【材料】コーセル:NEUTRAL継続【今村証券アナリストレポート】
担当 織田真由美
●コーセル<6905>[東証P]
レーティング: NEUTRAL(2025/6/20)→ NEUTRAL
◆標準電源で国内首位
◆台湾ライトン社と資本業務提携、シナジー効果模索
◆シナジー具現化や需要回復を見極めたい

出所:コーセル、ブルームバーグ、今村証券
◆会社概要…標準電源が主力事業
スイッチング電源世界2位の台湾LITE-ON TECHNOLOGY CORPORATION(「ライトン社」)の持分法適用会社で、標準電源で国内シェアトップ。制御機器(FA)や半導体製造装置、医療機器、通信・放送機器など産業機械向けが中心。
◆業績…低迷
2026年5月期第2四半期連結業績は減収・営業赤字。顧客の在庫消化が遅れていることに加え、米国の関税政策の影響や中国景気の低迷長期化による先行き不透明感から業績低迷が続いている。売上高は前年同期に比べて37億円(25.0%)減収の111億円にとどまり、期初予想を36億円近く下回った。利益については経費の削減効果が一定程度あったものの、減収幅が大きく固定費を吸収できなかった。営業利益は期初の想定を13億円近く下振れ、6.6億円の赤字だ。為替差益6.1億円を計上したことで経常利益は黒字を維持したものの、最終損益も赤字となった。
上期業績が想定を大きく下振れたことなどから会社は通期業績予想を減額、営業損益は上場以来初の赤字見通しだ(資料2参照)。一方、配当については、配当方針を「株主資本配当率(DOE)3.5%」を下限とする累進配当としていることで、前期の配当金55円が維持される。


◆受注…回復
他方、受注は緩やかな回復基調を示し始めた。生成AI(人口知能)用GPU半導体製造装置向けの受注が増加してきたことで、上期の受注高は前年同期比29.7%増の114億円となった。BBレシオ(販売額に対する受注額の割合)は今期第1四半期から1を超える水準に回復してきた(資料3参照)。中国経済の動向など不透明要因はあるものの、足元の受注回復によって来期業績は増収増益が期待できる。今村証券では来期業績について売上高270億円(今期予想比12%増)、営業利益5億円、純利益4億円、EPS10円を予想する。

◆ライトン社との協業
2024年に資本業務提携をした台湾ライトン社との協業は来期からが正念場だ。コーセルは高品質のハイエンド市場に強みがあるが、ボリュームゾーンであるミドルレンジ市場の需要を取り込むためにライトン社と協働の新ブランド「COSELSYNC.(コーセルシンク)」を立ち上げた。オリジナルブランドの「COSEL」と棲み分けし、ラインナップの拡充により需要獲得を狙う方針で、今期は「COSEL」製品で19モデル、「COSELSYNC.」製品で10モデルの開発を計画する。開発はやや遅れているが、コーセルの開発リソースを強化するなどの対策を講じ、来期を初年度とする次期中期経営計画で協業によるシナジー効果を織り込む見通しだ。
◆投資判断
業績低迷が株価の重荷となる一方、5%近い配当利回りが株価の支えとなっている。斉藤社長は来期を初年度とする中期経営計画でも現状の配当政策を維持する意向を示しており、「年間配当金55円」は下限となりそうだ。
バリュエーションは高く、株価上昇にはさらなる業績拡大が必要と考える。ライトン社とのシナジー効果の具現化や需要回復を見極めたく、投資判断は「NEUTRAL」を継続する。
| 【レーティングの定義】 OUTPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超上回ると予想される。 NEUTRAL:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。 UNDERPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超下回ると予想される。 トータルリターン:株価変動率+配当利回り 目標株価は12カ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。 |
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