやアセット・デザイン&リセール(ADR、土地の開発適地化)、収益不動産などを売却した。売却した収益不動産には10億円を超える物件も複数あり、物件の大型化が進捗した。また、2022年9月期からグループ化したアイディグループでも新築レジデンス、戸建、中古区分などの売却が順調に推移した。これらの結果、リアルエステート事業の売上高は前年同期比2.0%増の9,534百万円となった。セールスプロモーション事業においては、連結子会社DLX-HD傘下のN-STAFFによる非対面での保険営業人材の派遣などの需要が堅調に推移した。得意分野である金融・不動産業界以外にも派遣先が多様化・拡大している。
増収に伴い、売上総利益額は前年同期比12.8%増となった。販管費に関しては、主にセールスプロモーション事業の連結子会社において本部機能の集約、取引先との契約の見直し等のコスト削減が進んだことなどにより、同23.1%減となった。セールスプロモーション事業のセグメント損益は半期での黒字化を達成した。これらの結果、営業利益で前年同期比111.9%増と好業績を達成した。なお、親会社株主に帰属する四半期純利益の増加率が同8.2%と低下するのは、前期にM&Aに伴う負ののれん発生益(372百万円)を計上した反動によるところが大きい。それでもなお増加率がプラスということは、本業でそれを凌ぐ利益を上げられているということである。
自己資金・エクイティファイナンス・金融機関からの借入をバランスよく活用し資金調達できるのが強み。自己資本比率が高く(47.5%)、財務基盤が強固
2. 財務状況と経営指標
2023年9月期第2四半期末の総資産は前期末比6,009百万円増の42,466百万円と前期末から資産規模が拡大した。そのうち流動資産は6,245百万円増であり、販売用不動産が5,869百万円増加し、仕掛販売用不動産が5,242百万円増加したことが主な要因である。一方で現金及び預金は6,267百万円減少した。固定資産は236百万円減と大きな変化はなかった。
負債合計は前期末比6,686百万円増の21,884百万円となった。そのうち流動負債は814百万円減であり、未払法人税等の減少などが主な要因である。固定負債は7,501百万円増であり、不動産の仕入により長期借入金が7,052百万円、社債が370百万円それぞれ増加したことが主な要因である。有利子負債合計では7,090百万円増の18,942百万円と資金調達の順調さがうかがえる。純資産合計は同678百万円減の20,581百万円となった。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益を701百万円計上した一方で、剰余金の配当を1,894百万円行ったことなどによる。自己資金、エクイティファイナンス(2022年9月期に第三者割当型新株予約権の行使など)、金融機関からの借入をバランスよく活用し、投資機会を逃さない体制が整っているのが同社の強みとなっている。
経営指標では、流動比率1,116.6%と安全性の目安である200%を大きく超え、短期の安全性は非常に高い。自己資本比率も47.5%と、業界水準(不動産業界は30%前後)を大きく上回っており、中長期の安全性にも秀でる。財務内容が健全なため、金融機関からの信頼が厚く、圧倒的な資金調達力につながっていると評価できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
《SI》
提供:フィスコ