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【経済】【クラファン・優待】売上10億円へ 老舗の技術で「和菓子」の危機に立ち向かうインテグラル、8月2日募集開始

 老舗の技術を継承した和菓子ブランドを展開するインテグラル株式会社(愛知県春日井市)が、株式投資型クラウドファンディング(普通株式型)による出資を募集します。申し込みは8月2日19時30分開始を予定しています。

・ 普通株式型
・ 目標募集額:1305万6000円、上限募集額:4003万2000円
・ エンジェル出資実績あり
・ 2回目(1回目は2810万円調達)
・ エンジェル税制あり(優遇措置B)
・ 株主優待あり:和菓子の定期便
・ みなし時価総額:5億1372万円
・ 類似上場企業:サンクゼール <2937> [東証G]、ミクリード <7687> [東証G]、ベースフード <2936> [東証G]、中村屋 <2204> [東証S]、不二家 <2211> [東証P]
※「みなし時価総額」はミンカブ編集部が「発行済み株式数×募集株式の払込金額」により試算

日本の「和菓子」を世界へ

 インテグラルの松本裕明代表は2013年、あんこの高い加工技術を有する名古屋の老舗和菓子店に出会い、同店から和菓子を卸してもらいながら、全国のイベントや催事で販売する事業を始めました。

 2017年から、同店の技術継承をするために製造段階から参画、本格的に和菓子販売を広めるために2020年、インテグラルを設立しました。

 同社は、老舗和菓子店の技術を受け継いだ「春日井よし乃」、洋菓子の要素を取り入れたオリジナル商品を販売する「想寿楼(そうじゅろう)」の2ブランドを展開。創業3年となる前期は売上高約3.5億円まで成長しています。

 「春日井よし乃」「想寿楼」ブランドの人気により、代理店的に催事を中心に和菓子販売を請け負うパートナー(催事販売パートナー)も増えており、現在、イオンモールや大手百貨店、JR西日本 <9021> [東証P]や東京メトロの駅などで開催される催事販売に注力しています。

 また、老舗和菓子店から継承した伝統技術と、蓄積した開発・生産・販売ノウハウを生かし、OEM・ODMによる商品開発・受託製造や経営・在庫管理などのコンサルティングも行っています。

 11年間にわたり、東海地方から関東地方を中心に百貨店や商業施設の催事で和菓子を販売しており、今期中に、関西や九州でも催事販売パートナーの出店を開始する予定です。

 「弊社は今後、日本各地で失われつつある多くの和菓子の技術を再建させ、そのノウハウを生かして、世界中に和菓子を届けたいと考えています」(同社)

 同社は「成長のための課題」「解決方法」として以下を挙げています。

【成長のための課題】
接客や販売スキルを持つ催事販売員の不足

【解決方法】
販売人材の採用および育成。育成のため、教育フロー効率化や資格取得支援を行う



前回からの進捗
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(出典:FUNDINNO)

 前回、店舗型のFC展開による事業拡大を計画していましたが、大手百貨店やイオンモール、JR西日本や東京メトロの駅での催事オファーが急増したため、2023年からは催事事業に経営資源を集中させています。

 和菓子の製造面については、宮崎県の老舗和菓子メーカーへの製造外注により、収益性向上が進展。工場をファブレス化することで、安定供給と開発スピードの向上につながっており、月間約10万個、売価約3000万円分の供給が可能になりました。また、約5%の原価率改善に成功しています。

 今後は全国の需要への対応強化に向け、同社との資本業務提携を計画しています。

 OEM事業でも全国の和菓子店を中心に新規受託が増加。また、商品開発支援や販売コンサルも行っており、前期売上高は約3.5億円、前期比約106%で成長しています。催事の累計出店数は700店舗を突破しました。

 一方、前回募集時の計画値に対してはビハインドに。これは、引き合いが急増している催事事業への経営の選択と集中によるもので、具体的には、店舗のFC展開をストップしたことによるFC加盟料の欠損、催事販売パートナーの現場担当者の人材育成へ経営リソースを投下したためだといいます。

 「現在は人材育成も進み、催事バイヤー様からは接客及び商品ともに高い評価を得ており、順調に売上を伸ばせる体制を構築しております。今期は売上高約4.2億円と前期を超える見込みです。来期は催事事業の拡大により、約10億円突破を見込んでいます」(同社)

失われつつある日本の「和菓子」

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(出典:FUNDINNO)

 和菓子は2022年に「菓銘をもつ生菓子」として登録無形文化財に認定されており、また、2013年にユネスコ無形文化遺産に認定された「和食」には和菓子も含まれており、世界的にも人気があると同社は見ています。

 「しかし、日本の伝統文化である和菓子が失われつつあるのも事実です」(同社)

 経営者年齢は高齢化が進み、平均年齢は約60.5歳で、和菓子店も例外ではないといいます。後継者不足による休廃業や解散企業数も、2023年に約5.84万件と過去最多となったそうです。

