【特集】ドラフト Research Memo(4):デザインの力でより良い社会に変えることを目指す総合デザインファーム(2)
ドラフト <日足> 「株探」多機能チャートより
■ドラフト<5070>の事業概要
a) アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)
同社の提案するオフィス空間のデザインには、ABWの設計思想が取り入れられている。ABWは、オランダのVeldhoen+Companyにより提唱された働き方の概念で、仕事内容に合わせて自由に場所を選び、より生産性の高い働き方を実現する設計思想である。ABWでは、「高集中」「コワーク」「TV電話」「リチャージ」など10タイプの働き方を定義し、それぞれに最適な環境づくりを目指す。同社グループのオリジナルプロダクトは、「対話」「高集中」「アイデア出し」などの働き方に対応している。
働き方改革の労働生産性向上に向けた取り組みにより、定型業務などのルーティンワークがPRAやAIに代替され、職種や業種に関わらずクリエイティブな作業に適したワークプレイスが求められるようになる。同社では創業期から、クリエイティブなオフィス・空間の在り方を提案し続けており、今後は時流に対応したオフィス・空間として、より一層受け入れられるものと予測される。
b) プロダクトブランド「201°」(NIHYAKU-ICHI-DO)
同社はデザインに調和しつつ、ABWなど新しい働き方に対応したオリジナルプロダクト「201°」の企画・販売を2017年から行っている。人の平均的な視野と言われる200°に1°の視点を加えることで、少しだけ視点の違うものをつくりたいという思いがブランドネームに込められている。簡単に集中スペースを創り出せるブースや、カジュアルな打ち合わせに最適なミーティングベンチを含む全18種類を発売しており、どんな空間にも馴染むベーシックな色合いと、素材の質感やディテールの繊細さにこだわりがある。2018年に、米国を代表するデザイン雑誌『Interior Design』が主催する国際的なデザイン賞「The Best of Year Award 2018」において、同ブランドの集中ブース「COOM」がプロダクト部門デスクカテゴリーで最優秀賞を受賞した。
c) 「DAFT about DRAFT」
同社は、ファッションのように自由で繊細な発想で、長い時間を共に過ごせるプロダクトを生み出す新しいブランド「DAFT about DRAFT」を2022年4月にローンチした。2022年8月には東京・表参道にフラッグシップストアをオープンした。山下氏がディレクターを務め、オリジナルデザインのファニチャーや海外からのセレクトブランド商品といった暮らしに彩りを添えるアイテムを揃えている。
同ブランドは、設立から1年後の2023年4月に、世界的に権威ある「ミラノサローネ国際家具見本市」への出展を果たした。この見本市は、家具とインテリアデザインの最先端を示す場であり、出展には主催者側の厳しい審査が課される。それにもかかわらず、同ブランドはその独自性と創造性を高く評価され、出展権を獲得した。これは、ブランドの高いデザイン力とグローバル市場での存在感を示すものである。2024年4月にも連続して出展。今年は限られた企業だけが展示できるエリアに選ばれるなど注目度が伺える。今後もさらなるブランディングの強化を狙っていく。
d) 海外受賞
ウォンテッドリーのオフィスが、米国の国際デザインアワード協会が主催するデザインアワード「IDA Design Awards 2015」でHonorable Mentionを受賞した。同オフィスは、米国Herman Millerが主催するアジア太平洋地域の優れたオフィスを表彰する「Liveable Office Award 2016」でもスモール&ミディアムビジネス部門の最優秀賞を受賞した。2017年には、米国ニューヨークで毎年開催されるデザイン分野を網羅するコンペティション「Spark Awards」にて、同社が設計したディップ<2379>本社オフィスがブロンズ賞を受賞した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
《HN》
提供:フィスコ