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【材料】ビーイングホールディングス:OUTPERFORM継続【今村証券アナリストレポート】

担当 織田 真由美

●ビーイングホールディングス <9145> [東証S]
レーティング:OUTPERFORM(2025/2/28)→ OUTPERFORM

◆情報システムに強みを持ち、「運ばない物流」「見える物流」が特長の3PL
◆拠点開設、既存取引拡大で増収増益続く
◆全国展開による成長に期待

【タイトル】
(注)2025年10月1日付で1株につき4株の割合で株式分割を予定しているが、2025年12月期のEPS及び配当金は株式分割を考慮していない。
出所:ビーイングホールディングス、ブルームバーグ、今村証券

◆会社概要…自社開発の情報システムが強みの3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)

 「輸送、保管、包装、流通加工、荷役、情報システム」を一貫して請け負う3PL事業を行う。「運ばない物流」と、情報を顧客と共有できる情報システムが特長で、クスリのアオキ(クスリのアオキホールディングス <3549> [東証P]子会社)、三菱食品 <7451> [東証S]向けが営業収益の半分近くを占める。拠点は北陸から関東、関西、東海、東北など22都府県に拡大、全国展開をもくろむ。

◆業績…好調続く

 2025年12月期第2四半期連結業績は増収増益。拠点開設などに伴う新規業務獲得や既存業務拡大が増収に寄与し、営業収益は前年同期比9.5%増収の158億2000万円と期初の会社予想(155億円)を3億円余り上回った。

【タイトル】

 利益については、賃上げや外注費、燃料費などの上昇があったものの、増収効果やシステムを活用した原価コントロールの徹底が奏功し、営業総利益率が11.9%と0.9ポイント改善、営業利益は前年同期比27.2%増益の11億6900万円となった。上期業績は想定をやや上振れたものの、会社は通期予想を据え置いている。

 なお、この間に自社所有の物流拠点「富山SCMセンター」を開設したほか、三重県、茨城県、栃木県に初の拠点を開設するなど今期は既に9拠点を開設、事業拡大への布石を打っている。

◆特長と強み、成長戦略

 同社の特長は、① 日用品や食料品などの生活物資に特化していること、② メーカーや卸、小売の間で実施する拠点間配送、在庫管理、検品などを拠点物流センターに集約する「運ばない物流」、③ 倉庫管理システムや輸配送管理システムなどのシステムを活用し顧客と情報を共有する「見える物流」、④ 自動化、省人化、効率化をはかる仕組みをつくる現場力――だ。

 強みは情報システムだ。自社グループで開発した「Jobs」は、倉庫管理システム(WMS)や輸配送管理システム(TMS)、勤怠や作業などの生産性管理システム(PMS)など物流に関する総合システムだ。「Jobs」によって「見える化」された情報は、社内のみならず顧客にも「見せる化」されている。顧客は物流センター内の在庫量や入庫・出庫業務の進捗状況及び配送の進捗状況などをリアルタイムで確認し共有することができるため、在庫の適正化を図ることができる。顧客の利便性や収益性の改善につながることから、顧客との契約は継続率が高く、同社の安定した収益につながっている。

 北陸で3PLの地盤を築いた同社がもくろむのは全国展開、既存顧客内でのシェアアップだ。中長期的に全国に物流拠点開設を目指す一方、既存エリアでの受託業務拡大、年間4~8件の新規業務開始、既存顧客との取引シェア拡大に注力する。こうした取り組みによるオーガニックな成長に加え、M&Aも検討する。物流業界で再編の機運が高まる中でM&Aの案件は多い様子だが、同社では財務バランスを重視しつつ検討する方針だ。

 中期的には4PLの展開が視野に入る。「Jobs」のような総合システムは少なく、同社はこれを武器に3PL事業をプロデュースする方針だ。働き方改革などドライバーの労働環境改善は流通業の課題の一つで、同社の情報システムはこうした課題解決のソリューションとなり得る。今後の展開に期待したい。

 業績は今後も堅調に推移しそうだ。財務バランスを重視しているため急激な成長が見込まれるものではないが、拠点開設や既存拠点での新規業務開始、M&Aなどが成長ドライブとなる。今期は既に9拠点を開設、このうち4月に開設した「富山SCMセンター」は7拠点目の自社所有の物流拠点で、「運ばない物流」を実現する。業務効率向上に寄与しそうだ。

 今村証券では今期業績について営業収益340億円、営業利益26億円、純利益16億円と、会社予想を小幅に上振れると予想する。来期については営業収益380億円(今村証券今期予想比+11.8%)、営業利益29億円(同+11.5%)、純利益18億円(同+12.5%)と予想、今後も1割程度の増収増益が続くと考える。

 同社は2025年10月1日付で1株につき4株の割合での株式分割を予定している。株式分割を考慮したEPSと配当金は、今期はEPS66.40円、配当金12.50円、来期はEPS74.70円、配当金15.00円が見込まれる。

◆投資判断

 株価は8月19日に上場来高値となる4,690円を付け、その後は調整気味だ。調整局面に入る可能性もあるが、中長期的な成長が期待できることから、押し目買いスタンスで臨みたい。投資判断は「OUTPERFORM」継続とする。

【レーティングの定義】
OUTPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超上回ると予想される。
NEUTRAL:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。
UNDERPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超下回ると予想される。
トータルリターン:株価変動率+配当利回り
目標株価は12カ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。


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