 また、和菓子店の経営においては、在庫管理ができておらず、帳簿もまともにつけていないケースが珍しくないといいます。「和菓子職人はおいしい和菓子を作ることに関してはプロフェッショナルですが、どの商品がどれだけ売れているのか把握できていないため、赤字体質になりやすいのです」(同社)。

 さらに、職人技術である和菓子作りはレシピやノウハウがブラックボックス化してしまう問題もあり、こうした状況が続けば、日本の伝統技術が失われ、和菓子文化の衰退につながってしまうと同社は考えています。

 一方で、和菓子自体は根強い人気を得ており、あるアンケート調査では「和菓子が好き」と答えた人は約8割、特に50~60代からの人気が高いといいます。

 別のアンケート調査では、若年層が和菓子に対して「古い」「格式高い」といったイメージを持っていることが分かっており、最近では、和菓子のイメージを現代にアップデートした「ネオ和菓子」も人気だといいます。

 「弊社は、根強い人気を誇る伝統的な和菓子を提供する『春日井よし乃』とともに、和菓子と洋菓子をかけ合わせたネオ和菓子ブランド『想寿楼』を催事販売パートナーとして展開し、市場でのシェアを獲得したいと考えています」(同社)

市場の魅力・事業内容・ビジネスモデル・特徴
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(出典:FUNDINNO)

 2023年の国内の和生菓子市場は、小売金額ベースで約4985億円。「超高齢化社会を迎える日本においては、今後も和菓子需要は伸び続けると考えています」(同社)。

 近年、インバウンド需要も急拡大しており、10年前は訪日外国人の菓子類の土産品購入率は約62%・平均購入単価約9500円だったものが、2023年には購入率約73%・平均購入単価約1万800円と人気が高まっているそうです。

 「こうしたインバウンド需要は和菓子も例外ではなく、特に催事においては、約1割が外国人観光客にご購入いただいています」(同社)

 同社のロールモデルとして、複数の菓子ブランドをM&Aによって拡大している東証プライム上場企業は2024年3月期、過去最高の売上高約640億円を記録。また、近接領域である伝統工芸品分野で、未上場ながら、2023年2月期に売上高約75億円を記録した企業も類似企業と考えています。

 「弊社は、ニーズが増え続ける和菓子市場に培ってきた経営ノウハウを掛け合わせることで、これらのロールモデル企業のように成長を図っていきたいと考えています」(同社)
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(出典:FUNDINNO)

 同社は老舗和菓子店の伝統技術を継承し、2つの自社ブランド「春日井よし乃」「想寿楼」を展開。現在は大手百貨店やイオンモール、JR西日本や東京メトロの各駅など大型施設での催事販売や自社ECサイトを通じて全国に販売しています。

 「春日井よし乃」は大福をメインに、餅や団子、羊かんなどの昔ながらの伝統的な和菓子、「想寿楼」は和菓子に洋菓子の要素を取り入れたネオ和菓子のオリジナル商品をそれぞれ展開しています。

 宮崎県の製造工場への外注により増産体制が整ったことと、純和菓子の需要の高まりから、現在は「春日井よし乃」の販売に注力しています。

 「想寿楼」の商品開発も並行して進めており、現在は大手食品会社と協業して新たなラインナップを考案中です。
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(出典:FUNDINNO)

 自社ブランドの販売のほか、OEM・ODMによる日本全国の和菓子店からの受託製造も行っています。出張催事販売で日本全国を回った経験から、製造だけでなく、ご当地ごとに適した商品開発や販売支援まで一貫して対応するケースもあります。

 例として、お笑いコンビ・次長課長の河本準一氏がプロデュースする米ブランド「準組」を使った和菓子の商品開発や販売コンサルがあり、一方的な価値提供ではなく、双方の認知度を上げるWin-Winの関係を築いているそうです。

 「全国の企業と提携して商品を受託製造することで、弊社の中にその技術やノウハウが蓄積されていきます。伝統的な技術を弊社に集約して新たな和菓子作りに生かすことで、伝統文化の喪失を防ぎ、100年先の未来につなげていきたいと考えています」(同社)
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(出典:FUNDINNO)

 自社ブランド商品は催事と自社ECサイトで販売。また、商品開発や販売コンサルを含めた受託開発でも収益化しており、2023年10月期の売上高は約3.5億円。今期は約4.2億円、来期は好調な催事事業を背景に約10.2億円を見込んでいます。

 「催事出展するFCに対しては、ノウハウ研修による人材育成や販売コンサルを行い、ブランドイメージを損なうことなく、丁寧な販売により、お客様と催事担当者の信頼を獲得できていると自負しています」(同社)

 催事販売パートナーの売上は一度、同社に集め、出店料と仕入れ代金を差し引いてFC企業に支払う形を採っています。
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(出典:FUNDINNO)

