市場ニュース

戻る
 

【材料】三谷産業:NEUTRAL継続【今村証券アナリストレポート】

担当 近藤 浩之

●三谷産業<8285>[東証S]
レーティング: NEUTRAL(2025/5/9)→ NEUTRAL

◆商社・メーカー・コンサルタントの技術・ノウハウを有する複合企業
◆今期業績は上方修正を予想
◆利益率向上には「住宅設備機器」の損益改善が不可

【タイトル】
出所:三谷産業、ブルームバーグ、今村証券

◆商社・メーカー・コンサルタントの技術・ノウハウを有する複合企業

 首都圏、北陸、ベトナムを軸にした6セグメントで構成される。化学品などを調達販売する「商社」でありながら、機能性素材の製造・販売、副生品・廃棄物の有価買取などの「受委託型」ビジネスにも取り組む。自動車向けの樹脂成形品などの製造・販売(樹脂・エレクトロニクス事業)も手掛け、住宅設備機器や空調設備工事、情報システムの事業では設計、開発機能を有する。異なる事業領域の各セグメントが連携して新たな価値や複合的な解決策を提供することや、新たな事業創出にも注力している。

◆今期業績は上方修正を予想

 今期(2026年3月期)第2四半期累計期間の業績は、大幅な増収増益(資料1、出所:決算短信)。売上高は4期連続、営業利益と経常利益は6期ぶり、純利益は3期連続で過去最高を更新した。セグメント別でみると、「情報システム」と「樹脂・エレクトロニクス」の増益幅が大きかった。「情報システム」はNEXTGIGAスクール(教育現場におけるICT活用を推進する「GIGAスクール」の第2フェーズ)案件の特需を除いても過去最高益となり、基幹システム更新案件が順調に進捗した。「樹脂・エレクトロニクス」は車載向け樹脂成形品の需要回復、原価低減活動が功を奏した。

 第2四半期までの通期会社予想に対する進捗率は高く、売上高は51.5%、営業利益は75.3%、純利益は75.1%だ。「情報システム」「空調設備工事」の一部案件が予定より前倒しになったこと、外部環境の不透明感を考慮して、会社は上方修正をしていない。しかし、受注高や受注残高は高水準で、高付加価値・高利益率を重視した受注活動に注力していることを踏まえると、第3四半期以降の業績も堅調だろう(資料2、出所:決算短信)。今村証券による今期業績予想は、売上高1150億円(前期比+11.6%)、営業利益34億円(同+63.9%)、純利益34億円(同+39.3%)とする。配当金は、今後も業績が想定を上回った場合には見直しを検討するとの会社方針に沿って、会社計画比+1円の13円を予想する。

 来期(2027年3月期)予想は、売上高1200億円(今期今村証券予想比+4.3%)、営業利益36億円(同+5.9%)、純利益35億円(同+2.9%)。受注好調を背景に増収増益が続くが、NEXTGIGAスクール案件の特需が剥落するため、伸び率は鈍化するとの予想だ。

【タイトル】
【タイトル】

◆利益率向上には「住宅設備機器」の損益改善が不可欠

 今村証券による業績予想を基にした売上高営業利益率は、今期が3.0%と5期ぶりの水準を回復し、来期も3.0%を見込む。さらなる利益率改善に向けては、高付加価値・高利益率重視の受注活動継続に加えて、「住宅設備機器」の損益改善が不可欠だ。

 「住宅設備機器」は、システムキッチン、システム収納、洗面化粧台を提供するブランド「INTENZA(インテンザ)」、高級バスタブブランド「JAXSON(ジャクソン)」「HIDEO(ハイデオ)」などセグメント内の全ブランドが連携して高級・中高級市場、海外市場での受注活動を推進している。しかし、プロモーション活動に係る費用が嵩む状況にあり、前期まで6年連続の赤字だった。今期の第2四半期累計期間は大型物件への納品時期延伸も重なって赤字幅が拡大した。第3四半期以降や来期も売上高が大きく増えるとは考えづらく、赤字が続きそうだ。

 このところの株価上昇により、今期業績予想の上振れ期待は織り込まれたと判断し、投資判断は「NEUTRAL」を据え置く。


【レーティングの定義】
OUTPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超上回ると予想される。
NEUTRAL:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。
UNDERPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超下回ると予想される。
トータルリターン:株価変動率+配当利回り
目標株価は12カ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。

--------------------------------------------------------------------------------------
今村証券株式会社
  金融商品取引業者 北陸財務局長(金商) 第3号
  加入協会:日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会
--------------------------------------------------------------------------------------
【アナリストによる証明】
本資料に示された見解は、言及されている発行会社とその発行会社等の有価証券について、各アナリストの個人的見解を正確に反映しており、さらに、アナリストは本資料に特定の推奨または見解を掲載したことに対して、いかなる報酬も受け取っておらず、今後も受け取らないことを認めます。
--------------------------------------------------------------------------------------
【免責・注意事項】
本資料は投資判断の参考となる情報提供を目的とし、信頼できると思われる各種データに基づき作成したものですが、正確性・完全性を保証するものではありません。本資料に記載された意見・予測等は、作成時点における今村証券の判断に基づくもので、今後、予告なしに変更されることがあります。本資料は投資結果を保証するものではございませんので、本資料の内容について第三者のいかなる損害賠償の責任を負うものでもありませんし、本資料に依拠した結果として被った損害または損失について今村証券は一切責任を負いません。投資に関する最終決定はご自身の判断で行ってください。今村証券は本資料に関するご質問やご意見に対して、何ら対応する責任を負うものではありません。

今村証券及びその関連会社、役職員が、本資料に記載されている証券もしくは金融商品について、自己売買または委託売買取引を行うことがあります。

本資料は今村証券の著作物であり、著作権法により保護されております。今村証券の事前の承認なく、また電子的・機械的な方法を問わず、本資料の全部もしくは一部引用または複製、転送等により使用することを禁じます。
――――――――――――――――――――――――――――――――-



今村証券より提供されたレポートを掲載しています。



株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均