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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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4447 ピー・ビーシステムズ

東証G
577円
前日比
-13
-2.20%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.1 2.52 1.73 15.41
時価総額 38.0億円

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PBシステムズ Research Memo(8):上期苦戦ながら通期予想据え置き、大型案件寄与もあり下期に一気に挽回へ


■今後の見通し

1. 2023年9月期の業績見通し
ピー・ビーシステムズ<4447>の2023年9月期の業績予想については、売上高が前期比11.1%増の2,780百万円、営業利益が同11.0%増の300百万円、経常利益が同12.4%増の295百万円、当期純利益が同11.6%増の205百万円の期初計画を据え置いている。東証グロース市場への上場をきっかけに、人材を拡充して成長に向けた体制を構築するなかで費用が増加するものの、それらを吸収して2ケタの増収増益、5期連続の営業利益の最高益更新を目指す。

2023年9月期計画では、上場による資金調達使途でもある人材獲得に注力する。具体的には、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)としてエンジニア・セールスエンジニア数を設定しているとおり、2022年9月期(28名)から9人増の37人とする計画となっている。そのため予想営業利益率は11.2%と2022年9月期(11.6%)と同水準の計画だ。おおむね横ばいからのスタートとなっているため数字上は見えにくいが、ここから主力のセキュアクラウドシステム(SCL)事業の一段の強靭化が始まることになる。「人材獲得に関しては全企業が頭を悩ませている問題であり、想定通り進まない部分もあると予想されることから、四半期毎にその進捗を見守りたいと弊社は考えている」と前回レポートで指摘していたが、少なくともこの点については、人財開発部設置をきっかけに、中途採用と2024年4月の新卒者採用に向けた活動を並行して現在推進しており、複数の内定者が既に存在するなど、上期段階で進捗は想定以上に順調と見られる(大学・専門学校の就職課等との関係構築が進み、説明会を高頻度で実施しているほか、中途採用は人財開発部が求人媒体を通じて求職中のエンジニアへのオファーをきめ細やかに実施)。長期的な視点では、全国在住のUターン人材や九州在住の優秀な人材が集積する企業というポジションの確立に向けて、ようやく体制が整ったと言えそうだ。

その一方、株式市場及び投資家のなかには、上期決算と会社予想との乖離を受けて計画達成にやや懐疑的な目を向けている向きもあるだろう。しかし、最大のネックである特定案件については、そもそも前述したとおり単純なマンパワーを無限に消費し続けるような性質の問題を抱えているわけではない。念のため余裕を持って、現有メンバーで期末である9月までに完成させるという想定のもと、前倒しでコストを織り込んだ格好のようである。追加ハードないしソフト導入によって問題が解消されるという結論であれば、そうした追加コストが発生する可能性はあろうが、メーカーも巻き込んだ形で問題解決にあたっていることもあり、コストの大部分がこの段階で明確化されたこと自体が逆に先行きの見通しを明るくした部分もあるだろう。また、DELL TECHNOLOGIES製のバックアップ統合製品「DP4400」を中心とした高付加価値レジリエンスソリューション販売については、サイバー攻撃の検知と早期対処を行うEDR(Endpoint Detection and Response)やファイル交換システムによるEmotetコンピュータウイルス対策などをプラスした複合的な商談の流れは引き続き豊富なようだ。加えて、自営のプライベートクラウド基盤を運用しているSaaS事業者においては、経年によるシステム基盤更新の需要が必然的に発生することになる。同社がSaaS事業者向けのシステム構築を拡大し始めてから一定期間が経過し、既存顧客のシステム基盤更新需要が望めるなか、製商品販売の高付加価値化戦略を開始するには適したタイミングが到来している。実際、2023年4月28日付で開示したSaaS用プライベートクラウド基盤の大型案件(約10億円)については、同社が設計・構築したシステムの拡張案件である。特定案件のような技術的にも新しいイレギュラー事象が発生する可能性は低いほか、特定案件に配属されているエンジニア以外の人員が担当することから、人繰りという面からも安心感がある。同大型案件は、もともと下期偏重だった計画をさらに押し上げる要素として、ポジティブなインパクトを与えてくることになるだろう。

2023年9月期における第2のポイントは、エモーショナルシステム(EMO)事業の黒字化見込みである。もともとアミューズメント向けを主力として展開していたこともあって、コロナ禍の影響を受けやすく、2020年9月期、2021年9月期は特に向かい風の状況に追い込まれていた。しかし、2022年9月期を見てみれば、赤字解消には至らなかったとはいえ、アミューズメント領域以外での需要掘り起こしに注力し続けたことが奏功し、増収基調に復帰した。業績面からも底入れ機運が高まりつつある。2023年9月期上期段階で小幅ながら黒字化を着実に達成しており、大手通信事業者との更なる協業深化、アミューズメント領域での需要回復などの状況を勘案すると、こちらも期待通り進捗を見せると弊社では考えている。企業向けメタバース構築についても、ファースト事例である大英産業の案件が「見える化」することが、ビジネス展開加速のキーポイントになると予想される。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《SI》

 提供:フィスコ

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