 同社は、老舗和菓子店から継承した商品開発・技術力、日本全国での出張販売によって蓄積された製造・販売ノウハウを自社の強みだとしています。

 インバウンド需要やコロナ禍が明けたことによる贈答・土産需要も増えており、以前よりも催事での販売数自体が増えているそうです。

 同社の催事出展はリピート客が多いのが特徴だといい、会期中に約3人に1人がリピート客として再来店し、最終日へ向かって右肩上がりに売上が増加。要因としては丁寧な接客やディスプレイの工夫のほか、最も多い声は「和菓子そのもののおいしさ」だといいます。

今後の成長に向けて

(1)2027年よりIPO準備開始

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(出典:FUNDINNO)
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(出典:FUNDINNO)

(2)短期計画

 現在、東海地方と関東地方の2拠点をベースに催事事業を展開していますが、2025年までに、北海道・関西・九州など全国12拠点を目指しています。

 出展場所については、催事の実績が増えるに伴い、同社の認知度が上がり、出展許可が下りやすくなっているそうです。「今後も大型ショッピングモールに対してローリング営業をかけるなど、積極的な出展先獲得を行う計画です」(同社)。

 前回から、海外向けサブスクリプションサービス「Sakuraco(桜子)」との連携へ向けた商品開発も継続しており、約150の国・地域へ安全に和菓子を届けられるよう、引き続き、賞味期限の長い商品の開発も行う計画です。

(3)中長期計画

 出展先の拡大に伴い、製造拠点も増やす必要があるといい、拠点は同社の所在地である名古屋のほか、関東、北海道、宮崎県の4拠点に拡大する計画です。

 各工場からの直接配送スキームを確立し、全国に、おいしく新鮮な和菓子を届けられる体制構築を目指しています。

 将来的には海外展開も視野に入れており、公的機関との連携により海外ニーズ調査を開始。国内の基盤構築完了後、東南アジアでの拠点作りから開始し、将来的には米国全土に進出する計画です。

(4)2030年に60万人以上の直収催事購入顧客数を計画

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(出典:FUNDINNO)

株主構成

 同社は、エンジェル投資家などから出資を受けています。

類似上場企業(業態やサービス・製品などで類似性の見られる企業)

・サンクゼール <2937> [東証G]
・ミクリード <7687> [東証G]
・ベースフード <2936> [東証G]
・中村屋 <2204> [東証S]
・不二家 <2211> [東証P]

株主優待

【基準日】
毎年10月末日

【優待内容】
・1~16株:和菓子の定期便(年1回)
・17~32株:同(年2回)
・33株以上:同(年4回)

【申し込み方法】
基準日経過後、予約・注文可能の案内をする。その際、同社お問い合わせアドレスまで「株主優待を利用する」と知らせる。

【注意事項】
・1人、1年に1回限りの優待。
・優待内容は今期(2024年10月期)の内容。
・優待内容は変更や廃止になる場合がある。

発行者・募集情報

■募集株式の発行者の商号及び住所、資本金等
インテグラル株式会社
愛知県春日井市味美白山町一丁目14番地11
資本金:24,050,000円(2024年6月20日現在)
発行済株式総数:42,810株(同)
発行可能株式総数:1,000,000株
設立日:2020年4月7日
決算日:10月31日

■募集株式の発行者の代表者
代表取締役 松本裕明

■募集株式の種類及び数(上限)
普通株式 3,336株

■募集株式の払込金額
1株あたり 12,000円

■資金使途
・目標募集額達成時の資金使途内訳
調達額1,305万円を以下の目的に充てる予定。
人件費 640万円
拠点立ち上げ費用 450万円
手数料 215万円

・上限募集額達成時の資金使途内訳
上記に追加し、調達額2,697万円(目標募集額1,305万円と上限募集額4,003万円との差額)を以下の目的に充てる予定。
人件費 1,446万円
設備投資費用 806万円
手数料 445万円

■投資金額のコース及び株数
96,000円コース(8株)
192,000円コース(16株)
288,000円コース(24株)
384,000円コース(32株)
480,000円コース(40株)
960,000円コース(80株)
1,920,000円コース(160株)
2,880,000円コース(240株)
3,840,000円コース(320株)
4,800,000円コース(400株)
9,600,000円コース(800株)
※特定投資家口座以外からの申し込みの場合、480,000円コース(40株)までしか申し込みできない。特定投資家口座からの申し込みの場合、9,600,000円コース(800株)を上限とする。

■申込期間
2024年8月2日~8月15日

■目標募集額
13,056,000円(上限募集額 40,032,000円)
※特定投資家口座全体からの申し込みの上限は31,968,000円とする。

■払込期日
2024年9月9日

■連絡先
インテグラル株式会社
電話番号:0568-70-3745
メールアドレス:info@kasugai-yoshino.com

※本株式投資型クラウドファンディングの詳細については、FUNDINNOの下記ページをご覧ください。

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