アジア投資 Research Memo(3):「プロジェクト投資」の売却や積み上げは順調に進展(1)
■日本アジア投資<8518>の主な活動実績
1. PE投資
(1) ファンド運用残高(ファンド新設の進捗)
同社グループが管理運営等を行っているファンドの運用残高は9ファンドで15,850百万円(前期末は10ファンドで16,463百万円)となった。1ファンド※を新規設立し、その後増額(増額後のファンド総額3,701百万円)した一方、満期延長中であった2ファンド(ファンド総額の合計は4,328百万円)が減少した。
※同社と(株)あおぞら銀行の合弁会社であるAJキャピタル(株)(持分法を適用していない関連会社)が運営する、国内中小企業の事業承継を支援する2号ファンドを設立。主にスモールキャップゾーン(企業価値で10億円未満)を投資対象とし、全国の地域金融機関との連携により中小企業の円滑な事業承継を目指す。なお、2017年6月に設立した運営中の1号ファンドは、8社に投資し、これまでに3社の事業承継に成功した。
(2) 投資実績(戦略投資の実行、及び既存資産の流動化の進捗)
同社グループの自己勘定及び同社グループが管理運営等を行っているファンドからの投資実行額については、10社に対して合計1,408百万円を行った。そのうち、プロジェクト投資のパートナー企業への戦略投資が3件(合計200百万円)※1含まれている。ただ、戦略投資残高は、前期にIPOした株式の売却※2やM&Aによる売却※3に加え、業況の悪化した投資先の一部売却により962百万円(前期末は1,432百万円)に大きく減少した。一方、フィナンシャル投資(戦略投資以外のPE投資)残高については、実行と回収がほぼ均衡し6,047百万円(前期末は6,007百万円)と横ばいで推移した。それらの結果、PE投資全体の投資残高は81社で7,010百万円(前期末は86社で7,440百万円)となっている。
※1 既存先に対する追加投資1件に加え、新たな戦略投資先として、永代供養型樹木葬のプロデュースや宗教法人のDX支援を展開する(株)366(サンロクロク)、及び電動アシスト自転車のサブスクリプションサービス“NORUDE”(ノルーデ)の運営を手掛けるサイクループ(株)に投資した。
※2 2021年12月22日に上場したリニューアブル・ジャパン<9522>(戦略投資先のIPO第1号)の株式。
※3 障がい者グループホームを手掛けるソーシャルインクルーを2022年11月にM&Aにより売却。
(3) IPOの実績
2022年11月22日に医薬品や医薬品原材料、医療用機器などの研究・開発を手掛けるティムス<4891>が東証グロースに上場した。また、期明け後の2023年4月14日には、コインパーキングの運営、駐車場機器の販売・保守などを行っている日本システムバンク<5530>が名証メインに上場している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《SI》
提供:フィスコ