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【材料】三協立山:NEUTRAL継続【今村証券アナリストレポート】

担当 近藤 浩之

●三協立山 <5932> [東証P]
レーティング:NEUTRAL(2025/4/11)→ NEUTRAL

◆アルミ建材を主軸に、非建材、海外へと多角化進める
◆中期経営計画を下方修正
◆収益構造改革の施策を追加

【タイトル】
(注)22/5期より「収益認識に関する会計基準」等を適用しており、22/5期の伸び率は記載していない。
出所:三協立山、ブルームバーグ、今村証券

◆アルミ建材を主軸に、非建材、海外へと多角化進める

アルミニウム製の住宅用・ビル用サッシやドアなどを手掛ける建材事業が前期(2025年5月期)連結売上高のほぼ半分を占める。木造住宅用アルミサッシ・ドアの国内シェアは3位だ。その他、マテリアル事業(アルミニウムやマグネシウムの鋳造・押出・加工・販売等)、商業施設事業(店舗用汎用陳列什器や看板の製造・販売等)、国際事業(欧州を中心に中国、タイにて自動車、鉄道、建材向けなどのアルミニウムの鋳造・押出・加工・販売等)がある。

◆中期経営計画を下方修正

前期の営業利益は前の期から約6割減り、純損益は赤字幅が拡大した(資料1 出所:決算短信・決算説明資料)。特に建材事業と国際事業の悪化が目立ち、建材事業は住宅着工戸数の減少や平屋率の上昇に伴う建材需要の減少、国際事業は欧州景気の減速、電気自動車(EV)の販売不振に伴う自動車分野の受注減少、製品不具合に伴う一時費用、事業収益悪化に伴う減損損失の計上が響いた。

今期(2026年5月期)、来期(2027年5月期)は建材事業と国際事業の収益構造改革を断行する(後述)。これにより、営業利益の会社予想は今期、来期ともに増益を見込む。ただ、今期は40億円と1年前に開示した中期経営計画から35億円の下方修正となり、来期は75億円と中期経営計画に40億円届かない。売上高営業利益率も今期が1.1%(中期経営計画比▲0.9ポイント)、来期が1.8%(同▲1.1ポイント)の予想に引き下げた。配当金は2027年5月期まで「25円を下限とする」との考えを維持した。

(資料1)業績の推移
【タイトル】

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◆収益構造改革の施策を追加

【建材事業】
今期は住宅建材(玄関ドア、窓等)、エクステリア建材(門扉、フェンス、カーポート等)の販売苦戦が続き、原材料価格の高止まりも重荷になる見通しだ(資料2、出所:日本経済新聞)。そのなかで利益を押し上げると見込むのが、商品価格の引き上げだ。前期第3四半期以降、順次商品価格を引き上げており、会社は65億円よりも大きい増益要因になると説明した。

また、今期より商品・生産拠点の集約を進める。まず現在2シリーズある基幹サッシを高断熱スリム窓「STINA(エスティナ)」に統一する。工場では住宅用とビル用のサッシの混流生産ラインを構築して生産性の向上を図る。加えて、業務・組織体制を見直して間接業務を廃止・縮小したほか、物流費や水道光熱費など間接コストの削減にも取り組む。

(資料2)アルミ地金の国内価格(日本経済新聞)の推移【タイトル】
(注) ※は25.5期会社予想の前提(455円/㎏)、25年7月は1~18日の平均

【国際事業】
今期は前期に計上した製品不具合に伴う一時費用と、のれん償却費がなくなることから赤字幅が縮小し、来期は4月に発表した構造改革の効果から黒字に転じる見通しだ。

構造改革では、鉄道向け部材の内部機械加工及び内部溶接加工を停止して土地建物の一部を売却し、従業員100名程度の削減も実施する。この構造改革が業績に与える影響は、今期は固定資産売却益を約19億円計上する一方で、人員削減等に関する一時費用約12億円が発生する。来期以降は約15億円の収益改善効果を見込む。今月にはさらに50名程度の削減という追加施策を発表したが、この影響は業績予想に織り込まれていない。

◆投資判断は「NEUTRAL」継続

今村証券では、今期業績を売上高3700億円、営業利益30億円と予想する。営業利益が会社予想を10億円下回る予想であり、主に建材事業の価格改定効果が会社予想より小幅にとどまると見込んだ。来期については厳しい事業環境が続くとみられ、収益構造改革を加速する必要がありそうだ。投資判断は「NEUTRAL」を継続する。

【レーティングの定義】
OUTPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超上回ると予想される。
NEUTRAL:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。
UNDERPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超下回ると予想される。
トータルリターン:株価変動率+配当利回り
目標株価は12カ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。


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