不二精機 Research Memo(1):自動車用精密成形品の拡大と医療用精密金型の安定受注により収益拡大を目指す
■要約
1. プラスチック成形用精密金型の製造技術を基礎として売上を拡大
不二精機<6400>は、1965年に大阪市生野区で精密プラスチック金型の製造及び販売を目的に設立した企業である。以来、プラスチック成形用精密金型の製造技術を基礎とし、精密成形品その他事業も開始し海外連結子会社4社を有するなどグローバルに事業展開し、射出成形用精密金型及び成形システム事業と精密成形品その他事業の2事業で事業展開している。
同社は、高度な金型設計ノウハウと加工技術を有しており、1)ハイサイクル、2)多数個取り、3)不良率・バラツキの極小化、4)長寿命を特徴とした、高付加価値な精密金型製造を行っている。また精密成形品その他事業では、精密金型の競争力を活用し、参入障壁の高い自動車関連部品分野に絞った事業展開を行っている。
2. 2022年12月期は4.9%増収、20.3%営業減益、18.4%経常減益
2022年12月期の連結業績は売上高7,833百万円(前期比4.9%増)、営業利益483百万円(同20.3%減)、経常利益502百万円(同18.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益339百万円(同33.0%減)となった。事業別では、射出成形用精密金型及び成形システム事業は売上高3,021百万円(前期比6.5%増)、営業利益249百万円(同4.0%減)となった。精密成形品その他事業は、売上高4,811百万円(前期比3.9%増)、営業利益209百万円(同36.4%減)となった。全体として半導体等の不足で自動車生産が伸び悩むなか、部材高なども影響し円安効果を除くと実質減収となっており、収益が伸び悩む結果となった。
3. 2023年12月期は8.3%増収、1.9%営業増益を見込むも、円安一巡により9.0%経常減益の予想
2023年12月期の連結業績予想は、売上高8,483百万円(前期比8.3%増)、営業利益491百万円(同1.9%増)、経常利益457百万円(同9.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益353百万円(同4.4%増)となっている。自動車向け精密成形品の売上が半導体不足等の緩和で堅調な伸びを続け、利益面では材料費の高止まりや次世代に向けた研究開発費の増加、さらには人件費増などの要因を生産効率の向上でカバーし、営業利益は微増益を見込む。ただし経常利益は円安効果が一巡したため減益となる見通しである。なお中期方針として、2025年12月期に売上高9,500百万円、営業利益率7.5%達成を目標に掲げている。
■Key Points
・2022年12月期は4.9%増収、20.3%営業減益、18.4%経常減益
・2023年12月期は8.3%増収、1.9%営業増益を見込むも、円安一巡により9.0%経常減益の予想
・自動車用精密成形品の拡大と医療用精密金型の安定受注に注力し、収益拡大を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
《YI》
提供:フィスコ